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いいなずけ無双~中身が小学生男子な学園一の美少女と始める同居生活が色々とおかしい~  作者: ひだまりのねこ


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第九十四話 白石姫奈の決断


「選手の助っ人が必要なのか、その足を治したいのか……ですよ、姫奈先輩」


 二カッと笑う桜宮撫子。先ほどまでとは打って変わって、まるで少年のような無邪気な笑顔。


 一体どちらが本性なのか? だけど……



「ふざけるな!! 私がどんな思いでここに来たと思っているんだ!! この足は……もう……元には戻らない……戻らないんだ」



「……無神経な言い方をして申し訳ありませんでした。ですが、治すと言ったのはいい加減な気持ちで言ったのではありません。治せる自信があるから言ったのです」


 怒鳴りつけた私から一瞬たりとも目を逸らさない桜宮撫子。


 嘘や誤魔化しで言っているようには見えない。


「もしかして……本当……なのか?」


「もちろんです、姫奈先輩」


 那須野茉莉、千家菖蒲そして星川葵が頷いて見せる。



「頼む……この通りだ。出来ることなら何でもする、だから……頼む」


 気付けば土下座をしていた。もちろん利き足は曲げられないので、床に身体を投げ出す形になっているが。


「頭を上げてください姫奈先輩。最初からそのつもりですから安心してください」


 桜宮撫子に抱き上げられて、ソファに連れていかれる。恐るべき体幹の強さだ。明らかに私の方が重いはずなのに……。



「治療を始める前に、姫奈先輩に話しておきたいことがあります」


「……なんだ?」


「その怪我ですが、偶然ではないですよ」


「なっ!? なんだって?」


「先輩を跳ねたドライバーですが、黒津家の息がかかっていました。おそらく見合い相手の黒津家の差し金でしょうね」


 頭が真っ白になる。それが本当だとしたら私は……


「待て、なぜお前たちがそんなことを知っているんだ?」


 事故のことはともかく、見合いのことは家族と限られたものしか知らないはず。


「ふふふ、姫奈先輩、私()()の許嫁が誰だかご存じですか?」


 許嫁? そういえば噂になっていたな。たしか……天津とかいっていたような……待てよ、天津って……もしや?


「そうです。宗主家嫡男次期当主、天津命、通称みこちんこそ、我が許嫁にして最愛の旦那さま」


 み、みこちん? っていうか宗主家の人間って実在していたんだな。まさか普通に一般の高校に通っているなんて知らなかった。


「待って、撫子、みこちんって呼んでるのアナタだけだから!!」


「そうですよ、命さんは命さんです」


「私はご主人さまと呼んでおりますが」


 ちょっと待ってくれ。つまり……ここにいる全員が天津命の許嫁……だとでもいうのか?


「その通りです、姫奈先輩」


 さっきから私の考えていることが筒抜けになっているような?


「私の持っている力の一つです。姫奈先輩にもあるんじゃないですか?」


「その通りだ。誰にも話したことはないが、フィールドを上から俯瞰してみることが出来る。鷹の目とか、ホークアイともいうそうだが、一流選手の中にはそういう力を持っている人もいるらしい」

  

「なるほど……もうすでにお気づきだとは思いますが、私たちは同じ一族です。そして、私が持つ治癒の能力は、みこちんの力で開眼したもの。だから身内以外に使うつもりはないのです」


 それは当然だろうな。そんな力を持っていると知られてしまえば普通の生活は送れなくなってしまう。私も一族の一員だから、守秘義務のことは十分理解しているが……


「つまり……私に身内になれと、そういうことか桜宮撫子?」


「無理にとは言いません。一族であれば身内も同然ですから、守秘義務さえ守ってもらえれば……」


「いや、身内になろう。諦めかけていた私の人生を救ってもらえるのならそのくらいの覚悟がなくては釣り合わない。それで……具体的にはどうすればいいんだ? 私もこの部に入れば良いのか?」



「とりあえず、みこちんの、天津命の許嫁になってみませんか、姫奈先輩?」


 と、とりあえず!? なんか軽いノリだが……?


「私は構わないが、天津命にはすでに四人も許嫁がいるのだろう? 大丈夫なのか?」


 どうせ高校を卒業したら婚約することになる。ならば次期当主である天津命、会ったことはないが、これだけのメンバーがどうやら心を寄せている人物ならば申し分ない。それに桜宮撫子を通じて怪我を治してもらう恩もある。


「ああ、言ってなかったですが、みこちんにはすでに13人の許嫁と一匹の許嫁がいます。なあに、姫奈先輩なら絶対に大丈夫ですって」


 な、なんだって!? じゅ、十三人? いや待て、それより一匹の許嫁ってなんだ?


「猫ですよ、姫奈先輩」


 ね、猫っ!? ま、まさか……天津命は見境の無い獣だとでもいうのだろうか……?


 なんか急に怖くなってきたんだが。


「ふふふ、大丈夫ですって姫奈先輩、みこちんは虫一匹殺さない心優しい男だから」


 頬を染め照れる桜宮撫子。


 桜宮撫子にこんな顔をさせる男……か。俄然興味が湧いてきたな。



「わかった。よろしく引き合わせ頼む」


 こうなれば当たって砕けろだ。これ以上悪くなることなんてないんだからな。


「わかりました。それでは今日の放課後、この部室で」


 

 いきなり今日会うのか。もうちょっとオシャレしてくれば良かったな。


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[一言] ペロペロは……お預けかぁ( ´∀` )
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