思いつき小話 姫様のストレス発散
いつも読んで頂いてありがとうございます。
やっぱり本編が進みません。
と言う訳で、思い付き小話です。
もしかしたら小話が続くかも? と心配しておりますが、良かったらお付き合い頂けたら
嬉しいです。
よろしくお願いいたします
学校にダンスの練習、おまけに慣れない授業の復習など、最近忙しくてストレスが溜まっている事を自覚した私はストレス発散をする事にした。
私のストレス発散には協力者が必要不可欠だ。と言う訳でお馴染みのトリオに来てもらってストレス発散に協力してもらう事にした。
「ごめんね。みんな忙しいのに」
「いえ、私どもは問題ありません」
久しぶりに会った商人から笑顔で返事をされる。
管理番は姪っ子ちゃんの関係もあって時々会うし、隊長さんは私の護衛だから毎日会っている。つまりは久しぶりに会うのは商人だけという事になるのかな?
私はそんな事を考えながら、私の我儘になる今日のお願いを話す事にした。
「実はね。今日はお願いがあるの」
「隊長様から話を聞いていましたが、私達で協力できる事なのですか?」
「勿論よ、あなたたちにしかお願いできないの」
管理番は自分に何ができるのか? と心配そうだが問題ない。トリオの協力は必要不可欠なのだ。私は切実な思いと共にトリオを見回す。協力してくれる気のあるトリオは力強く頷いてくれた。
「お任せください。私達で協力できるのなら協力させていただきます」
「ありがとう」
トリオの有難い言葉に頷きながら、私は今日のお願いを口にした。
「「姫様。こんな協力ならいつでも協力させていただきます」」
隊長さんと商人は満面の笑みでキッチンにいる私の方を見る。ちなみに口をモゴモゴさせている。一緒にいる管理番は苦笑い。苦笑いだが、手に持っているお皿には山盛りのおかずが載っている。
絶賛ストレス発散中の私も満面の笑みだ。楽しくてしょうがない。
そう、私のストレス発散は料理をする事だ。心置きなく好きなだけ料理をする事が私のストレス発散だ。だが、私が思いつくままに作っても消費が追い付かない。私一人の消費では追いつかないのだ。
作った料理を消費してくれる人員が必要不可欠なのだ。その関係もあってトリオに来てもらったのだ。
彼らなら私がどれだけ作っても消費してくれるはず。そう信じている。最悪余っても持ち帰ってもらうという手段が取れる。
なんの心配もない。
そして私は現在進行形で料理を作っている。現在チャーハンを作成中だ。
テーブルの上に載っている料理は和洋折衷、様々だ。私が気の向くままに作っているので節操なしの状態だ。
肉じゃが、わかめとコーン・ベーコンのバター炒め。サラダにコロッケ。ここまで来てご飯ものがない事に気が付いた私はチャーハンを作り始めた感じだ。
チャーハンを炒めていたら、久しぶりにオムライスを作っても良いかもしれないと思い始める。
ご飯ものが二種類では重たいだろうか? 食べない私が考えても仕方がない。素直に食べてもらう人に聞いてみよう。
「ねえ。ご飯ものをもう一つ作っても大丈夫? 食べれるかな?」
「問題ありません。どのような物なのですか?」
「簡単に言うと、トマトソースでご飯を炒めて卵で包むのよ」
「美味しそうですね」
隊長さんの一言で決まった。
私はオムライスの準備に取り掛かる。好き嫌いなく何でも食べてくれる隊長さんだが、意外に子供舌の傾向があって味がハッキリしたものを好む。その関係もあって、自分好みと察したオムライスが食べてみたいようだ。
消費先が確定した私は心置きなくオムライスを作り始める。
一口大の鶏肉にピーマン、それに玉ねぎ。本当はピーマンは入れないのかもしれないが、私は色取りが綺麗なので入れるようにしている。
鶏肉、玉ねぎを良く炒める。特に玉ねぎはよく炒めてあるのが好きなので、しっかり炒める。
その後にご飯を入れて馴染んでからピーマン、トマトソースを入れる。ピーマンはそこまで炒めない。食べているときに食感が変わる方が好きなのだ。
最後は卵でくるんと包む。オムライスの出来上がりだ。ケチャップが無いのでトマトソースを少しだけ上にかける。
「まあ、まずまずかな?」
私は出来上がったオムライスを見て呟く。私が日本にいた頃はトロトロオムライスが流行りだったが、私は卵で包むオムライスの方が好きだったりする。
個人的な気持ちの問題だが懐かしい感じがするので好きなのだ。
独断と偏見の塊のオムライスをカウンターに置く。
カウンターキッチンの良いところはカウンターに乗せると取りに来てくれるところだ。一回一回持って行く必要がないのが有難い。
私が料理を作り上げるとトリオが交替で取りに来てくれる。この場では全員平等となっているので、身分の上下はなく全員同じ扱いだ。今回のオムライスは隊長さんが取りに来てくれた。そのオムライスがテーブルに乗るとおー、と歓声が上がっている。
気が付かなかったが、こちらではオムライスはないのだろうか? ラノベにありがちの卵は貴重品だったりするのだろうか? 私が住んでいる離宮では食材がないという事はないだろう。それだけに気が付かない事があるかもしれない。後で管理番辺りに聞いてみよう。
自分の観察力のなさに反省しながら次の料理に取り掛かる。今度は定番の唐揚げだ。私の個人的な感想だが唐揚げが嫌いな人はいない。と思う、多分。
私の唐揚げは簡単だ。普通なら鶏もも肉に醤油、みりんにお酒を入れて、なんて手順だと思う。勿論、醤油味の唐揚げは私も大好きだ。
だが、私は個人的に一番好きな物は手羽先の唐揚げ、塩コショウ味が大好きなのだ。そして、簡単。簡単で、美味しい←これは重要。ついでの話だけど手羽先の塩焼きも美味しいから大好きだ。
私は手羽先の中心に包丁で切り込みを入れる。そして塩コショウを振りかけ馴染ませる。馴染ませる間に油を温め手羽先に片栗粉を付ける。
油が温まったら手羽先を入れていく。手順はこれだけだ。
手羽先を入れると油のはじける音がして徐々に香ばしい匂いもしてくる。私はその音と匂いに満足しながら多めに手羽先を揚げていく。
なにせ食べるの大好きトリオがいるのだ、余る事はないと思っている。
「姫様。そろそろ姫様も召し上がられては?」
「ええ。これが終わったら私も食事にするわ」
管理番が声を掛けてきた。私もそろそろお腹が空いてきたので手羽先を揚げたら、私も少し食べる事にしようと思う。
「さあ、これで終わりよ」
最後の手羽先を揚げざるに入れて終わる。トリオたちも手羽先の唐揚げを見ていた。
「美味しそうですね」
「いい匂いがします」
「たくさんあるから安心ですね」
三人三様の返事だ。2番目のコメントが管理番だ。皆が言いそうなコメントがわかりやすくて笑いそうになってしまう。
「そうね。我ながらたくさん作ったし、いい匂いがして美味しそうだわ」
トリオのコメントを肯定しつつ、私も食席に着く。
テーブルの料理はほぼ食べつくされているが、私の分は取り分けてあった。そしてその量が意外に多かった。予想だが管理番が残してくれていたのだと思う。
残してくれた料理の多さに驚きながら、楽しみにしていた手羽先の唐揚げを手に取るとトリオたちも手を伸ばした。
「熱いから気を付けてね。でも、我ながら美味しそうだわ」
「本当ですね」
ニコニコしている商人がいた。後で作り方を教えて欲しいと言われたので新しいメニューが出たと思って嬉しいのだろう。まあ、簡単なので教える程でもないのだけど教える約束をする。
管理番は食事の時に仕事の話をして、と眉を顰めている。隊長さんの意識は唐揚げに向いていた。私は料理の話は仕事だと思っていないので気にしていない。
それからは皆でおしゃべりを楽しみながら過ごす事が出来た。
私はストレス発散が出来て大満足の一日だった。
また皆に付き合ってもらえたら嬉しいな、と思っている。





