プロローグ

「この前彼の浮気現場を目撃しました。何でも相手の女性の方が彼を誘惑したそうです。それを見た私は当然大激怒。彼とは勿論、相手の女性とも罵詈雑言の応酬をしました。それはまさに戦いでした。お二人にはこのようなことがないのを祈っています……というメッセージを頂いたんですが、初っ端から重いし、高校生に読ませるようなメールじゃないだろこれ」

「でも妙に現実味があるっていうか、完全な他人事じゃないのが困るね……」

「しかし恋愛事が絡むと『戦い』って言葉もあんまりいいものじゃなくなるな」

「元々あんまりいい意味じゃないんじゃないかな？」

「そうでもないぞ。戦いとかバトルとか聞いてて燃えるじゃん。因縁の相手との戦いとか」

「確かに男同士の戦いって……何かいいよね」

「……そこで恍惚な表情を浮かべるとは、比奈も着実に姉と同じ道を辿っているな……」