132若狭侵攻8
132若狭侵攻8
数日かけて後瀬山城まで進むと既に後瀬山城は降伏の体勢が整っていた。これは半蔵が上手くやってくれていたのかな?
治頼は、半蔵の手際に感謝しつつも、城内の空気がどう変わったかを見極めようとしていた。戦は、刀よりも心を制する者が勝つ――その信念が彼の視線に宿っていた。
「おい!誰か詳しい内容を聞くために矢文を打ってまいれ。」
隊列の数人で後瀬山城の近くまで寄せて矢を打つものを守りながら確実に城内へと届くように矢文を打ち込ませる。数刻待つと白旗を掲げた武者達がこちらにやってきた。
「我々に抵抗の意思はない!信豊様の名代の方に御目通りを願いたい!」
「俺が出よう。」
周りのもの達にしっかりと自分を守るように伝えてからゆっくりと近づく。
「我は武田信豊殿から若狭平定を任された六角家嫡男 六角伊賀守である!降伏の使者を受け入れよう!まずは城の武装解除を進めてもらいたい!代表の方は陣幕まで来てもらおう!」
こちらの勧告に従い数名が城内へと武装解除に向けて戻っていく。残った数名が馬を降りてこちらに向かってくる。陣幕の前で武器を預けて陣幕内へと入ってきた。
「お初にお目にかかる。先ほども挨拶をさせて頂いた六角伊賀守である。其方らの名を伺っても良いか?」
「はっ、武田家家臣 武藤友益ともうしまする。この度はこのような機会を設けて頂きありがとうございまする。」
「うむ、若狭武田四天王と呼ばれる武藤殿とお会いすることができて嬉しく思うぞ。さて、いきなり本題で申し訳ないのだが、先ほどの矢文を見て降伏を決めて頂いたのか?」
武藤が眉を下げながらこちらをみる。
「はっ、それもあるのですが、我が主君である武田義統様が暗殺をされまして…我々に反抗の意味がなくなりました。厚顔無恥と言われても仕方がありませんが私の首一つで、若狭武田家、もしくは六角家で働かせて頂ければと思いまする。」
武藤殿が目に強く力を込めてこちらを見つめてくる。武藤の瞳には、主君を失った悲しみと、家を守るための覚悟が宿っていた。彼は、六角に降ることで若狭武田の名を残す道を選ぼうとしていた。
これは上手く策がハマったかな?
治頼は、義統の死がもたらす影響を冷静に計算していた。武藤の言葉は、その計算が現実になった証でもあり、六角の支配が「戦わずして勝つ」形で完成しつつあることを示していた。




