表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元勇者だけど可愛くない後輩に振り回されてます。  作者: ルド
第2章:自重知らずの決闘と復活の魔王と勇者。
48/87

変態が裏で暗躍してるとか誰が想像できる?

彼の場合、変態なのは素だから余計に想像出来ないですねぇ(汗)

 何故固まってんだこいつは?

 何故そんな『あ』みたいな顔をしてんだ?


「ま、まさか……時一お前」


「ま、待て待て! 違う違うから!」


「何が違う? 俺はまだ何も言ってないぞ?」


「目が言ってる! 確実に目が言ってます! 間違いなく犯罪者扱いされてる目だ!」


 だって超動揺してるんだぞ。疑うなという方が無理な話だ。

 ま、何か誤解だと思うけど。なんとなく取り出したスマホのボタンを押して―――


「て、さりげなく通報しないでっ!?」


「とりあえず職員室行くか?」


「行かないから!? まず話を聞いてくれ! 頼むっ!」


 ガシって腕を掴んで来た。返って怪しく見えるんだが……。


「誤解しそうな反応をしたのは謝る! せめて理由だけでも聞いてくれよ!」


「分かった分かった。冗談だからそんな引っ付くなって」


 涙目の男に抱き締められても嬉しくないから。見ている女子たちがヒソヒソ話を始める前にやめなさい。あ、バカそこ写メを撮るな! 金を取るぞ!


 その後、なんやかんやトラブルはあったが、どうにか引き剥がすことに成功した。落ち着いた時一から理由を聞くことになるが、それまでのやり取りの影響で興奮した女子たちの反応が色々と恐ろしかったよ。ぐすん……








「どうしたんですかセンパイ? そんなげっそりした顔して」


「……お前の所為だ」


「な、なんか理不尽にキレれてます!?」


「心が痛い」


「かなり重そうな予感! いったい何があったんですか!?」


 放課後、麻衣と合流した俺だが、先ほど受けたダメージがあまりにも大きくつい敵意が向けてしまった。


「分からないか? 分からないのか? 今朝の話だよ! 今・朝!」


「え!? え、え、あ……あー」



 何その『オイ、マジかよ』って顔は? お前

 結局時一の馬鹿が落ち着くまで腐ってる女子陣の目で餌食にされました! なんか汚された気分! それもこれも後輩の困った苦情の所為だ!


『今日の時一は遅刻の方か……はぁ、マジで彼女出来るまで遅刻魔で通い続けるつもりかよアイツは』


 用事があると先に学園に向かった空の後、いつものように麻衣と一緒に歩いていた俺は、近所だった時一の姿が見えなくて、何気なく口にしたのが切っ掛けだ。


『あの変態っぽい先輩ですか? 人の胸を……人の胸を! 一瞬で見て一瞬で残念そうにしたあの失礼な変態畜生……!』


『変態なのは事実だが、ほぼ初対面の相手にもう変態扱いとは……あと怨念みたいな声をやめろ』


 何か女子だけが感じ取れる変態オーラでもあるのだろうか。それとも単純にコイツのセンサーみたいなのが異常なのか。


『む、あの先輩……』


『ん? どうした?』


『いえ……なんだか、前にお会いした気がして……此処に来る前に』


『ここに来る前に会ったって……元の街で? ありえんだろう』


 いったい何を言い出すかのと半目で返したところ、麻衣も半信半疑といった様子で首を傾げている。……記憶が曖昧なのか?


『アイツが何処の県出身か知らないが、あんな目立つ性犯罪者、近所に居たら間違いなく噂になってるぞ?』


『聞いた私が言うのもなんですが、センパイの言い方も相当だと思いますよ?』


 なんて軽いやり取りがあったのだが、どうにも引っ掛かるのか後輩は何故か不安そうにしていたのだ。

 この時はそこまで深刻に考えていなかったが、毎回目にする奴の変態っぷりを見ているとどうにも落ち着かない。不安そうにする麻衣の気持ちも少し分かった気がした。


 けど今は思う。

 訊くんじゃなかったって!


「ああ、やっぱり気のせいでしたか」


「やっぱりじゃねぇよこの馬鹿後輩! お前が自意識過剰な勘違いするから俺がとばっちりくらったわ! なんだよ、珍しく不安そうに言うから訊いてみたら地獄絵図が完成したぞ!」


 思い返すだけで吐き気がする! アレが女子たちの裏の姿なのか! 時一の暴走に巻き込まれた感じで俺まで被害を受けるとは……!


「あーハイ、なんかスミマセン」


「全然反省が足りない!」


「だって訊くタイミングをミスっただけで私の所為にされてもぉ……」


「うっ!」


 そう言われるとこちらも苦しい。確かに理不尽な文句だろう。俺も麻衣の立場なら困惑しかないと思う。


「……なんかこっちもスマン」


「イイですよ。元々は私の話が原因でしたし」


 全くその通りだと言いたいが、タイミングをミスったのは俺である。……お互い何処か煮え切らないままであるが。


「気のせいでしたか……けどあの妙な感じ……何処かで」


「気のせいか……なんか言い含められた気が……」


 二人して小首を傾げる。ホントなんか引っ掛かる感じがしたが、結局何も思い浮かばずであった。







「油断したな、この間抜け」


「急に話しかけるな。不良と絡まれると目立つだろ」


「不良言うな。焦らせたマスター(・・・・)に言われたくない。異能まで使って誤魔化すとか……うっかり力が漏れそうになったぞ」


「やめてくれ。お前はシロと違って周りの影響がデカ過ぎるから」


「気分屋のネコの方が悪質じゃねぇ?」


 携帯を弄りながら人目の付かない場所へ移動する。背後に不良と言った者が付いて来るが、もう諦めて携帯を耳に当てる。


「……出ないな」


「死神か? 着拒されてるんじゃないか?」


「そこはせめて圏外ぐらいに考えてくれないか?」


 がっくりと肩を落として携帯をしまう。背後から呆れた気配がするが、絶対振り向くものかと背中で話を続けた。


誤魔化す為に能力をフル活用!

色々とややこしい会話になりましたが、なんとか軌道修正完了……多分

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ