29/46
Miss you
夢を見ていた。あなたの夢を。
けぶるような雨が降り止んで。
虹だ、とはしゃぐ幼い声に
くちなしの香りが立ち込めて。
「おじいちゃん、見て!」
揺り起こされたわたしは
孫の頭をそっとなでる。
「あぁ、きれいだね」
あなたは若く美しいままで。
「本当にきれいだ」
けれど、その声も、その顔も
わたしには思い出せなくて。
「本当に……」
あぁ。
望むべくもないけれど
もしも叶うのであれば
「……おじいちゃん?」
ひと目でいい。あなたに会いたい。
「あなたは ―――」
老いさらばえたこの手を
握り返してくれるだろうか。
日本語題:くちなし




