137 若狭侵攻13
137若狭侵攻13
信豊と信由は離して六角に染めていく予定だ。孫犬丸も六角に染まってくれれば若狭武田は六角の手の内だ。最悪、孫犬丸派と信由派で分けて手元に置いておくことでどちらかが騒いだ時に挿げ替えることも可能だ。
治頼の内心は冷徹だった。二人を育て、どちらかが騒げばもう一方を立てる。これは、後継問題を「選択肢」として手元に置くという戦略だった。六角に染まった二人が競い合うことで、若狭武田は常に六角の掌の中にある。治頼は、秩序を維持するために、血筋すら道具として扱う覚悟を持っていた。
「まずは、怨敵 逸見を討ち果たすのみにございまするな!そして、孫犬丸様を必ずや育て上げるのが私の役目にございまする。」
武藤の声には、怒りと使命感が宿っていた。義統を殺した逸見は、若狭武田の秩序を乱した元凶であり、討つべき敵だった。孫犬丸を守るためにも、逸見を排除することが必要だと武藤は理解していた。治頼は、その言葉に頷きながら、武藤が完全に六角の意図に乗ったことを確信した。
「そうだな。奴らは三好とも繋がっている可能性がある。必ず討つぞ!」
治頼は、逸見の背後に三好の影をちらつかせることで、武藤の敵意をさらに煽った。三好は、京を支配する実力者であり、若狭にとっても脅威だった。逸見が三好と通じているならば、討つ理由はさらに強まる。治頼は、武藤の忠誠を「外敵への怒り」で固めていった。
「「おうっ!」」
牢を後にして武藤殿と共に後瀬山城の広間へと戻る。
「では、軍議を始める。目標は砕導山城の逸見だ。あやつは、武田当主 武田義統殿を暗殺したばかりではなく三好を呼び込み若さを手に入れようとしている。我々六角は親族である六角孫犬丸殿と協力を要請してきた武田信豊殿に応えるために奴を討ち果たす!」
広間に集まった将たちは、治頼の言葉に耳を傾けた。砕導山城は、若狭の最後の抵抗拠点であり、逸見の根城でもある。治頼は、義統の死と三好の影を巧みに結びつけ、逸見を「秩序の破壊者」として位置づけた。軍議は、若狭の未来を決める場となり、六角の支配が完成する一歩手前まで来ていた。




