1-4
一限の授業が終わった後、直陽は部室棟に向かった。建物に入り、三階まで登る。
ドアには「写真部」と書かれている。
中に入ったが、誰もまだ来ていなかった。
大学にもクラスはあるが、入学当初、引っ込み思案な性格が災いして友達を作り損ねた。それに反省してサークルには入って友人を作ろうと決意し、今のこの写真部に身を置いている。
しかし、ふとした時に、何か「焦り」のようなものが湧いてくる。俺の大学生活はこれでいいのだろうか、と。写真部に入ったことは後悔していない。しかし何かが足りない。
誰にも会わないと、余計なことばかり考えてしまう。
次の授業まではまだ時間がある。外に出て散歩でもしてこようか。
荷物を置き、カメラと傘だけを持って廊下に出た。
廊下に出た瞬間、向かい側の部室のドアもほぼ同時に開かれた。そこには見慣れたあの子が立っていた。
**次回予告(1-5)**
あまねに促され、文芸部の部室にお邪魔する直陽。部員の女の子から、あらぬ誤解を受けてしまう。
**作者より**
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