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いいなずけ無双~中身が小学生男子な学園一の美少女と始める同居生活が色々とおかしい~  作者: ひだまりのねこ


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第八十話 すべては女神の掌の上で


 すあまケーキ効果で、すっかり女神さまと打ち解けている許嫁の皆さま。


 いつの間にかテーブルに各種ドリンクが並べられている。


 ……これ完全に女子会だよな? 結婚式どこ行った?


 まあでも楽しそうで何より。おめでたい儀式なんだし、楽しい方が絶対に良い。


 

 だが俺の前にすあまケーキは無い。残念だけど無いものはない。なんとなく口が寂しいので、結局女神さまからいただいた煮干しをポリポリ食べる。


 うん、美味い!! とても煮干しとは思えない深みのある味わい。


 これはおそらく……無添加、無着色、大量生産ではない昔ながらの製法で作られた国産天然ものに違いない。


『ごめんね業務用スーパーで売ってる大量生産の海外産の安い煮干しよ』


 くっ……神の舌を持つ味覚系の許嫁が欲しい。


『命くんは何か飲む?』


 飲み物か……果たして煮干しに合うのは一体……?


 いや待て、この後キスしたりするかもしれないし、せっかくすあまの口になっているのに、魚風味にしてしまっては申し訳ない。となると相性よりもしっかりリセット出来る飲み物が良いか。


「緑茶ってありますか?」


『コールドもホットもあるわよ~。好きに取ってちょうだい』


 あんぐりと口を開けるひだにゃ……いや、女神さま。


 いくらひだにゃんの見た目とはいえ、女神さまの口に手を突っ込んだりして良いのだろうか? いや、そもそもひだにゃんの口に手を突っ込むという前提がおかしいような。



 ホットも捨てがたい。悩むけど……冷たい緑茶にするか。


「失礼します」


 女神さまの口の中に恐る恐る手を入れる。


『っ!? ん”ん”ん”あ”あ”!!!!』


「うわあっ!? す、すいません、苦しかったですか?」


『冗談よ』


 ……相変わらずよくわからない。


 ペットボトルの緑茶は、キンキンに冷えている。


 一体ひだにゃんの体の中はどうなっているんだろう。それ以前にこれだけの数のドリンクをどうやって調達したのか……謎は深まるばかりだ。




 お酒こそ無いものの、その後も女子会は盛り上がりを見せている。うんうん、仲良きことは美しきかな。


『あら……もう時間切れ? 楽しい時間はあっという間ね。じゃあ最後にみんな命くんとキスしちゃいましょうか』


 なんだろう……このとりあえずやっとくかみたいな感じは……。


 女神さまはもう少し時間の配分を考えた方が良いのではないかと思わなくもないが、きっとすべては掌の上、深謀遠慮に違いないからな。


『行き当たりばったりよ?』


 あ~、何も聞こえない、聞いてない。



 最初のキスの相手は撫子さんか。


 どうやら許嫁になった順番に並んでいるみたいだな。風呂場みたいに一斉にとかじゃなくて良かった。



「みこちん、こんな私だが末永く頼む」


 か、かわいい……え……撫子さんってこんなに可愛かったっけ!?


 いやもちろん元々とんでもなく可愛いんだけど、そうじゃなくて、瞳も潤んでいるし、顔が赤いし、和装も似合っているし、なんていうか食べてしまいたくなる。


「みこちん……さすがに恥ずかしいんだが!?」


 一層顔を真っ赤にして俯く撫子さん。


「えっ!? もしかして声に出してた?」


『せっかくだからみんなにも命くんの心の声が聞こえるようにしてあげたのよ』


 ……恥ずかしくて死ねる。


 羞恥心で死にそうになりながらも、何とか全員とキスをする。


 霧野先輩なんか今日許嫁になっていきなり結婚式で、初キスだけど本当に良かったのだろうか? 今更と言えばそうなんだけど。


「そんなこと気にしているんですか? 私は今とっても幸せですよ天津命くん」


 霧野先輩……俺も幸せですよ。必ず幸せにしますから!!

 


『あら? 命くん、感動しているところ悪いけど、まだ終わってないわ。ひだにゃんが残っているじゃない』


 え……だってひだにゃんって猫ですよね?


『何言っているの? 猫差別は良くないわよ』


 くっ……まさかぬいぐるみとキスをする日が来るとは……。


『冗談よ』


 もう何も信じられないよ。




『さあ、これにて婚姻は成った。神の名のもとにそなたらは死が分かつまでともに歩み、ともに支えあい、ともに困難に立ち向かうことになるでしょう。ずっと仲良くね。私はいつでも見守っているから……』  


 ひだにゃんの身体から金色の光が抜けてゆく。


 そして、部屋中に満ちていた祝福の光が一か所に収束していき、小さな光の玉となる。


『結婚おめでとう命くん。最後に私から貴方への祝福を贈るわ』


「うわあ!! か、体が……熱い!?」


 光の玉がちょうど心臓のあたりに吸い込まれた瞬間、全身が燃え盛るように熱くなる。



 こ、これは……まるで全身の細胞が生まれ変わったようなこの感覚……。


 女神さまの祝福か……なんだろうこの万能感……まるで神にでもなったかのような……とんでもない力が覚醒してしまったというのか?



『ふふ、祝福はね、すあま耐性よ。すあまを食べられなくてもある程度我慢できるはず。命くんには一番必要な力だと思うわよ』


 笑いながら消えてゆく女神さま。



 すあま耐性が1上がった!!


 ……ありがとうございます……とても役に立ちそうです(棒読み)


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― 新着の感想 ―
[良い点] すわ、チート能力か!? と思ったらすあま耐性……(笑)! この日常感と非日常感のバランスが最高です! [気になる点] それでも結婚式を経て、命君も許嫁、いや、もう嫁?の皆様も更に神力強化さ…
[一言] す、すあま耐性!? ていう事は、当分すあまは食べられん愛かもしれないって事ですかーー!?(;'∀')
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