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いいなずけ無双~中身が小学生男子な学園一の美少女と始める同居生活が色々とおかしい~  作者: ひだまりのねこ


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第百六話 人目が気になるお年頃

 空津グループ本部ビル総裁室



「何っ!? 零が天津家の嫡男と? そうか……そうなったか。ふふふ、さすがは我が娘。よくやった」


 報告を聞き、満足そうに頷く空津グループ総裁、空津天空(からつ てんくう)


「しかし総裁、たしかにおめでたい話ではありますが……」


 脇に控える秘書が厳しい表情でつぶやく。


「……黒津のことか? そうだな……たしかに連中一体何を企んでいるのか知らんが、そろそろ本気で止めないと大変なことになるやもしれん。蒼空(そら)、すまないが、黒津の動向と娘のことを頼めるか?」


「はっ、かしこまりました。それから、黒津家の発議の件ですが……」


「くだらん。突っぱねておけばいい。もっとも、我々が賛成しようがしまいが、どうやら成立しそうだがな」


「はい……まさか海津まで賛成に回るとは……」


「直下五家も落ちたものよ。大方、何か弱みでも握られたのだろうが……私からも長老会に働きかけてみる。後手に回る形になってしまったのは、私の見通しの甘さだな」

 

 空津天空は自虐的に笑う。


「はい…では行ってまいります」


「蒼空、くれぐれも無理はするなよ。深入りは禁物だ」


「はっ、肝に銘じます」



 一礼をして部屋を出てゆく蒼空を見送ると、天空は深く息を吐く。


「いよいよすべてが動き出す……何事も無く無事すめばいいのだが……」


 

◇◇◇



「あの……零先輩?」


「なんですの?」


「やっぱり……その……人目とか気になりませんか?」


 生徒会の仕事はみんなで協力したので、今日だけで相当程度終わらせることができた。


 それは良いのだが……なぜ俺は今、零先輩をお姫様抱っこしているのだろうか?



「注目されるのは慣れてますわ。お気になさらず」


「は、はあ……」


 当たり前の話だが、ただでさえそのゴージャスな美貌……しかも白髪の零先輩はめちゃくちゃ目立つ。


 ハリウッドスターが、近所の商店街に迷い込んでしまったレベルの浮き具合。しかも零先輩の制服もやはり特注品のバリバリ。会長って制服を特注しなければいけないルールでもあるのだろうか?


 そして、そんな零先輩をお姫様抱っこして歩いているんだから注目されないはずもなく……


 道行く人々が二度見、三度見してくるのがわかるから結構恥ずかしい。だいぶ注目されるのに慣れたかと思っていたんだけど、本職の人に比べるとまだまだなんだと痛感するよ。


 皆は自転車で先に帰ってしまったけれど、零先輩は帰国したばかりだし、そもそも車での送迎だったので、自転車が無い。 


 ならば車でと思っていたら、なぜか送迎車を追い返してしまったのだ。



「零先輩、なんで送迎車を追い返してしまったんですか?」


「命と一緒に帰りたかったからですわ」


 か、かわいい……赤い顔でそんなことを言われたら何でもしちゃいますよ。そう、お姫様抱っことかね。


「ちなみになぜお姫様抱っこなのか聞いても?」


「憧れだったからですわ」


 ふわふわの真っ白な髪が夕日を反射して輝いている。今にも消えてしまいそうなほど儚げなその微笑みが、なぜだろう……切ないほど悲しく感じるのは。


「ふえっ!? み、命? ち、ちょっと待って、そんなに強く……あわわ、か、顔が近いですわ!! すとーっぷ!!」


 あわあわしている会長が本当に可愛いんだけどどうしよう。



「……なあ天津さん、良い雰囲気のところ悪いんだが、私もいることを忘れないでくれ」


 そうなんだよな。なぜか俺の背中にしがみついているのが、サッカー日本代表のエース、姫奈先輩。そのせいで、さらに注目を集めてしまっていることは言うまでもない。


 姫奈先輩もこれまでサッカー部の寮に住んでいたから、自転車はないし、家に帰るときはトレーニングを兼ねてランニングで帰っているんだとか。なんてストイックなんだろう。 


 丁度練習が終わるころに迎えに行ったんだけど、お姫様抱っこされている零先輩をみて、じゃあ私はおんぶと言ってきたんだっけ……。いや、良いんだけどね、大歓迎だよ本当に。人目さえなければね。



「あの……姫奈先輩、もし良かったら二人一緒にお姫様抱っこも出来ますよ?」


 今の俺なら、片手に軽自動車くらいなら余裕で持ち上がるからな。女の子二人くらい小指一本でもいける。もはや人間やめてるレベルになっている自覚がある。



「ふえっ!? お、おおおおおおお姫様抱っこなんて恥ずかしくて……良いのか?」


 恥ずかしがりながらも期待に瞳を輝かせる姫奈先輩。


 やはり姫奈先輩もお姫様抱っこしたかったのか。最初に言ってあげれば良かったな。悪いことしちゃったよ。


「失礼する」

「どうぞ」


 おお……マシュマロのように柔らかい零先輩と、弾力のあるゴムまりみたいな姫奈先輩。どちらがとかじゃなくて、どっちも違った良さがある。


「お、重くないか天津さん? ほら私筋肉の塊だから……」


 恥ずかしそうに顔を伏せる姫奈先輩。これがギャップ萌えというやつなのか……?


「いいえ、羽毛のように軽いですよ、姫奈先輩」


 気にしないようにはっきり言ってあげないといけない。若干の誇張はあるけど嘘は言っていないですよ?


「そ、そうか、天津さんはたくましいんだな……」


 姫奈先輩……うっとりとした表情で胸板にすりすりするの破壊力がヤバいんですけど……?

 

「ずるいですわ、姫奈。私もしてみたいです」


 零先輩……対抗するのは構わないんですが、ぐりぐりされるとくすぐったいんですが!?


「まあ……細身に見えるのに、命は細マッチョなんですわね!!」


 くふふ……いかん、もう限界だ。


「ひ、姫奈先輩……零先輩を押さえておいてください。くすぐったくて死にそう……」


「あはは、零、そこまでにしておけ。天津さんが苦しそうだぞ?」


「ふえっ!? ひ、姫奈、どこを押さえているんですか!!」


「ほう……意外と着やせするタイプなんだな?」


 あの……姫奈先輩……別の意味で辛いのでやめてもらっても?  


 そうか……零先輩は雅先生、霧野先輩タイプ……いや、何でもない。何でもないんだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ダブルお姫様抱っこ(゜Д゜;) 二段重ね……? いやもしかして腕一本で一人を乗せて……? 上腕に膝裏乗せて手で腰を支える形かな????
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