52 比叡山討伐
52 比叡山討伐
天文21年1552年 4月 六角亀松丸
新年を迎えることができ、六角では盛大に祝いが行われた。新しい当主就任と浅井征伐成功の宴会だ。浅井は賢政が新年の挨拶に来ており、時間を作って話したが家臣を纏めるのが大変らしい。軍事的才はない久政だが領内での内政役、調整役としては一級品のようでまだまだ信頼が厚いそうだ。独立を図りたい父と俺についていくことに納得している息子、ある程度は思い通りに進んでいるな。だが、あそこまで内政の才能がある男をむざむざと殺すのも惜しい。なんとかできぬかな。
それと朝廷や公家からも六角の評判はすこぶる良い。三好や細川が京を荒らしている中献身をただ続ける六角が相対的に評価が上がっている。今回はなんと恐れ多くも帝から感謝の文を貰った。とても貴重でありがたい物なのでしっかりと保存してある。
寺社に対してだが、仏敵六角と猛反発をしている。しかし、民からの声はうんざりと言った感じだ。自分たちの生活に余裕ができて来た今、物事をはっきりと見ることができて僧に対する嫌悪感が上がっている。仏教によって救われる、心の拠り所になるというのは変わらないようだが、それを伝える僧たちが自分たちよりも裕福な暮らしをして快楽に耽っていること、救済と称して戦おうとすることに対して大きな不快感を持っている。
そして、その風潮というのは簡単に噂になって隣の京まで届いている。誰かに言われた意見よりも噂として聞こえてくる方が人は疑いなく受け入れやすい。それは朝廷や公家にも言えることで全体として寺社に対する嫌悪感が広がっていた。また、伊賀甲賀問わず忍びが僧兵、特に将となるような人物の狩りをしているため僧兵達の中でも怯えがでている。
俺はその現状を半蔵から聞いた後、最後のひと押しとして俺は義輝に会いに来ていた。
「お久しゅうございまする。」
「うむ、六角は良く力をためているようだな。どうだ、そろそろ三好と戦う準備はできておるか?」
義輝はいい報告ができるのだろうかと身を乗り出しながらこちらを伺っている。ワクワクしている様子がありありと顔に出ていた。
「はい、少しずつ公方様のために米を用意しておりますが喉元に刺さった骨のせいで動けませぬ…。」
ここで悔しそうな顔をするのが大事なところだ。
「ふむ、どうしたのだ?」
義輝が不思議そうにこちらを見つめている。
俺は腹を括ってその目をしっかりと見つめた。




