嵐の中へ
無事ヂリヲン光線銃を奪還して合流した司と鶴は階上から由宇と晶の様子を伺う。
階下からは怒り溢れる男性教師の怒号が外の暴風雨を物ともせず響き渡る。
由宇の挑発行為は成功し相手の怒りゲージ上昇で完全に男性教師を足止めしていた。
司と鶴が『2人の事はどうしたものか』と思案に暮れていると由宇が突然動く。
「晶。相手は鬼でも邪でも1人だ。二手に分かれて行動するぞ!」
「栗戸さん駄目です! 僕を1人にしないで!」
「生き残った方が作戦を完遂しヂリヲン光線銃を手中にするのだ!」
「待て栗戸! 今日は濡れて滑りやすいから廊下を走るな! いや普段から走るなよ!」
と教師は言うが「待てぃルパ○ン!」と声が聞こえてきそうな追いかけっこが始まる。
2人の足音と共に挑発と怒号が階下から遠のいた所で司と鶴が階段を下り晶と合流した。
「晶君おつかれ」
「…おつかれ…」
「東海林さん黒井さん。栗戸さんが栗戸さんが……」
「落ち着いて晶君。状況は理解しているわ。彼には生贄……囮として敵を引き付けてもらうわ」
「そうだ! 栗戸さんの為にも僕は作戦を続けないと」
「…その必要はない…」
「……えっ?……もしかして東海林さんが肩に担いでいるゴミ袋は……」
「想像通りよ! ヂリヲン光線銃は奪還したわ。このまま帰りましょう」
「えっと……栗戸さんは?……荷物は?……どうするのですか?……」
女性陣の片方は「あんた莫迦ぁ」と聞こえてきそうな顔で、もう一方は無表情で事務連絡的に。
同じ内容の言葉を同時に発した。
「この嵐の中で荷物を持ち帰るなんて莫迦の所業よ。下駄箱を確認すれば帰った事も分かるわ」
「…今日の荷物は必ず持ち帰る必要なし…濡れるだけ損…由宇は自業自得…自力で解決する…」
「2人共! 教室をちらかしたままですよ? 帰宅するなら片付けをしましょう」
「平気よ晶君。テーブルトークにはこんな格言と言うべき言葉があるの」
「どんな格言ですか?」
「設営から撤収までがゲームマスターのお仕事です」
司の言葉へ呆れて二の句も告げられない晶。
「森羅万象を担当する由宇なら新型感染症も暴風雨もチョチョイのチョイでおさまるわ」
「そんな人はいませんからね!?」
「…いる…神国には公式の場で堂々と言った人がいる…由宇も出来る可能性は否定出来ない…」
晶は後ろ髪を引かれながらも女子2人に押し切られて嵐の中へ帰宅の途についた。




