第29考.座椅子
座って眠ります。
座椅子が好きです。
椅子のなかでもいちばん好き。
「THE 椅子」じゃないかってくらい。
でも「座椅子」って、「座る」「椅子」って意味ですよね。
……椅子って、座るもんじゃないの?
同様に、疑問に思っていたのが「食パン」。
「食べる」「バン」—いや、パンは食べるだろ?
これに関しては、美術で消しゴムがわりにパンを使うことがあるらしいので、食べないパンはあると納得はできなくはないです。消しゴムのかわりに使わないパンを、食パンと呼んで、食べる。
まあ、そしたら広義ではアンパンやカレーパンも食パンの一種だ——なんてことになりますけど。
じゃあ、椅子にも座るため以外の椅子があるのか?
そういえば、いわゆる「役職」「地位」を「椅子」ということがあります。
これに関しては「座る」「居座る」のほかに、「就く」「しがみつく」などの動詞をともないますが。
こちらと区別すべく、物理的に座るもの——それらすべてを広義の「座椅子」と呼ぶ。ソファとか、丸椅子、ロッキングチェアまで含めてね。
あるいは。
寝ころべる長椅子を、「寝椅子」って呼ぶらしいです。だけど、長椅子には座りもするんですよね。
寝転べない椅子すべてを「座椅子」と呼ぶ???
もし椅子を「座る」ものと「寝ころぶ」もので分けるなら、ソファベッドは「座椅子」形態から「寝椅子」形態に変形するわけですよね。なんかかっこいい!
……「揺り椅子」なんてのもありました!
でも、これは「座椅子」「寝椅子」との対立概念ではありません。
「座椅子」のなかに「揺れる」もの、いわば「揺り座椅子」や。
「寝椅子」のなかに「揺れる」もの、「揺れ寝椅子」なんて。
いわゆる、下位分類をつくるものでしょう。
壁を背もたれにすれば、床も椅子。
座って眠れます。




