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「やめろ……」
似ているでしょう、と男が笑う。
「やめてくれ……」
細い指が頬をなぞる。
「どうして?」
彼の仕種を真似て、
彼の口調を真似て。
「望んでいたことでしょう?」
耳をくすぐる甘い吐息。
触れるだけの口付け。
あぁ、なんて ―――
「ずうっと」
痴かしいのだろう。
「お前……」
知らないというのに。
その吐息も、口付けも、
彼は教えてくれなかった。
それなのに、この男は ―――
「何に腹を立てている?」
蒼い瞳がかすかに揺れる。
男はにやりとほくそ笑んだ。
「やっぱりねェ……」
憶えてないか、とため息を吐く。
いつも通り戯けた仕種で、
いつも通り戯けた口調で。
「キミ、アイツの名前を呼んだんだよ」
日本語題:ぞっとしない




