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哲考所  作者: 歌川 詩季
33/43

第32考.先生や上司に「死ね」と言われたら死ぬのか?

 小学生か!



※noteにも転載しております。

 小学生のころ、先生や親の言うことをかたくなに守る子へ。「先生や親が死ねって言ったら死ぬのかよ」なんて、なじることばを聞いたことがあるかもしれません。

 大人になっても、職務の上司の指示だからと、それにひたすら従う人間を「上司が死ねと言ったら死ぬのか」と、非難することばもあると思います。



 結論から言いましょう。


☆死にません!!


 ……あたりまえ?

 でも、ここではその「あたりまえ」を、あえてきちんと考察してみたいと思います。



【設問】

 上司が「死ね」と言えば死なねばならないのか?

【事例】

 上司からの「死ね」という指示に従わなかったため、職場を解雇された人間が、不当解雇による無効の訴えを起こした



 このときのポイントはふたつ

①「死ぬ」ことが、職務の範囲にあるかどうか?

②「死ぬ」ことを職務の範囲に規定することが、できるかどうか?



① 「死ぬ」ことが、職務の範囲にあるかどうか?


 そもそも、職務の範囲内にあるものしか、指示に従う必要はありません。

 職務遂行時の服装や職務外での禁止事項など、「職務に関連する」ものごとに拘束力がある場合もありますが、そこもそれの延長です。雇用契約の締結や更新時に確認・同意することによって、従う必要がうまれます。


 で、こうして雇用契約のもとに職務を果たしたり、ふだんの生活をしているなかで。

 上司からの、「死ね」と言う指示に従わなければならないという根拠になる規定は、通常ありません。ていうか、ないはず。

 完全に権限をこえた指示です(だから、あたりまえだってば)。


 じゃあ、そんな指示は守らなくてもいいよね!



②「死ぬ」ことを職務の範囲に規定することが、できるかどうか?


 じゃあ、「上司の指示は、死ねというものであっても守らなければならない」と規定されていたら、死なねばならないのか?


 この場合、そういった規定じたいが無効となります。

 基本的人権の尊重や公序良俗(公の秩序と善良な風俗)という、より上位の規範に反するためです。


 たとえば、刑法で罰せられるような行為を自由に行えるように規定した、世紀末な学園や職場があったとしても、それは許されないでしょう?

 そういったものが許されるのは、フィクションのなかだけなのです。



【判決】

①②より

 不当解雇により無効となります

【結論】

 上司が「死ね」と言っても、死ななくてもよい



 おわかりですね?

 先生や親、兄姉とか先輩などのばあいでも同様です。



 え?

 こんなあたりまえのことをたしかめて、なんの意味があるのかって???


 たしかに「あたりまえ」ではあります。


 けれども「死ね」という指示ではなくても。


 法令や公の規則に反した上司の指示に従って、より上位であるはずの規範を破ってしまい、問題になることが世間にはあって。新聞の一面を、しばしばにぎわせているのはご存知かと。


「死ね」と言われても死ぬ必要がないように。

 より上位の規範に反する指示には、従わなくていいどころか、従ってはいけないのです。

 そして、上司の側も、そんな指示に従わせてはなりませんし、そういった指示を出してもいけません。



 コンプライアンス(なに、それ? どんな天ぷら?)に厳しいと昨今(さっこん)だからこそ。


 きちんと、それを肝に銘じておきたいですね。

 小学生には難しそう(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] この「先生が『死ね』と言ったら死ぬのか?」という言い回しは、島本和彦先生の「炎の転校生」にも出てきましたね。 この時は勢いに乗った相手が「先生が『松本伊代と結婚しろ』と言ったら結婚するのか?…
[良い点] 生きるために仕事してんのに、死ねとか言われても困ります(ㆀ˘・з・˘) でも「死ぬかもしれないけどやれ」って仕事してる人はいますよね。うちの会社も「え、一歩間違えたら死ぬじゃん」って事をた…
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