表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
晴れた日には、恋をする  作者: 月舟 蒼
第三章 夏合宿
66/69

5-5

 二時間近くたってから莉奈と汐里が戻ってきた。

「なんか、ずいぶん大きな声出してたな」 涼介が言うと、汐里が、

「これ見て!」

と言って、白い表紙に学校の校舎が印刷されたアルバムを開いた。

「莉奈ちゃんの高校の時のアルバム!」

 そう言って、汐里は莉奈の個人写真を指差した。

「かわいい!」

 あまねが最初に声を上げた。

「ギャル化する前のコガリナだ。⋯お前ってもしかして美少女?」涼介が続ける。

「そこも驚くとこなんだけどね。驚いたのは、()()よ」

 そう言って汐里は莉奈の名前を指差した。

古河莉奈こがりな?」琴葉が呟く。

「よく見て!」汐里は改めて名前を指さして、その指でアルバムをトントンと軽く叩いた。

「あ、古河莉奈ふるかわりな!」

 涼介がふりがなを読み上げた。

「そう!コガリナっていうのは、本当の読み方じゃなかった!」

「そこ驚くとこかなー」莉奈が少し不思議そうな顔をしている。「まあその、高校時代、ちょっと地味でしょ?――」

「いや、めっちゃかわいいぞ!」涼介が反射的に否定した。柄になく頬を赤らめている。

 莉奈はちょっと困った表情で続けた。

「あ、ありがと。でも、本当に地味でさ。大学入ったら変わってやろうって思ってて。『ふるかわりな』よりも『コガリナ』の方がなんか勢いあんじゃん?()()イメージにも合うかなって思って。それで、自己紹介の時に『コガリナ』って言ったらそのままあだ名になっちゃったんだよね。まあいいか、ってそのままにしてた」

「面白いエピソードだね」あまねが反応する。

「でしょ?!」汐里にまた興奮が戻ってくる。「それであれこれ話が膨らんでこんなに時間たっちゃった」

 あ、という感じで汐里が何かを思いついたようだった。

「今度さ、みんなで昔のアルバム持ち寄って、見せ合いっこしない?」

「え、えぇ⋯」

 小さい声ながらも明らかに動揺していたのは琴葉だった。

「まあ、嫌な人はいいけど⋯。見せられる範囲で」

 汐里のその提案に、皆口々に、いいね、と言い合った。

「あ、そうだ」と言って、莉奈が話し出す。「ぼちぼち帰る人もいるだろうから、『次』の告知!年越しイベントやります!――続きは靖太郎から!」

 それを受けて靖太郎が話し始める。

「年末年始は実家に帰る人もいるだろうから、来れる人だけでいいけど。うちで年越しイベントやろうと思うなりよ。戸建てじゃないから、ちょっと手狭だけど、何とかなると思う」

「ち、近くに神社とかある?」琴葉が質問する。

「あるなりね。地元のだから、そんなに大きくはないけど。」

「じゃあ、カウントダウンした後、すぐに初詣したりもできる?」

「ああ、地元の人はみんなやってるみたいなりよ」

「おー!なんか楽しそう!年末番組見ながら年越しそば食べて、初詣か」涼介がすぐに反応した。

「じゃあそんな感じで!」司会が莉奈に戻ってくる。「帰省との兼ね合いもあると思うから、参加確認はまた後で。分かり次第教えてね」

 口々にオッケーと皆請け合った。

 みんなで年越しか。去年までの俺では考えられないな、直陽はそんなことを思っていた。

**次回予告(5-6)**


駅に着くと、直陽とあまねは、瞬、琴葉と別れ、二人で帰ることに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ