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成果

キッチンに多くの品物が並べられている。

管理番から届けられたものだ。


倉庫に監理され置いてある物だけでもと、先に届けてくれる事になったのである。並べられているものを見ながら、頬が緩むのを止めることができない。

我ながら交渉を頑張ったかいがあったというもの。

「頑張った、私。我ながらよくやったわ」


つい昨日の事を思い返す。

管理番は、涙目になりながら私の問い合せに根気よく付き合ってくれた(付き合わせたとも言う。私は一応王女。身分差は覆せない。)

聞いた限りではないものも多かった。


やはり海藻、貝類、チーズの類いはなかった。

小麦粉、バターは取り寄せ。

はちみつ、砂糖は問題なし。

根菜類は存在そのものを知らなかった。なにせ土の中の物が食べられるのか?と、逆に訊かれたくらいだ。

そう思うと前の食生活の豊かさを実感してしまう。こちらの物は種類が少なすぎる。

管理番は無いものや、不明な物に関しては調べたり、問い合わせたりすると確約してくれた。

その上であるものは直ぐに届けてもらえる事になったのだ。

腐っても王女。今回、初めて身分に感謝した。一般の人間だったらここまで優遇はされなかっただろう。


並べられたものをみながら届け忘れがないかチェックしていく。

不足なく届けられている、というか

「多い?」

種類を見ていると私がお願いしたもの以外も届いていた。もしかしたら気を回してくれたのかもしれない。

「油が4種類とか… 本宮並みの品揃えだわ」


私が一人悦に浸っていると初めて侍女がキッチンへやってきた。


「失礼いたします。姫様、管理番からの面会希望がございます。いかがなさいますか?」


私に来客とか、ここに来て初めての事だ。

管理番なら願ってもない。さっそく揃えてくれたお礼も言いたいし。会わないなんてありえない事だ。


「ありがとう。会うわ、通してくれる?」

「管理番から連れも一人一緒にと、よろしいですか?」

「?連れ?」

「はい。何でも城下の商人とか」

「構わないわ。一緒にお願い。」

「承知いたしました。こちらでよろしいのですか?」

「ええ、構わないわ」

「…」

どうやら体裁を整えて客間で会えと言いたいらしい。しかし、品物を確認しながら会うのだ。客間では効率が悪い。

「届けてくれた物の確認をするのよ。客間では意味がないわ」

私はそう言うともう一度ここに通すように侍女に伝える。彼女は頭を下げ出て行った。

私はそれを見送りながら連れに思いを巡らせる。


商人と言う事は、ここに置いていなかった品物を問い合わせてくれたのかな?

大豆商品とか、醤油とか…

商人という事に期待をしながら管理番を待つ事にした。


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人質生活から始めるスローライフ2
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