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実食 再び

ダイニングテーブルには私の感覚と今ある材料でできる『休日の豪華ランチ』が並べられている。


ご飯、お味噌汁、ほうれん草のお浸し、豚肉の生姜焼き、酢の物、簡単茶碗蒸し、デザートにフルーツ寒天といったメニューだ。


本当ならお刺身とか、巻き寿司とか、お稲荷さんとか、いろいろ思うところがあったが、時間と材料を見て諦めることにした。

できる範囲で手早く作るならこれが限界な感じがしたのだ。


「簡単な感じになってしまって、ごめんなさいね。良かったら食べてみて」


私はいろいろな理由を一言にまとめ、二人に伝える。それを聞いた二人は顔を見合わせた。


「簡単なもの…ですか?この食事が?」

「そうね。私的にはそう思えるわ。そこは私の感覚だから、それより食べてみて。良かったら感想を聞かせてほしいわ」


再度、食事を勧めると二人ともフォークをとった。


残念、お箸があれば良かったのに…

口にできない思いを抱えながら私もフォークをとる。


目の前の男性達は双子のように同じ行動になっていた。


お皿からご飯を掬い目の前に掲げる。その後匂いをかぎ恐る恐る口に入れる。咀嚼する様子も同じで、私は噴き出さないように口元を引き締める事となった。それと同時に味の感想が気にかかる。

二人からの感想はまだ聞こえてこない。


次は生姜焼きだ。お肉を一枚すくい上げている。今度は目の前に掲げるだけではなく、ためつ眇めつパクリと食べた。ご飯で安心感が出たのかためらいがない。一口二口と噛みしめ飲み込む。 


その後は無言だった。眺めることもなく、話すことに口を開くこともなく。もくもくと食べていく。お味噌汁やほうれん草のお浸しにも躊躇いがない。味わうように噛み締めてはいたがそれだけだった。その後の反応が顕著だったのは茶碗蒸しだ。

蓋を開けたときに目を見開きフォークの先で確かめるように突いていた。

スプーンの方が食べやすい、と言うつもりだったが二人とも大人だ。自分で判断するだろう。


フォークの隙間から茶碗蒸しを落としながら掬って食べ始める。始めは上品に掬っていたが、最後は諦めたのか茶碗を持って流し込むように食べる。こちらではマナー違反と言われる食べ方だ。


(大丈夫かな…他でやったら怒られると思うけど、いや、私は何も言わないけど…)


最早、言葉もない。

何か言ってよ、とも思うし視線も投げるが気づかれる様子がない。諦めの境地だ。二人が満足するまで待つ事にして、私も食事を始める。


全体的にまぁまぁの出来だが、残念なのはフルーツ寒天だ。冷やす時間がなかったのでいまいちの出来上がりになっている。下準備が足りないのでこんなものだろう。だが、こんな事なら切った果物だけな方が良かったかも。と、一人反省会を脳内で繰り広げていると商人から口火が切られた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ご飯が珍しい? そもそも食材として米は始めから置いてあった筈 よくある『米が食材だったなんて』系はその時点でありえないですし… 王族しか食べてなかったのでしょうか??
[一言] いつも楽しく読ませて頂いてます。 この後、商人さんからおそらくノンブレスで語られるであろう食事の感想を楽しみにしています!
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