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いいなずけ無双~中身が小学生男子な学園一の美少女と始める同居生活が色々とおかしい~  作者: ひだまりのねこ


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第百四十二話 白衣衆


 ガクガクブルブル……恐ろしい(うたげ)だった。


 自分の身体を切り分けられて食べられるというこのホラー。


 どうやらこの状況で眠れるほど俺はまだ達観出来てはいないらしい。



「……ふぅ。ようやく皆さん寝てくれたみたいだな」


 救いなのは俺のすあま、つまり神気を体内に取り入れるとそれを消化するために滅茶苦茶深い眠りに誘われるらしいということ。しかも虫歯にならないので安心。食べながら眠れるという実に羨ましいものなのだそうだ。


 それくらい都合が良いのに俺には何の恩恵も無いという……あ、でもあふれ出る神気を食べてもらわないとこの世界に留まれる時間が短くなるって女神さまが言ってたっけ……。そう考えたら少し気が楽になってくるような気がする。


 それにしても東宮司家の皆さまも含めて数十人、まるで女子高の修学旅行に一人だけ参加したような気分だったよ。うーん……いつかこんな状況すら楽しめるようになるのだろうか?



『……命、起きてる?』 


 ようやくうとうとしてきたと思ったら……キアラさん? こんな夜中に何の用だろう。


『はい、起きてますよキアラさん』


『雅から連絡だ。これから蒼空とかすみちゃんを救出するから戻って来てくれってさ』


 えええっ!? ちょっと待った、戻るのは良いけど霧野先輩いつの間に捕まっていたんだ……?


 でも救出するということは、居場所が分かったということなのだろう。出来れば明日の会議前に片づけておきたかったから良かったな。


『わかりました。ではちょっと行ってきますね』

『待て命』

『わっ……き、キアラさんっ……!?』


 有無を言わせず情熱的に唇を重ねてくるキアラさん。


『ふふ……これが一番効率的だと聞いたのでネ。しっかり助けて来るんだヨ、私のヒーロー』

『……はい、キアラさん必ず』



 転移――――



「お帰りなさーい。天津くん」


 待ち構えていた雅先生に抱き着かれる。くっ……相変わらず凄まじいボリュームだ。先生背が低いから当たる場所が危険なんだよな……。


「雅先生、それで二人はどこに?」

「……天津くん? 何か忘れていませんか~?」


 目を閉じる雅先生。ああ……すいません気付かなくて。


 雅先生を抱き上げてただいまのキスをする。


「……ちょっと天津くん……やり過ぎです~。私じゃなかったら寝てしまっていますよ?」

「す、すいません」


 うーん……気持ちが入るから加減が難しいんですよね……。


「二人はひだにゃんと一緒に居ますから居場所分かりますよね?」


 なるほどね……ひだにゃんを目印に使ったのか、さすが雅先生……はい、嫌でもわかりますよ。ものすごい存在感放っていますからね……。


「大丈夫です。じゃあちょっと行って助けてきますね」


「待って天津くん。他にも多数の人が捕まっているみたいなのよ。多分直下五家の関係者だと思う。黒津家の主要人物と黒崎は明日の会議のためにもう出発して不在だから、この機会に一気に証拠を押さえて、けりをつけるわ。私たち白衣衆と黒衣衆も連れて行ってもらえると助かるんだけど?」


 なるほど……救出と同時に証拠も押さえれば一石二鳥。さすが雅先生だな。


「わかりました。今の俺なら何人でも連れて行けますからね!!」


 結界村に出発する前は一人が精一杯だったけれど、今は違う。感覚的にだけど、許嫁全員でも可能な気がする。


「頼もしいわね、さすが天津くん~。じゃあもう一度キスして」


 言われた通りキスをする。


「あの……今のは何か意味が?」

「意味が無ければキスしてくれないのかしら?」


 ちょっとすねた感じの雅先生が可愛いんだが。可愛い先生って最高ですよね。




 その後、白衣衆の皆さまと対面することになった。


 雅先生以外の白衣衆の方々と直接会うのは初めてだけど、全員白面を付けているので顔はわからない。声や体型からすると全員女性のようだけど。


「こうしてお会いするのは初めてですね。白衣衆の長、白鷺雪羽(しらさぎ ゆきは)です」


 おお……雅先生の上司の方だよね? 明らかに一人だけ服装が違う……白地に金彩が入っていて、いかにも長って感じの貫禄がある。明らかにオーラというか神気の質が違うな。


「初めまして、天津命です。今夜はよろしくお願いします」

「か、勘違いしないでくださいねっ!? 捜査を一緒にするだけなんですからね? 一緒に寝たり、イチャイチャしたりしませんからね?」

「え……あ、はい」


(おさ)、一度落ち着きましょうか?」

「ごめんなさい雅。少々取り乱しましたね」


 白衣衆の長って、もっと白髭の長老みたいな人をイメージしていたんだけど……


「あの……雅先生?」

「気にしないでね。白衣衆はもともと天津家を推す集団から発生していますからね。つまりは熱狂的なファンクラブのようなものです」


 えっと……情報組織じゃなかったの? ファンクラブのようなものですとか言われても対応に困るんですけど。


「それじゃあ雅先生も?」

「もちろんです。メンバーからの羨望や嫉妬はすごいですよ~」


 即答されてしまった。そうか、よくわからないけど雅先生も大変なんだな。


 

「天津命、いつまでもたもたしているんだ? 早く行かないと夜が明けてしまうぞ?」

「主殿、黒衣衆全員準備は出来ております」


「すまない、理子ちゃん、杏、よし出発しようか」


 

 待っててくださいね、蒼空さん、霧野先輩、今助けに行きますから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 神様や巨人の中には、バラバラにされて世界とかの一部にされる奴がいるけど……まさにそんな宴やったな(゜Д゜;) そしてついにカチコミ!! 罠とかありそうですねぇ(;'∀')
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