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Unable to
抵抗してください、と男が私語く。
「お願いですから……」
慄える手に力が込もる。
私はゆっくりと目を閉じた。
「どうして ―――」
ぽたりぽたりと泪が伝う。
泣き崩れる男を抱き留めて
私はぼうっと天を仰いだ。
「……すまない」
私にはできない。
君を愛することも、
彼を忘れることも。
あぁ、けれど ―――
「ひどいヒトだ」
蒼い瞳で男が微笑む。
そうだな、と接吻を返す。
「本当に ―――」
くれてやるのに。
この体躯も、生命も。
君が望むなら、すべて。
それでは ―――
「ひどいヒト」
酬いたことにはならないだろうか。
君の献身に。
「……そうかもな」
ひどい、と泣き笑う男をかき抱いて
私はまたぼんやりと天を見上げた。
日本語題:あだ言




