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元勇者だけど可愛くない後輩に振り回されてます。  作者: ルド
第2章:自重知らずの決闘と復活の魔王と勇者。
84/87

可愛くない後輩はやがて時空を越えるエピローグだった。

 更新が遅くなりました。最近夜の執筆が眠くて思うように進んでません。

 なんとか最後まで書けましたが、次からはちょっと抑えると思います。

 ……と言ってもまた深夜でも書いちゃいそうですけどね(汗)。



*続編をやめたので大幅に変更しました。

 本編に関してはこれで終わりとなります。

 別の作品でまた出て来るかもしれませんが、よろしくお願います。


 あれから5日が経過した。

 試合場と暗黒島の騒ぎの所為で3日間は休校となった。

 試合場は建物自体が崩壊して使用不可となり、暗黒島は色々あって(・・・・・)立ち入り禁止が解除される未来すら危うい状況になってしまった。


「まぁほとんど俺の所為かしれないが……やっと解放された」


「お兄ちゃん大丈夫?」


 グッタリして職員室から出て来た俺を妹の空は心配そうに見て来る。

 手を振って大丈夫だと返すが、どうしても溜息は溢れてしまう。


「今日も長かったねぇー。5日間も連続で事情聴取なんて」


「政府機関が相手じゃないだけマシだが、何度も同じ質問だから精神的に辛い。また明日も呼ばれそうだ」


 いや、別に俺だけが特に訊かれているわけではない。

 あの場に残っていた者たちは、皆先生たちに呼び出されて事情を訊かれている。


「やはり試合場の件が大きかった。第三者の立場だったら絶対に気になると思うし、随分見られていた」


 龍崎の結界で閉じ込められていた試合場で、零さんたちと一緒に戦ってたのが原因だ。

 残っていた連中に思いっきり見られたのも仕方はないが、同じく参加していた麻衣よりも回数が多いのはなんでだ?


「マイちゃんは……あー、怖いからじゃないかなぁ? ほら1年生どころか学園最凶説があるし」


「最強じゃなくて最凶なところがアイツっぽいな」


 妹様の言う通りだ。教員連中も麻衣を恐れている節は前からあった。

 たとえ病み上がりでもアイツ相手に強気に出るのは危険だからな。

 ……もっとも。


「今の麻衣なら多分大丈夫だと思うがな」


『君らのお陰で助かったよ。約束通り彼女の無害認定を師匠に告げて来るけど、まぁ暴走の危険性は魔王の力が抜けたことでだいぶ薄れたみたいだ。君が使ったのも良かったか、前よりも安定しているように感じるよ』


 去り際に龍崎が告げた言葉を思い出す。

 過去の清算とは言え手伝ったことで、事前に交わした約束を守ってくれた。

 具体的な理由はよく分からないが、一旦麻衣から暴走気味だった魔導神の因子が抜けたことで、濃度というか暴走の気配が沈静化したそうだ。


 俺がカードを通して使ったのも、要因かもしれないが。

 受け取った4枚(・・)のカードを取り出して眺めて見る。


「一応信用してくれたってことか」


「それって龍崎さんから貰ったカード……あれ? なんか色が変なような……」


「他のカードと同じになってる。絵柄も名前も変化した」


 麻衣の無害認定の話をした際、龍崎が俺に渡した4枚のカード。

 零さんと知らない名前のカードが2枚ある。龍崎が使用していた時は、黒色と銀色と赤・青色と分かれていたが、受け取った瞬間に他のカードと同じになって絵柄もノーマルな感じになっていた。


 ただの学生服の姿をした【泉零】。


 龍崎の師匠らしい黒髪の魔法使い【ジーク・スカルス】。


 同じく黒髪の青年で冒険者のような姿をした【ヴィット】。


 最後に渡されたのは――彼自身【龍崎刃】のカード。


 受け取った全てのカードがノーマルカードとなって俺の手元に残されていた。


「龍崎の時はもっと凄い気配がしていたが、どうやらカード自体にはまだ認められてないらしい。チートが抜けた感じだ」 


「ふーん、色々複雑そうだねぇ」


 まぁ戦う機会が減りそうで時間もある。ゆっくりやればいいけど。

 暗黒島が使えなくなったことでモンスターが殆どいなくなってしまった。


「先生たちもすっごい慌ててるもんねぇ」


「能力訓練はともかくモンスターを通しての実戦方式がほぼ出来なくなったからな。当分は普通授業が中心になりそうだ」


 魔神の使者こと藤原に放った俺たちの最後の一撃が影響して、溢れ出ていたエネルギーの本流の根本を破壊してしまった。


 詳しいことは専門じゃないのでよくは知らないが、龍崎の話じゃ藤原は魔王を強化するために莫大なエネルギーを蓄えている島とリンクしていたそうだ。

 

 俺が戦った時も固有スキルが使えないのにしぶとかったのはそれが原因だ。

 結局俺が倒してリンクも途切れたようだが、藤原も島とリンクして強化していた。


 最後の攻撃の反動が大き過ぎて、島のエネルギーの器である『存在の原点』が完全に壊れた。

 他にも管理している区域はあるだろうが、政府が公にしているのは数える程度。


 しかも、学生が利用出来るのは基本暗黒島のモンスターのみ。

 それ以外の別地区の場合は政府への手続きが必要になり、正式な依頼でもない限りまず利用は出来ない。


 まぁ、学生でも個人でなら入れないことはないが、政府機関に目を付けられるような行為は当分は避けたい。

 その為にも暴走癖が酷くて金に目がない後輩にもしっかり言い聞かせるつもりだったが……なんかいない。


「であの亡者な後輩は一緒じゃないのか? せっかく負担が掛からないように教員たちに説明してるのに……」


 九重さんも居ないが、なんか家の事情でしばらく休学扱いになっていた。

 俺は聞いてなかったが、なんでも空や麻衣には前もって言っていたらしく、もしかしたら途中で抜け出すかもしれないと伝えられていたそうだ。


「あー、沙織ちゃんと夏休みに会えるといいなー」


「まぁ帰省前に帰って来るかもしれないが……」

 

 大変だったら寧ろ邪魔にならないか心配になるが……。

 どっちにしても麻衣が献身的に来てくれるとは思っていない。


「あの亡者の対応も一から考え直す必要があるな」

「ん? なんの話?」

「何でもない」


 何だろうって不思議そうに首を傾げる妹の頭を撫でて誤魔化した。

 そもそも女の都合なんて分かったら苦労はしない。

 特に麻衣の思考回路は理解しようするだけ疲れることは、異世界の経験からよく知っていた。





 知っていた筈だった。

 アイツの暴走癖は魔王や魔導神など関係なく元々だった事を。


「異世界へ続く門を開けましょうセンパイ!」


「…………は?」


 数日後、時空系の杖を構えた馬鹿は、俺の部屋で唐突にそんな事を言いやがった。ちなみに今は深夜で妹は就寝中、良い子はもう寝る時間でこいつは良い子じゃないってことだ。


「これまでの事で確信しました。異世界には夢と冒険が詰まってます!」


「はぁぁぁー、今の学園島じゃ儲かれる可能性がないからか? 確かにモンスターが湧かなくなって自習授業ばかりで暇だが、それでも博打勝負をするほどか? 儲けたいならそれこそ別の湧く場所を探した方がマシだろう」


「ノンノンノン、ちゃんと考えはありますから、まずこれを見てください」


 この馬鹿の頭をどうやって治せばいいか。なんて本気で考えていると麻衣の奴は懐から大きめな布を見せる。

 何か描いているようだが、布が広がってもイマイチピンとこなかった。


「ふふふ、何だと思いますか?」


「魔法陣……か? 見たことない術式だが」


「あの藤原……魔神の使者さんの部屋にあったものです」


「――は?」


 今なんて言った?


「これは外の世界の物質をこちらへ導く物のようです。協力してくれた人と慎重に調べましたが、ちゃんと使えると思います」


「待て、いや待て。なんだ協力してくれた人って、慎重に調べただと?」


 何も聞いてないぞこのポンコツ。

 ホウレンソウを知らんのか?


「センパイだって散々秘密にして来たじゃないですか。それに本題はこの魔法陣の利用性です」


「むっ……」


 内緒の事を突かれると確かに言い返せない。

 何よりまだ麻衣に言ってない事もある。気まずくなりそうだで伏せていたが。

 

「ちょうど夏休みに入ります。適当に人気のない場所に行って起動すればドジっても被害は最小限で済む筈です」


「一応計画として確認はしているようだが、本当に大丈夫なのか? その魔法陣もそうだが、協力者の方も」


「心配ないです。だってその人の正体は――」


 ニヤリと麻衣は極悪そうな笑みを浮かべて言った。


「なんであっても魔導の私と勇者センパイの敵じゃありませんからね!(ドヤ!!)」


「いや、知らんのかよ。やっぱり不安だ……」


 やっと騒動が終わったと思ったらこんなんだよ。

 これなら本当に龍崎に粛清頼んだ方が良かったんじゃないか?

 それがダメでもどっかの監獄とかで更正してくれたら……。


「ククククッ! ああ、休みの日が楽しみですねぇー」


「……」


 無理かもしれない。ていうか女の笑い方じゃない。


「はぁ、どうなる事か……」


 タイミング良く勇者の力を取り戻したが、どうやら波乱の前のちょっとしたお恵みだったらしい。


 異世界も勇者物語が終わったら能力者になって……。


 それが慣れたと思ったらまた異世界騒動が返って来て……。


 やっとの思いで片付いたと思ったら……とうとう自分達がその領域に足を踏み込む事になりそうだ。


「まぁ大船乗ったつもりで着いて来てくださいねっ!」


「ふ、大船か……素材が泥じゃない事を祈りたい」


 可愛くない後輩はまたとんでもない事をやらかしそうである。

 けど見捨てる選択肢は俺にはない。あったとしたら異世界の時点で決別している。


「失礼な! 泥じゃなくて金属ですよ! 超合金的なヤツの!」


「やっはり沈みそうだな……」


「あ、いっそ愛する者同士なんですから! 沈んだ先で愛を育めば……!」


「拘束的な状況に愛なんかあるかアホ!」


 やっぱり可愛くない。見てくれば良いとしても、中身がただのヤバいキャラだ。

 何だかコントのような話し合いであったが、俺たちは再び異世界の世界へ足を踏み入れる事になってしまった。







【元勇者だけど可愛くない後輩に振り回されてます。】────『本編』(完)

 なんとか無事に?終わりましたー!

 第1章から半年以上経って忘れてる設定が沢山でしたが、どうにか?なったと思います。

 魔王編なんでこれで終わりでも良かったのですが……つい次章への伏線を残しちゃいました! 反省はしてません!

 次がいつになるか全く不明ではありますが、気が向いたら次回予告とか出したいです!


*中止しました。


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