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宴?

コメント、誤字報告をありがとうございます

とても嬉しく、励みになっています。


私事で恐縮なのですが、11月に引っ越しの予定があるのですが、思ったほど片付けや準備が進んでない状態です。

申し訳ないのですが、更新の頻度を1回/3日に変更させてください。

無理をして続かない事の方が心配なので、長く続けられるようにしたいと思っています。


申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

お付き合いいただけたら嬉しいです。

突き出しの酢のものとサラダを並べる。その横には出汁巻き卵だ。

まずは醸造酒を出す。匂いだけ確認(年齢的に私は呑めない)したら、日本酒のような匂いがした。後味を聞いたら、少し辛い感じがすると言われたので日本酒に近いと判断したのだ。


ちなみに何から作られてるのかは商人も知らなかった。今度原材料を調べてもらおうと思っている。


そのため、だし巻き卵と酢の物に合わせることにした。本当ならサラダには合わないのだが、知らない料理だけだと、食べられなかったときに忌避感が出てしまうので、知っているサラダも用意することにしたのだ。


私はサラダを取り皿にわけ、出汁巻き卵とは別皿にする。

同じ和風にしてはあるが、出汁巻き卵にドレッシング(手作り)が付いて味が変わるのを避けるためだ。

取り分けながら料理の説明をする。


「こちらの黄色いものは卵料理になります。卵を溶きほぐし、その中に出汁と呼ばれる液体を入れ、何層にも巻いて焼いたものです。小さなお皿に入っているものは酢の物です。お酢を砂糖、醤油等で味をつけ、その中に塩もみした野菜を和えたものになります。隣のサラダはお分かりになると思いますが、ドレッシングを変えてあります」

「ドレッシング?」

宰相からオウム返しに質問がきたので、説明に交えながら返答をしておく


「ドレッシングは、サラダを食べるための液状のたれ、だと思っていただければ良いかと。今回はそのドレッシングに醤油を使用しています。他の料理と合わせた形になりますね」

そう説明すると、隊長さんを除く二人は、皿を持ち上げサラダや酢の物を眺めている。


この国の人たちは、珍しいものや初めて見るものは、持ち上げて見る癖でもあるのだろうか?

これは国民性? 


そういえば、管理番や商人達も初めて食べたとき、皿を持ち上げて眺めていた事を思い出す。


お酒は少し温めている。日本酒で言うところのぬる燗だ。

今は少し肌寒い季節になってきているので、身体を暖めるためだ。

もう一つは、この国では温めたお酒を呑む事はないらしい。

珍しさも手伝って興味を惹かれると思い、ぬる燗にしたのだ。


陛下や宰相の前にぬる燗を置く。

二人、いや隊長さんも含めて三人はぬる燗を覗き込んでいる。

徳利はもちろんなかったので、持ち手のない大きめのカップを湯煎した。カップを使用しているので、一人に一つずつ用意する。小さいので三人分では足りない気がしたのだ。

注ぎ口がないので注ぎにくいのが難点だが、テクニック(?)でカバーしよう。


当然だが呑むためのぐい呑みや、おちょこもない。

これは小さいグラスを用意した。デザートワインを呑むときに使用するものを流用している。


席に着いている男性陣は何をするのかわからず、ただジッとしている。

この次が予想できないので、固まるしかないのだろう。


私は陛下から順に注いで回る。身分から言えば宰相が最後になるのだが、私の感覚では、隊長さんは私サイドの人だと認識しているので、隊長さんを最後にした。

一瞬、怒られるかと心配したが、隊長さんから頷きが返ってきたので問題ないようだ。


「まずはお酒を一口どうぞ。少し温めてありますので、そのおつもりでお願いいたします。できましたら、一度口に含み、香りを感じていただければと思います。」

三人にお酒を呑むように促したが、隊長さんが笑いながら訂正してくれた。

「まずは私からですね。始めにいただきます」 


そうだった、うっかり毒味してもらうのを忘れていた。


隊長さんが全種類を少しずつ食べていく。

ほとんど形式的なものなので、宰相も特に問題視する様子はなかった。


それを見届けた陛下はさっそくお酒を口にした。


「ほう、いつもとは違うな」

陛下がぬる燗に反応する。私のアドバイス(?)に従い口に含んでから、飲み込んでくれていた。香りを感じられたかはわからないが、反応は悪くないようだ。


宰相や隊長さんは無言だ。気に入らないのかと思ったら、意外に味わっているようだ。少し目を閉じ口の中で転がしているように見えた。


その後隊長さんは無言を継続しながら、二杯目を注いでる。自分だけでは悪いと思ったのか、陛下と宰相にも注いでいた。


席に着いたまま注いでいる。話しやすいように全員の席は少し近い感じになっている、それと隊長さんの手が長いからできる芸当だ。


ちょっと、最初から飛ばすと後が続かないんだけど。大丈夫かな?


私はハイペースが心配になったので、気付かれないようにぬる燗のコップを気持ち遠ざける。

無意味な気がするが、合図に気がつく事を祈っておこう。


「これは良いな。身体が暖まる気がする」

「ありがとうございます。先ずは酢の物か、出汁巻き卵から口にしていただけたらと思います」

「理由があるのかな?」

「理由と言うほどのものではありませんが、口の中を温めているので、出汁巻き卵なら出汁の香りが、口の中に広がって、より感じることができると思います。酢の物なら、冷たさを感じて、お酢の香と醤油の風味を感じる事ができるでしょう。サラダでも良いのですが、生野菜はお酒の風味が損なわれやすいので、何かを口にされてからの方がよろしいかと。ただ、これは私の感覚なので『絶対に』というわけではありません。参考の一環にしていただければ思います」


私の話を聞き終わった瞬間それぞれにフォークを伸ばしていた。



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人質生活から始めるスローライフ2
― 新着の感想 ―
姫は関西の出身か
[気になる点] 陛下の反応が気になって、夜しか眠れない。 引っ越しが、あっさりさっぱり無事に終わりますように。
[一言] >生野菜はお酒の風味が損なわれやすい >これは私の感覚 まるで呑んだことのあるような言い方してると突っ込まれたらまずいのではなかろうか? 続き楽しみにしてます
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