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世捨て人龍の配信生活~迷宮の底で人型龍になったけれど生活を充実させたいので配信者します~  作者: 嘉神かろ
第5章 幻想に惑う世界

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第136話 お客さんは鬼か蛇か

136

「今の皇帝、よくないの?」


 ちょっと単刀直入に聞きすぎたかな?


「そりゃあねぇ。汗水たらして稼いだspは殆ど全部持ってかれちまうし、ちょっと逆らうだけで首が飛ぶし。これより悪い皇帝なんているのかね?」


 なるほどね。二百五十年も国が続いてるだけマシではあるんだけど、酷いは酷いね。

 都に近い北の方はどうなってるやら。


 とりあえず、独裁を成り立たせられるだけの武力があるのは分かった。軍を絶対視してる風なコメントや、宮仕え云々のコメントの意味も。

 国境での小競り合いとやらも、ぼんやり背景が見えてきたかな。まだ推測の域を出ないけど。


 何にせよ、この村はかなりの安全圏にあるらしい。


「代替わりされるかも分からないし、されたとしてもねぇ? ()()()辺りがなってくださったら良いんだけど」


 ふむ。今の皇帝は思った以上の力を持ってそうだね。皇子たちは皇子たちで問題があるっぽいし。

 とりあえず、(もん)(きみ)については頭の片隅に置いておこう。


 他にも八人ぐらい皇子や皇女が居るみたいだけど、おばさんは詳しくは知らなかった。門の君について知っていたのも、この辺り一帯を治めてるからってだけみたいだね。偶にこの村にも来るらしい。


 その後も雑談は続けたけど、特に面白そうな情報は無かった。強いて言えば、皇帝が長命種の可能性があるってくらいかな。四十を超えるおばさんが前の皇帝について一切知らなかったから。


 辺境すぎるわ文明水準が低いわで、確信はできないんだけど。

 文明水準についても、皇帝が原因で衰退したのか、元からなのか判断がつかない。旧時代でも、文明の気配が少ない地域っていうのは存在してたから。


 まあ、その辺りを知っていくのも旅の醍醐味でしょう。ある程度は人と関わることになるけど、まさか、こんな弾丸旅行で深い関係を築くことはあるまいて。


 せいぜい、こうして宿を借りるくらいの関係までだろうね。

 ……うん、今夜はおばさんちに泊まる事になったんだ。遠慮したんだけど、押し切られちゃった。


 断るのが面倒だったっていうのもある。恐るべきはおばちゃんパワーよ。


 なんにせよ、今日はもう寝る。明日起きて村を出たら、配信再開かな。


「それにしても、いつ接触してくるかね?」


 漸く夜墨と二人になれたから、寝る前の雑談に聞いてみる。

 おばさんたちを驚かせすぎても良くないと思って、ずっとただの襟巻になっててもらったんだよね。夜墨も今は、枕もとで蜷局を巻いて休む体勢に入ってる。


「さあな。早ければ今晩にも来るのではないか?」


 今晩かー。そうすると、おばさん達には黙って出ていくことになっちゃうね。

 窓の外を見てみると、月の位置はとっくに一番高い所を過ぎていて、隣の部屋からはおばさんと娘さんの寝息が聞こえてくる。


「まあ、私はいったん寝るよ。夜墨は?」

「私は起きているつもりだ」

「じゃあ近づいて来たら目覚ましよ――噂をしたのは失敗だったかな?」


 影が差しちゃったよ。

 仕方ない。おばさん達には手紙と、一宿一飯へのお礼を置いて出発するかな。


 迷宮で拾ったのに何か良いもの無かったかな?

 んー、あ、あれが良い。怪力になれる腕輪。私がつけてもあまり意味のない程度のものだけど、人間のおばさんや娘さんには十分でしょ。


 あとは手紙だけど、中国語分からん。翻訳魔法の応用でいいか。


 なんてやってる間に、お客さんは窓の下まで来たみたい。こちらの様子を窺ってるから、気を引く方法を考えてるんだろうね。


 最初にこの人の気配を感じたのは、畑に着いた頃かな。

 相手するのは、正直、凄くめんどくさい。無視して旅立っても良い。

 けど、なんか色々知ってそうなんだよ。情報はあるに越したことないし、面白そうでもあるから、てことで応じることにした。


「今行くよ」


 あ、驚かせちゃったか。分かりやすく固まっちゃった。

 気配を隠すのに自信があったのかもね。実際、昼間の野盗どもよりずっと強いのが分かる。

 それに、この気配は……。


 おっと、あまり待たせても悪い。手紙とお礼をベッド、というか寝台? の上に置いて夜墨を首に巻き、玄関から出る。

 待っていたのは、黒づくめで顔を隠した女の人だった。


「それでお姉さん、こんな夜更けに何の用? パーティのお誘いにしては、地味な格好だけれど」


 ちょっとおどけて見せる。お姉さんって言葉に僅かな動揺が見えたけど、これはまあ、私が悪いね。体型も何もわからない格好してるんだもの。

 でもごめん、それくらいなら匂いで分かるんだ。


「我らが主君がお待ちです」


 ふむ、主君。これが物語なら、例の門の君とやらが出てくるところだけども。

 まあ、会ってみますか。


 お姉さんに首肯を返して、先導してもらう。向かう先は村の外。真っ暗な森の中だ。

 人間なら一歩動くことすら戸惑われるような暗やみだけど、お姉さんの足取りに迷った様子はない。当然のごとく枝葉を避けながら、森の奥へ奥へと入っていく。


 そうして連れてこられたのは、山肌にぽっかりと口を開けた、洞窟の中だった。

 けっこうな出入りがあるみたいで、入口周辺はしっかり踏み固められている。中もある程度、足元や壁を整えてあった。


 主君とやらの気配は、既に捉えている。

 なるほど、面白い気配だ。それに割と強い。ミヅチくらいかな。


「こっちにもまあまあ強い人がいたんだね」


 お姉さんに反応らしい反応は無し。さっきは油断してただけかな。

 まあ、魂力の揺らぎでイラつきを感じてるのは分かるんだけど。主君さん、慕われてるねー。


 と、油断しちゃダメか。今の私はかなーり弱体化してるんだから。まあ、ミヅチレベルなら全然勝てるけど。


「この先です」


 色んな人とすれ違いながら複雑な道を抜けた先、一番奥と思しき場所に、金属で補強した扉があった。

 中には戦闘を生業にしてそうな気配がいくつか。そうでない気配もあるね。


 その扉をお姉さんがノックする。

 続けてお姉さんの口から出た名前は、私に色んな予感を抱かせるのに十分すぎるものだった。



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