第3話 初めて、言葉にした
宗山 走、宗山 走、宗山 走
宗山 走、宗山 走・・・
ドラフト1位指名、宗山 走
あれから立命館宇治高校に進学し、卒業。走は高校生ではプロにはならないと宣言。
寮に入るのが嫌だと。理由はそれだけである。
大学は、立命館大学。
今年卒業である。
大学4年
最近つまらない、美幸であった。
いつもなら、一緒にテレビみたり、ゲームしたり、同じ雑誌を一緒に読んだり、走と一緒なのに
走ったら、今になって、
「わりぃ、ワイ勉強するから」
だってさ。大学4年よ、今さら何を、首席の走よ。
内定も貰っているのに、もっとも走が行くべきところは、プロ野球だけど。
なんで、今、勉強するのよ。それも一人で、私何すれば良いの?
集中したいから、一人で勉強する。
うちが、いたら、集中できへんと?。
走は、ほら、変な気分になって・・・、別の事に集中しちゃうから、あかん、と
そんなこと言って、一人で部屋に籠る走。
実は、勉強なんてしてなくて、
エッチな動画とか観ているのよ。
一緒に見れば良いのに、うちだって、観たいし。
あ、もう、暇、暇、暇
お母さん、暇
暇なの、どこか連れて行って。
そうだ、お母さん、お父さん、食事行ってくると言ってた。
誘われたのに、行かなかったのは、私だ。
暇!!!
走が居ないと、なにしても、つまらない。
つまらない
つまらない
つまらない
いつまで、一人にしておくのよ、この美少女を!
つまらない
つまらない
あー、つまらない
走、何しているのかな?
本当に、勉強しているのかな?
そんな日々が数か月続いていた。流石にイライラが収まらない。
顔を合わせて、会話はするが、また勉強とか言い出す。
いったい、なにしてはんの?
つまらない、つまらない、つまんなーーーーーい
そんな日々に飽き飽きしていた。つまらない、つまらないと。
1日会えない日があっても、つまらないのに
もう!いいかげんにして、怒りは頂点に達していた。
走の部屋に乗り込もう!勉強なんてしないで、私をどこかに連れて行ってと
部屋を出ようとしたその時であった、着信。走からである。
走
「美幸、明日誕生日なんやけど、ドレスとかで来て、駅で待合せな」
美幸は何のことか、わからなかった。
いきなり、ドレス?ドレス?ドレスって何?
翌日、お母さんに聞いて駅に向かう。
走が、かっこいい。大人の服装だった。
走
「いこう」
美幸(え?何、ここ、こんな高そうなお店、入った事ないのに、どうして?)
(どうやって、え、マナーわからない)
走
「大丈夫」
美幸(なにか料理の説明をしてくれているが、わからない、とりあえずワインを)
「おいしい!おかわり!」
走(おかわり、美幸だな。)
走は軽く手をあげて、ワインを追加
パチーン
美幸(ナイフ、落としちゃった、拾わなきゃ)
走が軽くてをあげると、何もいわずに、新しいナイフ。
美幸(どういう事?、え?)
お口直しのシャーベット、美味しい!
ケーキも最高!こっちが、あう!
いきなり、照明が暗くなって
あたりは、シーンと静まり返り
静まったと同時に、優しい音が聞こえる。
暖かい照明が、私を照らす
美幸(え?何?何?どうしたの?)
走
ゆっくり立ち上げり、美幸の前に片膝をついて、取り出した指輪」
「片足を、膝をついて、ずっと君が好きだった。愛しています。ワイと結婚してください」
産まれて初めて、走の口から
好きと言ってもらえた。
愛しているって言ってくれた。
初めて、指輪をつけた。
涙が止まらない。
ポロ、ポロ、ポロと
涙が止まらない。
暖かい拍手に包まれて、柔らかい音楽が流れていた。
お店を後にし、婚姻届けを出しに行った。
これで、夫婦や。
走(初めて、言ったわ、緊張したな。)
美幸
「ね、そう、もう1回言って、好きって」
走(いつか、言葉で、伝えなくてはと思っていた)
走
「ワイらずっと、一緒やから、中々言い出せなくて、はずいわ。」
「好きだよ、美幸」
後に、嘉位達和井田野球部とのディナーで明らかになった。
走は私に内緒で、ネットで有料の進学ゼミ、オンライン家庭教師を開きお金を貯めていたのだ。
自ら勉強をするのではなく、教える事で貯金を、この日を迎え、私のために
この年宗山はドラフト1位で、プロ野球の世界に入ったのであった。
ずっと、美幸と一緒
宗山 走
宗山 美幸
Fin.




