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世捨て人龍の配信生活~迷宮の底で人型龍になったけれど生活を充実させたいので配信者します~  作者: 嘉神かろ
第7章 人を問う世界

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第197話 ここがパリか

197

 セーヌ川を一度越えた先、住宅地として使われているらしい区画に降りて、エッフェル塔に向かう。目的なんて無いから、とりあえずの目印だ。


「ハロさんは来たことありますか?」

「いや、フランス自体ないね」

「ほな、今回は私らがガイドやんな。詳しいわけやあらへんけど」


 ほー、二人は来たことあるのね。ガッツリお嬢様だし、然もありなん。


「まあ、そもそも三百年前ですしね」

「そやけどここらは変っとらんし、多少はできるやろ」


 今のみたいに昔はこうだったーでも十分面白いからいいんだけども。


 少なくともこの辺りは、人の領域のまま居住を主目的とした地域として使われている。今のところお店もあまり見てないし、商業区画が別にあるんだろう。


 それがおそらく今向かってる先で、つまりは人の領域が狭まっていないということだ。

 天使、特にグラシアンが頑張ったのかな? 大迷宮も攻略したみたいだし。


 日本みたいに人間たちが頑張った可能性も一応あるんだけど……。

 いや、これについては気にしないでおこうか。私が口を出す問題じゃない。


 それより、今は観光を楽しもう。


 なんて考えている間に、気がつけば、周囲はずいぶん背の高い石の建物ばかりになっていた。見える範囲だと、だいたい六階建てくらいの建物が多いだろうか。なんだか自分が小さな存在のように思える。


 聞けば、ここら辺がパリの中心部らしい。旧時代にテレビやネットで見たような光景が広がっていて、パリに来た実感がようやく湧く。


「日本のビル群とはまた違った圧迫感があるね。重厚というか何というか」

「ですねー。押し潰されそうな感じです。不思議ですよね」

「せやなぁ。今の私らなら、軽く持ち上げられるやろうに」


 うっかり落としても傷一つ付かないだろうしね。

 この辺は人間だった頃の記憶から来てるのかね?


 相反する結果予測をもたらす二つの経験かー。これ使って悪さできそうな気がする。

 脳科学だったり心理学だったりは専門外すぎて上手くできるかは分からないけども。


 それはそれとして、意外と人がいるね。竜との戦争もあるし、魔物の存在もあるし、もう少し人口は減ってるものだと思ってたよ。


 空からは遠くに防壁も見えたから、この近辺全体で言えばちゃんと減ってるのかもしれないけど。


 もう一つ、気になったことがある。目につく種族のことだ。


「人間ばかりですね」

「やな」

「だね。大迷宮も攻略されてるし、もっと色んな種族がいると思ってた」


 配信に来てた人らも複数種族がいたみたいだったし。


「宗教的な問題やろな。人間であることに誇りでもあるんと違うか?」

「ありそう」


 文化人類学系の本だと、彼らの宗教の人間観にはそれっぽいところがあるような記述があった。私の専門とは別だから詳しくはないけど。

 その辺の考察はまた時間があるときにでも持ちかけてみようかな。二人なら一緒に楽しめるだろうし。


「人間で思い出したけどさ、私らの総称ってけっきょく、()でいいの? 人間種族だとか、最初の頃は色々呼ばれてたよね」

「せやな。人呼びで統一することには一応なっとる」

「そういえばハロさんが中国にいる間でしたね、その辺が決まったの」


 あらま、そんな前に。

 日本の情報にも少し疎くなってきちゃったな。まあ、帰ったときの楽しみが増えたと思えばいいか。


「いうても、私らを人の括りに入れていいかは怪しい言われとるけどな。称号にも()ってついてもうたし」

「ですねー。自分としては人のつもりなんですけど、他の人たちから逸脱してるのは間違いないですからね」

「他の始祖連中も神格化されはじめとるらしいしなぁ。称号の方は知らんけど」


 やっぱり、二人も神の称号を得ちゃってるんだ。そうだろうとは思ってたけど、正直、少し嬉しい。人々が勝手にする神格化とは、まったく違う意味を持つものだろうから。


「三百年だもんね。百年や二百年しか生きられない種族なんかはもう奉られててもおかしくないか」

「聖戦もあったしなぁ。黎明期を乗り切ったんはでかいで」


 長命種の始祖はさすがにまだだろうけど。

 あ、でも鬼秀は怪しいか。なんなら神と付く称号もありそうだ。あれはきっと認められる。


 グラシアンもあの感じだと持ってそう。宗教的に神じゃなくて天使がらみの名前の可能性もあるけど、少なくとも、同じ意味合いを持つものはあるんじゃないかな。

 そうなるとますます、いつかした予想が現実味を帯びてくる。


 これについては、二人にもそのうち共有した方がいいんだろうね。


「あの時は大変でした。大変でしたけど、そのおかげでこうして三人で町歩きできてるんですよね」

「やな」

「だね」


 夜墨が引き留めてくれて本当に良かったって、しみじみ思うよ。

 

 ……あ、令奈のこのジト目、私が一回見捨てようとしてたのバレてるね?

 私が迷宮攻略しまくったせいなのは確実にバレてる。


 これは、一応誤魔化しておくべき? いや、何も言われてないのに誤魔化す方がおかしいか。

 見捨てようとしたこと以外不可抗力だしね。うん、そうしよう。


「……ハロさん、一回見捨てようとしたんですね?」

「なにその精度怖いんだけど」


 前々から思ってたけどさ、論理でどうこうできるレベルを超えてると思うんだ。超能力の域だよ。魔法が現実になった世界で言うのもなんだけど。


「やっぱり……」

「あー」


 くっ、孔明の罠だったか!

 まあほぼ確信してただろうから一緒だけども。


 それはそれとして、何か要求される流れになる可能性があるので無理矢理断ち切ります!


「そんなことよりさ、そろそろお昼だけど、お腹空かない?」


 返事が、ない。さすがに無理矢理過ぎた?

 とりあえず、その目は美少女二人からのジト目がご褒美な人たちに向けた方がいいと思うんだ。私に向けられても目を泳がせるだけだからさ?


「はぁ……。まあ、実際お腹は空きましたし何かお店探しますか?」

「ええんやない? ただ歩いとるだけなんもアレやしな」


 よし、勝った!

 正確には諦めてもらえただけど、勝利は勝利!

 膝枕とか要求されなければそれでいいのだよ。



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