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見習い女神、ただ今職場体験実施中  作者: 鈴木 澪人


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 少年の行動に護衛の一人とライラがエメリアの前に、もう一人の護衛がエメリアの後ろに

立ち戦闘態勢になった。

 

無邪気に駆け寄っていた少年はビクッと震えて立ち止まり自分の服の裾を握りしめながらガタガタと震えあがった。


 そりゃ、二人の兵士と一人の天使(ライラ)に睨まれるのは怖いよね…。


エメリアは心の中で呟いた。

エメリア自身も()()女神の卵なのでいざとなったら自衛ができるがこちらの世界でその力を使ったことがないのでどのような影響がでるか分からない。

あと、絶対母様(女神の)に怒られるの確定なので使わない。

どれくらい怖いか覚えていないが無意識に背筋がゾワゾワしたので危険だなと思った。


 少年がいよいよ泣きそうだったので、前にいた二人に「大丈夫だよ」と声を掛けた後、

エメリアはその少年の前に行き目線を合わせた。


「どうしたの?誰か具合の悪い人がいるの?」


優しく声を掛けると、少年は緊張からの緩和で涙ぐみながら


「お父さんが倒れそうなんだ。」ヒックヒックと声を上ずらせながら答えた。


エメリアは振り返り三人に向かって


「このままこの少年を放置するわけにはいきません。とりあえず彼の父親に会ってみましょう」と伝えると、護衛たちはは目を合わせた後


「かしこまりました。」と頭を下げた。ライラは「まったく、エメリアお嬢様は…。」と少し呆れていたがエメリア至上主義(大好き)の彼女もこれからの段取りを考え始めていた。


 そして、護衛の一人が軽く周囲を見渡した後「このことを領主様に伝えてくれ」と声に出すとどこからか


「了解しました。」との返事があった。


エメリアは驚き周囲を確認するがそれらしき人を見つけることができず頭をひねっていると

護衛の一人が笑いながら


「彼らもプロですからね。」と言って笑っていた。


どうやら護衛は2人だと思っていたが父親が心配して見えないところからあと数人守っていてくれたらしい。家族思いの父親を思い出し少し苦笑いした。


「じゃあ、お父様の所に連れていってくれる?えっと君の名前は?」


エメリアが少年に手を差し出すと、少年は驚いた後、自分の服で手をゴシゴシと拭いた後


「僕、デール。聖女様!こっちだよ!」


と言いながら手を握り父親のいる場所まで案内した。


 

 にぎやかに思えた領都の中心街も一つ、二つと奥の方に入ると雰囲気が変わってくる。

どうしても整備しきれずに辛うじて清潔が保たれいる状態だった。

「領都にもこのような場所があるんだね」


エメリアは周囲をキョロキョロと見ながらライラに伝えると


「そうですね。エメリアお嬢様にはまだ早いと思いこの地域の説明はしていませんでした。すみません」


ライラが小さく頭を下げた。


「領主様はすごい人だって僕のお父さんはいつも言っているよ!でも…。」


「でも?」


デールは何か言いたそうだったがその言葉を飲み込みこんだ。

そうしているうちに父親がいる場所にたどり着いた。


「デール君は大きなお家に住んでいるのね?」


エメリアの言葉に内心他の三人も同意していた。

デールが案内した家は大きく、家というよりも…。


「デール君のお家は何か営んでいるの?」

とエメリアが声を掛けようとした時、


「お父さん!聖女様を連れてきたよ!」


デールは勢いよくドアを開け父親に嬉しそうに報告した。


「ああ!それはありがたいな!それよりも頼んでいた用事はできたか?」


デールの父親はデールの言葉を軽く聞き流しながら目の前にいる患者を癒していた。


「こっこれは…。」

護衛の一人が思わず声を出してしまった。


「野戦病院だな」もう一人の護衛もそれに続いた。


家にしては大きなその建物の内部は病気や怪我の軽症者たちが行く治療院だった。

だが、実際に癒すことができるのはデールの父親一人のようだった。


「まあデール、可愛い患者さんを連れきたの?」


おっとりとした口調の女性が木箱にポーションをいっぱい詰めて二階から降りてきた。


「違うよ!聖女様だよ!せいじょさま!」


「あ~、もう分かったから!デールは早くこの布で包帯を作って!」


「ねぇ~ちゃん…。」


姉にまで自分のいう事を信じてもらえないデールはシュンとしはじめた。

エメリアはクスリと笑いながらデールの頭をポンポンと叩き励ました。


「ご家族の皆様はお忙しいのよ」


エメリアの声に反応したデールの家族は一斉にその声の主の方へ視線をやると確かに聖女様しか着用できない制服を身に着けた高貴そうな少女がその場に存在したのだった。


「おい…。デール、お前、お貴族様を誘拐してきたのか?」


父親が低い声でデールを咎めようとすると


「あっあなた、デールにもきっと理由があるのよ!じゃないとお貴族様を誘拐なんてしないわ!」


母親は泣きそうな声で動揺している


「デール!あんたこの前まで花屋のケアリーが大好きって言ってたじゃない!」


姉の暴露にデールは顔を真っ赤にしながら


「ねーちゃん、何言ってんだよ今はその話は関係ねーだろっ」


家族で喧嘩がおきそうだったのでエメリアは思わず


「とりあえず、ここにいる患者の治療を先にしませんか?私は教会から許可を得ているので癒すことができます!」


エメリアの言葉に父親が「ありがてぇ」と言いながら


「そこの床に寝てもらっている患者は比較的軽症だ。すまねぇがその人たちから見てもらいたい」


「分かりました」


デールの父親が指した患者達は薄い敷物の上に座って待っていた患者たちだった。

デールの父親を信頼してるのか静かに我慢強く待っていた。


「では、失礼しますね」と言いながらエメリアは一人ずつ患者を確認しながら適切に癒していった。

もちろん、隣でサポートするのはライラだった。

ライラは、エメリアと患者の会話を記録していた。


 デールと愉快な家族たち登場( ´∀` )


最後までお読みいただきありがとうございました。

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