奪還成功
女性教師は、同時に入った司へ意識を向ける事無く、鶴から視線が離せないようだ。
司は視線を感知すると、女性教師の元へ向かう鶴から離れ別行動、男性教師の席へ向かう。
ヂリヲン光線銃は探す事なくすぐに見つかった。
男性教師も遊んでいたのだろうか?
卓上に本体1つと各種装備が置いてあり、残りは机の下に市指定45ℓゴミ袋へしまってある。
司は視線を鶴へ移し彼女の動きを確認。
完璧に女性教師の関心を引き付けていた。
「…………」
「出した課題が解けませんか? 一般的な問題はつまらないと思うので特別問題を出しました」
「…………」
「黙っていても分かりませんよ」
「…………」
「手ぶらで何を聞きに来たと言うのですか?」
「…聞きたい事が無くて質問に迷う…」
「……何をしたいのですか……好きに質問してくれて良いですからね……」
「…………」
鶴はみんなと遊んでいた為、問題そのものを一度も確認していない。
流石の鶴でも読んでいない問題は解けない。
チラリとでも見ていれば記憶をたどれた可能性があったのだが、全く眼中になかった。
教師が鶴へ一方的に話掛けるだけの不毛なやり取りが行われた。
その間に、司はヂリヲン光線銃セットを45ℓゴミ袋へまとめて、職員室から退室する。
彼女の退室と同時に鶴も女性教師の前から無言で立ち退く。
立ち去る鶴の背中へ女性教師が漫画ならば吹き出しにトゲが付く口調で呼び止めた。
「黒井さん! 何か一言ないのかしら?」
「…?…」
「先生は自分の仕事の手を止めてあなたへ付き合ったのよ?」
「…ありがとうございました?…」
「仕事を邪魔されただけで、あなたへ何も教えられていなかったみたいけどね」
「…ごめんなさい?…」
「まぁ良いわ。気が済んだのなら行きなさい」
「…失礼しました…」
鶴が職員室を出て扉を閉める時『無事終わった』と安堵する女性教師と目が合う。
一瞬だけ瞳へ憎しみが宿り、怯えに変化した後、瞳をそらされた。
その一連の行為で鶴自身は何も痛痒を感じないが『…嫌われている…』と再確認した。




