47一方では
47一方では
天文20年1551年 9月 六角義賢
後藤壱岐守が出陣するよりも前、六角家当主となって初めての戦を義賢は始めようとしていた。坂本に集まった家臣達と軍議を開いているところだった。
「では、これより高島奪還の為の戦を始める。今回の目標は百瀬川まで敵を押し返す事だ。主に銭兵で戦い、占領した地域の押さえに農兵を置く。何か異論はあるか?」
あちらこちらから頷く様子が見れる。よし、いくか。
「出陣するぞ!近江の覇者は誰かを叩き込んでやるのだ!」
「「「おう!!!」」」
今回は案内のみを朽木や高島などに任せ兵の指揮や戦闘は六角のものが行うこととなっている。六角内の俸禄制度を変えて初めての戦という事もあり誰も彼も活躍しようと士気は高い。
手始めに永田氏の城を攻め落とすとそれを皮切りにどんどんと侵入していく。浅井の兵は高島の城に纏めても籠っているようで伊賀のもの達によると浅井久政が援軍を率いて向かってきているらしい。できるだけこちらに引きつけられるようにせねばな。
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同日 浅井久政
有力国人衆達を取りまとめて小谷城を経った久政は苛立っていた。六角につき京極につき、なんとか自勢力の拡大を目指しているのに悉く上手くいかない上に、息子である猿夜叉から事あるごとに六角に楯突くべきではないと讒言されるのだ。なんとか猿夜叉から聞き出した内容から農法を真似してみたが少しの効果しか得られなかった。それも久政を苛立たせる原因の一つだった。
「浅井殿、そろそろ高島に着きまする。ついたら六角との戦となりましょう。相手の兵は約4000との事、我々は2000、籠城している兵は2000です。上手く挟撃できれば十分に勝ち目はありましょう。」
有力国人の赤尾が提案してくる。この浅井殿というのも気に食わない。大名として自立したい久政にとって国人衆のまとめ役という形をいまだに抜け出せていないのは不服だった。
「そうだな。できるだけ早く向かい彼らの消耗を抑えるべきだ。このまま進むぞ。」
それが彼の目を曇らせていた。
「い、いえ!このまま進めば我が軍の兵は疲れたまま戦に入ります。そうなればいくら我々でも勝ち目は薄くなりますぞ!」
「兵は拙速を尊ぶだ!行くぞ!」
久政は六角から自立してやるという気持ちと、この戦に勝って家臣達から大名として認められてやるという気持ちで焦っていた。




