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いいなずけ無双~中身が小学生男子な学園一の美少女と始める同居生活が色々とおかしい~  作者: ひだまりのねこ


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第百四十三話 白鷺 雪羽 


「あのわざわざ分けなくても……一度で運べる……」

「我々の調査では、ぴったりと密着しないと転移できないとわかっています」


 長の迫力に負けて、なぜか密着しながら数人ずつ転移を繰り返す羽目に……


 まあ大して時間かからないから別に良いんだけどね。



「さあ、最後は私ですね」


 最後に残ったのは、白衣衆の長、白鷺雪羽(しらさぎ ゆきは)さん。


「ご、誤解しないでくださいね? 別に最後に独り占めしようと思って残ったわけじゃあないんですからね? で、でも命サマがそうしたいなら私には拒絶する理由も無いですから……」


 どっちなんだろう……? なんか可愛い人だな雪羽さん。


 白面のせいで顔や表情は見えないけれど、もしかしてすごくわかりやすい人なのかもしれない。


「……普段はこんなではないのですよ。感情を一切出さないので『能面』と呼ばれています」


 ……えええっ!? 想像も出来ないんだけど。


「命サマ……私の素顔……見たいですか?」


 ドキッとする甘い声。唐突な問いかけ。見たいか見たくないと言われればもちろん見てみたいけれど。


「見せていただいても良いんですか?」

「……素顔を見たものは殺さなければなりませんが」


 えええっ!? いやなぜ聞いたし。


「ふふふ、冗談です」


 ……なんだろう、この既視感は。


「あの……長? 早く行かないと皆さん向こうで待っていると思いますが?」

「……雪羽とお呼びください」

「あの……雪羽さん?」

「命サマ……私のためにほんのひと時、時間をいただくことは難しいのでしょうか?」


 そんなことを言われたら難しいなんて言えないですよ。


 サンクチュアリ――――


「これで良いですか?」

「はぁ……これが……命サマのお力なのですね……」


 いつの間にか胸元に顔を埋めてクンカクンカしている雪羽さん。


「仮面を……外していただけますか」

「は、はい……」


 なんか服を脱がすよりも緊張するな……


 ゆっくりと紐を解いてそっと仮面を外す。



「いかがですか……命サマ」


「き……綺麗です……その……とても」


 切れ長で長いまつ毛が印象的な藤色の瞳は吸い込まれてしまいそうで、酷く冷たい印象があるのに確かな熱を帯びて不安そうに揺れている。その新雪のような白い髪と陶磁器のように白い肌はつつじ色に染まっていて思わず抱きしめたい衝動に駆られてしまう。


「命サマ、先ほどは冗談と申し上げましたが、実は白衣衆の長は、許嫁以外の異性に素顔を見せることはありません。私の素顔を知っているのは……家族とごく一部の者だけなのです」


「あの……ちなみに俺が雪羽さんを許嫁にしなかったら?」

「……その時は……命サマを殺して私も死にます」


 ひいい……選択の余地がなかった……


「わかりました。よろしくお願いしますね、雪羽さん」

「べ、別に、脅そうなんて思っていませんからね? 嫌でしたら断っていただいて構いませんからね?」


「断ったら殺されるんですよね?」

「はい」


 ……死にたくないし、別に嫌じゃないので許嫁にしますね。


「あ、勘違いしないでくださいね。脅されたから許嫁にするわけではないですよ。雪羽さん自身をこの目で確かめて、その上で、俺が許嫁にしたいって思ったんです」

「み、命サマ……はい……ありがとうございます」



 

「あの……そろそろ行きませんか?」

「そうですね……あと一回だけ強化してもらえませんか?」


 雪羽さんの見た目からは想像もできない情熱的なお願いを断ることなど出来ない。



 転移――――



 転移してきたのは、古い洋館。黒崎が人質を幽閉しているであろう場所だ。


 内部に転移が出来ないようになっているので、すぐ近くで一旦待機してもらっている。


 ひだにゃんの居場所はおそらくかなり深い地下だろう。


「天津くん、結界なんとかなりそう?」

「……大丈夫です。任せてください」

「助かるわ~。結構厄介な術式でね~私でもなんとかなるけど、時間がかかりそうだったから」


 神気の応用で結界の改変は可能だ。とりあえず内部に転移出来るように改変。侵入しても反応しないように上書きする。


「よし、これで大丈夫です。中にいる奴らは俺が無力化してきますから、一瞬待っていてください」


 サンクチュアリ――――


 とりあえず地上部分の連中を無力化。


 白衣衆と黒衣衆が雪崩れ込んで身柄と証拠品を押さえてゆく。


 「天津命、地下への入り口がわかった」


 理子ちゃんが捕えた連中の記憶を読み取って地下への秘密の入り口を見つけ出す。


「でかした理子ちゃん」

「別に……大したことじゃない」


 頭を撫でて欲しそうだったので、たくさん撫でまくったら殴られた……なぜだ?



「じゃあ本命の地下へ行きますよ~」


 雅先生、雪羽さん、理子ちゃん、杏、他エレベーターに乗れるだけの人員で地下へ降りてゆく。


「理子ちゃん、霧野先輩は何階にいるんだ?」

「地下十三階だ……人質は階層別に分けられている」


 階層別か……手分けしても良いんだけど、危険が無いとも限らない。面倒だけどサンクチュアリで一つずつ階層を解放していった方が間違いないだろう。


「上から順番に行きましょう」

「そうね……その方が安心かもしれない」



「こ、これは……」


 地下からは人質だけではなく、黒歴史ノートなどの物品も多く見つかった。


 黒崎……なんという非道な……これは逆らえない。


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[一言] >「ふふふ、冗談です」 女神さまが取り憑いてんのか(;'∀') そして……叩けば埃が出る領域……マスク、いや防護服は持ったかミコちん?(;'∀')
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