42将軍との誓い2
「既に祖父からも聞いているとは思いまするが、今六角家の周りでは我が領土を狙っている動きがありまする。その者たちは刀に誓った通り幕府の再興を邪魔する敵として討ち果たしてもよろしいですか?」
この言質を俺は取りたかった。これがあれば大義名分を持てる。
「ああ!勿論だ!誓文も書いて後で渡そう。もし、其方だけでどうにもならぬ事があれば文をくれ。将軍家の手を回して和睦を取り付けても良いぞ。」
「はっ!ありがとうございまする。」
「うむ、では下がって良いぞ。これからも頼りにしている。」
「「ははっ!」」
将軍様の前を辞して祖父の待つ部屋に戻る。
その間父も俺も無言だった。どこで誰が何を聞いているかわからないのだ。それに父としては思うところがあるだろう。
「ただいま戻りました。」
「うむ、どうだった?」
「父上に足利の事を考えて行動してくれたのに睨みつけるような真似をしてしまって申し訳ないと。それとこれからも六角を頼りにしているとのことです。特に亀松丸を重視しているようですな。」
「ふっ、そう不貞腐れるな。亀松丸は幼い。それが特に目を引く結果になっているだけだ。」
「はっ」
「それに、将軍家に頼りにされたところで六角家としては利点はほとんど今はありませぬ。何度も言いますが今は六角家単体で三好と対峙できるまで力を貯める事が肝要にございまする。公方様からは六角家に対する敵を討つ名分を貰いました。それを使って近江統一を果たしましょう。」
「ほう、そのようなものを取り付けたのか。やるのう。そうなってくるとお主にも軍に関して意見を出す権利を与えるべきかのう。どう思う義賢?」
一応家督自体は父に渡す予定だがまだまだ祖父が大きな権力を持ちそうな雰囲気をしている。史実では義賢が後を継ぎ全権を持っていたからこそ、うまく行っていた部分もあるだろう、これがどう影響してくるかな。俺も二人の間の摩擦を減らせるようにしなければ。
「はっ、意見を出させても良いでしょう。しかし決定権を持つのは私です。そこは線引きをしておかなければ後々亀松丸の為にはならぬかと。」
「うむ。其方にまかせる。」




