117 朝廷変革
117朝廷変革
「勿論その通りだ。だが、六角から朝廷へと言い出してきたらどうだ?我々はそれを受け入れただけ、言い出したのは六角だ。矛先は六角へと向くのではないか?」
前久は六角を後ろから刺すような発言をする。その様子に公家の面々は顔を顰めたり、なるほどとしたり顔をしたりと様々な反応だ。
前久の言葉は、あえて六角に責任を押し付ける形を取ることで、朝廷の立場を守る策でもあった。公家たちはその狡猾さに眉をひそめながらも、現実的な選択肢として納得せざるを得なかった。
「しかし、六角から朝廷へと言い出させるのにも時間がかかってしまうと思うのだが、どうするつもりでおじゃりますか?」
「実は、既に六角治頼殿が京まで赴いていてな、本人から先ほど言い出されたのだ。」
「真にございますか!」
皆が驚いた様子一色になる。その中には何人か苦虫を噛み潰したような顔をしているものもいたが前久は無視をする。
前久は、治頼の京入りを伏せていたことで場の主導権を握った。驚きと動揺の中で、彼は六角の存在感を最大限に演出していた。
「うむ、皆のものが良ければここまですぐに呼べるが如何致す?」
顔を合わせて、どうする?どうしよう?と言うふうになっていた。
「とりあえず、呼んでみても良いのではないでしょうか?ただ、参議でもないものをこの場に呼ぶのは…」
朝廷の重要事は基本的に参議以上のもので帝に謀って決めている。ただ、その帝に関することのため現在は参議のみで集まって話し合っていたのだ。
「これは帝のいる正式な朝議ではおじゃらぬ。ならば、参議以外を呼んでも問題なかろうて。それに朝議に参加するというよりも我々の意見の参考人として呼ぶのだ。それならば道理も通るであろうて。」
あちこちで確かにと声が上がる。
朝廷の格式は厳格だが、非常時には柔軟さも求められる。帝の崩御という国難に際し、武家の意見を聞くことは、格式よりも実利を優先する判断だった。
「よし、では六角主水佑を呼んでくるでおじゃる。」
前久の声かけに合わせて別室で待たせていた六角主水佑治頼が呼ばれる。公家達も武家の前であたふたしている姿を見せる訳にはいかないとスンっと澄ました顔に代わり治頼を待つ。
公家たちは、武家の前で動揺を見せぬよう、表情を整えていた。だが、内心では六角の献金がどこまで本気か、どこまで朝廷に踏み込むつもりかを測りかねていた。




