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見習い女神、ただ今職場体験実施中  作者: 鈴木 澪人


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 デールの父親は診療所を見渡し特に急いで見る患者がいないのを確認するとデールに『本日の診療は終了しました』の看板と『close』の看板を出すように言った。


いつもの作業なのかデールはそそくさと外に出てその作業を終えた。


「さて、少しお話しを聞いてもよろしいでしょうか?聖女様みたいなお貴族様」


デールの父親が緊張した面持ちでエメリアとライラに伝えた。


「そんなことより先に聖女様たちに座ってもらいましょう。あたしは、お茶の準備をしてくるね。キャロル、手伝ってちょうだい!」


「は~い」


デールの母親とデールの姉キャロルの二人はそのまま二階に上がっていった。


「すまねぇ、座り心地はいまいちで申し訳ねぇがこちらに座ってもらえるか?」


デールの父親はその部屋にある一番良さそうな椅子を差し出した。


「お嬢さんにも椅子が必要だな」


「いいえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」


ライラにも椅子を用意しようと思ったがライラはエメリアが座っている後ろで待機をし始めたので「すまねぇな」と日こと絵掛けてからデールの父親も自分の椅子に座った。


デールはどうしようとウロウロしていると「お前もそこらへんで立っとけ」と父親に言われたので父親の近くに立つことにした。


「お父さん!そんな言い方聖女様に失礼だよ!」


デールの父親がエメリアを聖女ではないと言ったことにデールは怒った。


「何大声で言い合ってんのよ。お嬢様が驚いちまうだろ」


「そうよ!ごめんなさいね。この二人はいつもこんな感じなの。そして、こんなお茶しかだせないけどもし良かったら飲んでくださいね」


と言いながらデールの母親がお茶を配った。


「すみませんが先に失礼します」


ライラがエメリアのお茶を軽く確認した後「どうぞ」と言いながら渡した。

エメリアは少し困った表情をしながら


「失礼な態度でごめんなさい。でも、口に入れる前に確認してもらわないといけないの」


「いえいえ大丈夫ですよ。まだまだ小さいのに大変だねぇ~」


デールの家族はライラの毒見を嫌な表情もせずに返って心配しながら眺めていた。


「では、いただきます」アメリアは一口飲むとすごく、すごく素朴な味がした。


しかし、家族全員が感想を待っているような期待の目線を送ってくる


「とっ、とても美味しいですよ」

ニコリと笑いながら感想をいった。

デール一家は安心したのか皆で微笑みあっていた。


ほっこりした雰囲気を落ち着かせるためにデールの父親がポンと自分に腿を叩くと


「さて、本題に戻ろう。お嬢さんは聖女様ではないよな?」


エメリアとライラは視線を合わせた。どのように答えるのが一番最適か悩んでいると。


「話しづらそうだから先に言うわ。俺は、少し前までシュテイラーの教会で働いていたんだよ」


「えっそうなんですか?」デールの父親の言葉にアメリアは驚いた。


「そうだ、その時聖女様、ええっとローザ様の癒しを手伝う雑用をやっていたんだ。聖女様は午前中は領民を、午後はお貴族様を癒してただろ?その午前の方をちょっとばかしな」


エメリアはデールの父親の話を聞きながら今日の午前中の事を思い出していた。

確かに、自分の他にも何人か癒し作業を行っていたような気がする。


「でだな、ちょっと人手が足りない時に午後のお貴族様の癒しの時間も手伝たんだ。すると、なんだあれ?あのじーさん元気なのに聖女様にベタベタ触ってるじゃねぇか!俺は変だと思い直属の上司に訴えたんだ」


デールの父親の話をエメリアはじっと聞いていた。


「すると、お前は明日から来なくていいだとさ。ふざけた奴だったぜ!俺もじゃあ出て行ってやる!っていってそのまま退職したんだ」


「あの時の、リック(デールの父親)は本当に怖かったわねぇ~」

デールの母親はフフフと思い出しながら話し出した。


「それから、ここを()()()教会関係者が貸してくれてね。『私たちの目の届かない人たちをよろしくお願いします』って言われて。二階は住居スペースだったからいっそのこと住んじゃおっかって話になって今はこんな状況なのよ」


 デールの母親は勢いって大事よねと笑いながらキャロルに声をかけて二階に上がっていった。夕食の準備をする為だった。


「デール、お前も二階でかあちゃんを手伝ってこい」


リックに促されデールは渋々二階に上がっていった。

「やっと落ち着くな」とリックが呟いた後


「だから、俺は聖女様のお顔は知っているんだよ。で、お嬢様は聖女様ではないと。でも、かなり強い癒しの力を持っておられるようだ」


リックは椅子から立ち上がるとエメリアの前でいきなり跪き頭を下げた。


「もしや、お嬢様はシュテイラー領ご当主の長子エメリア様ではございませんか?」


リックが言い当てると、エメリアは

「はい、私がエメリア・シュテイラーです」と自己紹介をした。


リックは頭を下げたまま「やっぱりか・・・。」と呟いていると


「リックさん、頭を上げて椅子に戻ってください」


「ありがとうございます。」

リックはエメリアの指示通りに椅子に座りなおした。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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