表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雫物語~Myth of The Wind~  作者: クロプリ
ロキの妙計
75/221

隠された真実1

 航太は事情を把握する為に、総大将であるアルパスターのテントに向かおうとするが、人垣を掻き分けて進むのは一苦労だ。


「私も、付いて行っていい?」


 何故だかゼークも話を聞きたがっているので、2人で人垣を掻き分けて進む。


 全く記憶にない事態が起こっており、ゼークの申し出は航太にとって正直心強い。


 握手を求められたり、背中を叩かれたり……………揉みくちゃにされながらも、2人はアルパスターのいる本陣に辿り着いた。


「将軍!!ちょっと、話をしたいんスけど……………いいっスか?」


「入れ!!」と、中から声がしたのでテントに入ると、初老…………と言うには若い、60代ぐらいに見える女性がアルパスターと話をしている。


 その女性は、着ている物こそ質素に見えるが、体の内面からは気品が感じられた。


「航太と……………ゼークも一緒か。夜の活躍は聞いたぞ。しかし、いくら焦ってても私には相談してから行くべきだったな。ガヌロンが知ったら、また大変だぞ…………」


 呆れた顔をして話すアルパスターの言葉は…………しかし、その声に刺は無く、寧ろ労いの気持ちが強く篭っているように感じる。


 ただ総大将までが、自分の記憶の無い出来事に対し労いの言葉をかけてくれる……………航太は、本気で自分が心配になってきた。


「将軍……………オレ、村を救ったって記憶が全く無いんですよ!!そんな事あるんですかね??」


「昨日、ランカストと酒を飲んだんだろ??アイツの勧める酒は強いからなぁ……………大分、酔ってたんじゃないか??」


 航太の心配そうな表情を見て、アルパスターが「心配するな」と肩を叩く。


 これ以上考え込むと頭がおかしくなりそうな航太は、それで納得しようと心に決めた。


 しかし、ゼークは納得がいかない。


「将軍!!仮に、航太がレンヴァル村を救ったとして…………不死身のスリヴァルディを倒し、フェルグスにまで打ち勝った……………酔った体で、そんな力が出ると思います??私と智美と…………3人で戦っても、その2人に手も足も出ないでボロボロにされたんですよ!!」


 その時の戦いで、ゼークは智美をヨトゥン軍の中に置いてきぼりにしてしまった…………エアの剣を持ち出した男の力が、そこまで凄いのであれば、どうしてあの時助けてくれなかったのか…………口止めされているとは言え、どうしても聞きたかった。


「そう…………私もソコが疑問だったんだが…………彼女が解決してくれたよ」


 アルパスターはそう言うと、目の前にいる女性に目を移す。


「始めまして……………私はフェルグスの母で、ロータ・マクロイヒと申します。あなたが、風のMyth Knight様ですね?助けて頂き、ありがとうございます」


 気品のある女性はそう言うと、深々と一礼する。


「聞いての通り、その方はフェルグスの生みの親だ。ゼークはゲッシュを知っているな。フェルグスのゲッシュに、母を傷付けない、母を救った者は命懸けでも守るというモノがある。そして、彼女はレンヴァル村に住んでいた」


「私の家が炎に包まれた時…………風のMyth Knight様……………航太様が私を助けてくれて…………村の危機を聞いて遅れて来たフェルグスが、航太様と協力してスリヴァルディを倒してくれたんです」


 アルパスターの言葉を補足するように、ロータと名乗ったフェルグスの母が、レンヴァル村で起きた事を説明した。


「オレとフェルグスが共闘して、あの気味悪いスリヴァルディを倒したのか……………確かに、フェルグスが協力してくれりゃあ、倒せない事もなさそうだが…………」


 呟く航太に一瞬視線を移したゼークは、そのままアルパスターを睨む。


(ここまでして、事実を隠さなきゃいけないの??ゲッシュの事は知ってるけど、本当にフェルグスが一緒に戦ってくれたの??次から次に訳が分からない事が起きる………)


 納得していく航太の横で、ゼークは頭を抱えていた…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ