決着2
陛下と宰相は私の余りの動揺に場を変えることにしてくれたようだ。
ありがたい…
管理番もほっとした様子を見せている。自分の場違い感を管理番も感じていたのかもしれない。
「何にせよ。そなた達は極刑だ。語るも語るまいも自由だがそこは変わらぬ。覚悟せよ」
陛下の重々しい言葉である。
つまり、これは陛下の決定事項だ。裁判をせず陛下が罪状を決定したことになる。
良いのだろうか・・・
この国は王国制だ。貴族院もあるし市民院もある。そして法治国家でもある。罪人は裁判にかけられると決まっているのだ。
それを作ったのは現在の国王から、つまり、陛下が作った制度だ。
運用が始まって日が浅いらしいが、法治国家の始まりだと私は思ったから良く覚えている。
これって良くないかも・・・
陛下が作ったものを陛下が破る・・・上が守らない法律なんて誰も守らないし、前例が作られれば法律はドンドンうやむやになってしまう。法律何て在ってないようなもの、になってしまう
せっかく出来た法律が意味のないものになってしまう。
良いのだろうか・・・裁判だけでも貴族と市民が平等になる。貴族の不当な行為をなくす可能性のあるものだ。そのために陛下が作ったらしい。庶民(今は違うけど気持ちは庶民)の私からしたら応援したい
どうしよう・・・私が言うべき事ではないかも。他国の事だし、陛下が決めたことだし・・
それに、今までの罪状を考えると、横領とか、ネグレクトとかの問題を超えてるよね・・
他国の姫(忘れがちだが私は王女だ)への行為だから、普通に考えても
不敬罪・外交問題・国家反逆罪でもおかしくない・・
それ程の問題なら陛下が罪を決めても問題ないのかな?
でもここで問題になるのは国民感情・・
陛下は他国の姫をって思ってくれてるみたいだけど、国民や貴族は判らない。私は殆ど外に出てないから知らない人が多いだろうし、私は小国の姫だからこの国で大事にされるメリットは少ないはず。
国民や貴族達から自分たちより他国の姫を優先したと反発が出そう・・
その辺の危険を侵すぐらいなら裁判にかけた方が安全な気がする。陛下が決めなくても裁判でも極刑は同じだろうし。それに陛下が見つけた案件だ。大いなる忖度も入るはず。
それなら裁判をした方が陛下の評価は上がるはずだ・・・『公明正大な陛下』『決めたことは守る』その評価を買う方が今後のメリットは大きい気がする
私が眉をよせ考えていると陛下が勘違いをしたのか話し掛けてきた。
「姫。このもの達の極刑は当然なのだ。姫が心を痛める必要はないぞ」
陛下申し訳ないです・・私はそんな事は考えていませんでした。
「陛下、私が考えていたのは陛下とこの国のことです」
「どういうことでしょうか?」
私の発言に宰相が不審顔だ。陛下の決定に、今回は当然の決定に『異議を唱える』と言う考えがないのかもしれない。宰相も陛下の決定が不当なものであれば意見するだろうが、今回はなんの問題もない。問題ないものに異議を唱えるのは不興を買うだろう。
「姫様。どういう意味でしょうか?」
宰相としてはこの国と陛下の事を1番に考えていると言う自信があるのだろう、それなのに私みたいなものから、『陛下と国の事を考えています』と言われれば不愉快かもしれない
「姫様、教えてください。どのような事をかんがえていらっしゃったのでしょうか?」
「申し上げても?」
「かまわぬ。話してくれんか?」
陛下から促された。





