70義賢の行動2
70義賢の行動2
「お呼びとの事でただいま参りました。」
「うむ、義賢からお主に伝言がある。俺が伊勢を落としてくる間、近衛前久殿に烏帽子親をしてもらい元服をせよ。そして、ワシに相談しながら領内を治めてみせよ。それを持って罰とするとの事だ。」
「…はっ!」
「近衛前久殿が烏帽子親を務めてくれる。名は六角治頼だ。お主なら大丈夫だとは思うが家臣団は自分で育て用意せよ。六角を支える仕組みは作ってあるから統治に問題はないだろうが直下で手足となって動くもの達がいるだろう。こちらで選んでつけても良いがそちらの方がお主にとって都合が良いだろう?」
その通りだ。おべっかや嘘をつくような奴はいらない。
「ご配慮ありがとうございまする。確りと役目を果たして見せまする。」
「うむ、それと伊賀者から重要な情報があった際はお主だけではなく義賢にも流す様にせよ。長野との戦に関するものだけで良い。」
「分かりました。半蔵に伝えておきまする。」
こうして俺からしたら急遽元服が決まった。領内を父の代わりに差配することに関しては特に問題はないがこの時代の元服のやり方なぞ知らんから学び直さないととため息を吐きそうになりながら自分の部屋へと帰った。
〜〜〜
天文24年1555年 6月 六角義賢
義賢は今梅戸城に入り周辺の切り取りを行っていた。南は萩野から北は桑名まで六角の影響力は伸びていた。勿論敵である長野との境界線では六角よりの中立という体を取るもの達が多い。それらの国人衆に対しては誓約書を結ばずに放置して、確実にこちらに臣従できるもの達を取り込んでいた。
長野の動きは鈍い。と言うのも北畠に警戒しながらこちらに兵を派遣するかどうかを決めかねている様だ。明確に大義名分がある両者に挟まれている現状長野はどちらかに踏み潰されるか、どちらかの傘下に収まるしかない。ここで六角と争わずに降るか、争って力を認めさせて降るかで待遇が変わってくると思っている様だ。北畠に降る事は伊賀者からの情報によると無さそうではあるが、俺としては早めに降って欲しい。そして、津をこちらの領土にしたい。あそこを抑えられるかどうかで物流網の広さに関わる。
「御屋形様、ご子息である治頼様からの文にございまする。」
平井が持ってきた文を開く。そこには、北畠の長野攻めの動きが大きくなっていること、公方様ががそろそろ痺れを切らしそうな事が書かれていた。息子からの情報を得て考えが変わった。
「よし、長野の一部は捨てるか。定武!蒲生と共に戦の準備をせよ!それと三雲!伊賀と甲賀を使って長野付近の領地で北畠の大攻勢が始まる、助けてくれるのは六角だけだと流布せよ!」
さて、上手くいくかな。




