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いいなずけ無双~中身が小学生男子な学園一の美少女と始める同居生活が色々とおかしい~  作者: ひだまりのねこ


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第百二十三話 隠れ砂糖の結界セット


「きゃああ!! このチーズすあま本当に美味しい!!!」

「うむ……これは……こちらの味噌味のすあまも至高」

「はうう……みたらしすあま、もう死んでも後悔はしない美味しさだネ」


 惚けそうな表情ですあまを食べるキアラさんと妹たち。


 くそっ……なんて理不尽な三種盛り合わせなんだ。味の想像が出来ない。っていうかすあまの味をそもそも知らない……


 駄目だ……とても一口くれなんて言い出せる雰囲気じゃあない。


 これはアレだな……武を極めし者だけが纏うといわれている覇気だよな。


 三者三様、三人から立ち上る強者のオーラに震えが止まらない。


 

 さらに言えば、すあまに視線を向けただけで何か見えないものに弾かれてしまう気がする。


 まさか……これが噂に聞く『すあま結界』……なのか? 


 

 くそっ……こうなったら隠れ砂糖の結界セットの到着を待つしかない。



「お待たせしました~。こちらが隠れ砂糖の結界セットになります」


 こ……これは……? か、カレー?


 てっきりスイーツだとばかり……でも香りは甘いんだよな……


「こちらのセットは、結界を決壊させて楽しめる仕様になっております!!」


 結界を決壊……ナイス駄洒落とツッコんであげた方が良いのか悩むところだな。


 だがなるほど……要するにライスをダムに見立てたダムカレーみたいな感じなんだな。結界を守る村でいかにも不謹慎な気がしないでもないけど。


「えっと……このライスみたいな白いのは?」


「はい、結界に見立てた石灰です。ぷぷぷぷ……」


 あの……その駄洒落かなり微妙なんですけど面白いですか!? っていうか石灰って食えるんでしたっけ!?


「ですがご安心ください。現在はラムネで代用しております」


 え……? 現在はって、昔は石灰使っていたの!? 怖いんだけど……


「で……このルー、じゃなくてタレ? をかけて食べれば良いんですよね?」


 大きめのソースボートにたっぷりと入った茶褐色のドロッとした液体。おそらくこれが隠れ砂糖で作られているんだろうとは思うけれど。


「はい、お好みでお楽しみくださいね」




 うむ、見た目は悪くない……悪くはないんだが、滅茶苦茶甘そうだ。ライスが甘いラムネな時点で逃げ場が無い。だがそこは苦めのお茶と合わせれば問題ないだろう。


 そして……タレはみたらし団子のタレよりもっと色が濃い。果たして醤油系なのかカラメル系なのか……? どちらも大好きな俺に死角はない。


 しかし一気にかけてしまうのはさすがに無茶だと、俺の本能が警鐘を鳴らす。


 まずは味見だな。



「おお……美味い。なんという爽やかな甘さ。しっかり甘いのに後に残らない上品な甘み」


 続けてライス……いや、ラムネを口に入れる。


「うおっ!? と、溶ける……シュワシュワしてる~!!!」


 タレとの相性が想像以上に素晴らしい。シュワシュワしたラムネと合わさった香りのハーモニーが鼻から抜けてゆき、脳を喜ばせる。



「問題は……これだよな」


 そうなのだ。タレの中に見え隠れするゴロゴロ野菜のような何か。


 どう見ても人参、ジャガイモ、玉ねぎにしか思えないんだけど……?


 いつまでもビビっていても仕方がない。


 ここは男らしく一気に行く。


 ソースボートに入っているタレを一気に流し込むと、ラムネからすさまじい勢いで霧のような煙が発生する。


「命っ!? 馬鹿な……一気に行くなんて死ぬ気か!?」


 キアラさんが悲痛な叫び声をあげる。

 

 え……? 俺なんかやっちゃいました?


 そう言っている間にも霧の発生は留まることを知らず、店内は視界不良の状態に……


 や、ヤバい……俺のせいで店が大変なことに!?


「お、お客様~!! 早く、早く食べてください~!!」


 店員さんの叫び声で我に返る。そ、そうか、食べれば良いんだな。


 こうなってしまったら、もはや味わっている余裕などない。ひたすら手探りでスプーンを動かして、霧の発生原因を口に運ぶ。


 例のゴロゴロ野菜みたいなヤツだが……コレまんま野菜じゃん!?


 最初吐きそうになったが、これがまたタレと合うんだよ。野菜自体に甘みがあって、もしかしたら品種自体普通の野菜と違うのかもしれないな。


「ふう……ご馳走様でした」


 どう食べるのが正解なのかいまだに全くわからないが、めちゃくちゃ美味しかった。なんというのか、全身の細胞が生まれ変わったようなフレッシュな感覚。寝不足でもやもやしていたのが、一気にすっきりした。うーん、余は満足じゃ。



「……お兄さま、それ、美味しいの? 私も食べてみようかな」


 すあまが興味津々。


「でも、すあまはすあまセット食べたろ?」


「甘いものは別腹……だよ、お兄さま」


 ……どっちも甘いものなんだが。


 とはいえ、可愛い妹のために追加注文するのはやぶさかではない。まあすやキアラさんと分ければ良いんじゃないか?


「お兄さま、私も頼む!!」


「命、私も食べたくなっちゃった」


 え……? 皆食べるの?


「すいません、隠れ砂糖の結界セット三つ追加で」

「ご注文ありがとうございます~!!」


 金額のことは考えないでおこう。なあに……金ならある。


 それより俺何しに来てたんだっけ? あ……結界だ。



 恐るべし結界の威力。こうやって人を近づけないように無意識に働きかけているんだな。


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― 新着の感想 ―
[一言] 話を脱線させるだなんて……結界恐るべし(;'∀')
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