68父からのお叱り
68父からのお叱り
天文23年1554年 12月 六角亀松丸
「何をやっておる!」
父からお叱りを受けていた。そりゃそうだ。独断で長野攻めを義輝からもぎ取ってきていたのだからな。
「六角のために必要なことをやってきたのです!まずはお話を聞いて頂きたく…」
「ふざけるなぁ!今まではお主の裁量でやれる事をやらせてきたが此度の事は六角当主が決めることぞ!」
人払いをして俺と父だけだから遠慮なく大声で叱ることができるし叱られることができる。もし、誰かに聞かれでもしていれば親子の不仲が広まりめんどくさい事になるだろう。勿論、伊賀を使って人が万が一にでもこちらに来ない様に配慮している。
「はっ、専横であった事は理解しております。何卒、お話をお聞きください。」
「ふん!変な理由であれば叩き切るぞ!」
そう言って父は刀を手に取りこちらを睨みつける。
「…まず、御屋形様と御隠居様は三好と戦う事も薮坂では無いと思っておりまするな?」
父が憮然とした顔でこちらを見ている。
「ああ…。」
「それがそもそもの間違いなのです。確かに本土の戦力だけを見れば前回の動員兵力は4万に対し、こちらが銭兵3万に農兵を駆り出せば5万は行くでしょう。しかし、現在の三好は本土で4万、三好本拠である四国から叔父の三好康長を始め三好実休、安宅冬康、十河一存ら3人の弟らが援軍として2万は軽く動員してきます。そこに海軍も含まれるとすると…。」
父が押し黙る。圧倒的にこちらが不利なことが確定的だからだ。相手は海軍で好きなところに軍を展開できる上に兵力でも大きく劣る。それに敵は連戦連勝の猛者が指揮官に揃っている。
「ですので、まずは長野を抑えることで海軍を創設しましょう。それと伊賀、近江、北伊勢を使った陸路、海路を使った東海道の物流や北陸道の物流を抑えて力を蓄えましょう!」
「なるほどのぅ、其方の言うことも確かなものがある…。」
あとひと押しだな。
「それに、我々とは別口ですが進士一族だけでなく公方様も主導して三好一族の暗殺を試みている様です。そちらに巻き込まれでもしたら六角家の信用は落ち揺らぎまするぞ…!公方様と心中する危険は六角家にとって大き過ぎまする!確実に勝てる様になってから三好とは戦うべきだと御屋形様に進言させて頂きまする!」
そう言って俺は頭を大きく下げ平伏する。
「なんだと!?暗殺なぞしてみよ、互いに引くところまで引けぬ事になるぞ!…はぁ。分かった。確かにこの方法が1番六角にとって良いのかも知れぬ。しかし!これからは先に!相談することだ!いいな!」
「はっ!申し訳ございませんでした!」




