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12コマ目 習慣の罠

誰か作者に呪いをかけましたか?怒らないので正直に言いなさいw(新年度3週連続で休日出勤だった作者)

ダンジョンでの戦闘。

それ自体は今のところ対等かモンスターが少し強いかくらいで進んでいる。

しかし、それだけならもっとプレイヤー側が攻略を進められていてもおかしくはない。だが、残念ながらそうはなっておらず、


「フィールドのバイオーム変わりすぎぃぃぃ!!!!!」

「こんなに変化してたら対応できないって!!」

「絶対これ、エンドコンテンツレベルの内容だろ!!」


このダンジョンの強み。

それは次々と変化していくフィールドである。

水中が来たかと思えば今度は溶岩の中に落とされ、そこを抜けたかと思えば地面などない、飛行能力がなければひたすら落下し続けるだけの空間に送られる。

今のプレイヤーたちの能力で対応できるようなものではなかった。


『ふむ。さすがにあれだけ数がいれば半分以上抜けられると思っていたが、そういうことはないみたいだな』


骸さんにとってそれは予想外なことだったようで、純粋に驚いているといった声色でそんなことを言う。

(瑠季ちゃんの話だと今あるフィールドって平原と森と沼地とかだったよね?それだったらさすがに水中で呼吸させて溶岩の熱に耐えさせて空を飛ばせるって無理があるでしょ)

骸さんとは違い、伊奈野は予想外にはあまり思わない。今のプレイヤーがどれほど強いのかは分からないが、耐性系スキルも人気がなく取得する人は少ないという話であったため対応できないのも当然だとは思うのだ。


「このダンジョンを本気で攻略しようとする人が出てこない限りはしばらく大丈夫そうですね」


『む?本気で攻略しようと思われると大きく変わるものか?』


「私は変わると思いますよ。だって、今攻略されてないのって耐性の不足が主な原因だと思うので。逆に言えば、耐性さえ手に入れてしまえば相当奥まで入り込まれるのでは?」


水中で呼吸できるように泳げるようになり熱に耐えられるようになり空を飛べるようになれば、とりあえず最高到達階層は更新されてしまうと思われる。

そこからさらに新しい階層に対応した耐性を手に入れて、という風にされていってしまうとどんどん進んでいかれるのではないかと思うわけだ。

が、


『ふむ。そこは問題ないだろう。耐性の取得を優先すれば、他のスキルがおろそかになる。となれば、ボスを倒すことはできないはずだ』


「ボス、ですか。そんなに強いんですか?」


『うむ。今挑戦者達が苦戦しているようなモンスターの20倍程度は最低でも力を持っているからな』


「なるほど?」


耐性の取得を優先されても対応できる仕組みにはなっているのである。

骸さんに抜け目はないようだ。


「………でも、ボスですか。今まであんまり気にしてこなかったですけど、強いんですよね?」


『うむ。先ほど説明したように強いと思うぞ』


「じゃあ、今やってる『龍落とし』が成功するようになったら今度はボスにやってみるべきでしょうか。『龍落とし』は強い相手にも通用するって話でしたし」


『それは良いかもしれないな。ボスであればより動きが速く洗練され読みづらくなるし、練習の相手にはうってつけだろう』


そうして伊奈野はボスの話を骸さんとしていき、今後の訓練方針を決めていく。

すでにそうなっているため、彼女は気づかない。フィールドの変化でもボスの強さでもない、このダンジョンの本当の怖さというものを。

すでに彼女が目線を外しているダンジョン内部を映し出しているモニターでは、


『倒したらアンデッドになるのがつらいぃぃぃ!!!』

『ちょっと待て!ゾンビだけじゃなくてレイスもいるのかよぉぉぉ!!!』

『遠距離!倒すなら遠距離にしろ!近接だと復活で確実に殺されるぞ!!』


倒したモンスターの死体から襲われてキルされるプレイヤーたちの様子が映し出されていた。

そう。このダンジョンの本当の強さは、骸さんがいることで使えるアンデット化。モンスターをどれだけ倒しても、倒したそばからゾンビやらレイスやらになって襲ってくるのである。

これによる被害を特に受けるのが近接職。

近づいて倒したと思えばその傷など何も意味がなかったとでもいうように再度攻撃してくるのだからたまったものではないだろう。

このダンジョンが攻略されるということは、色々な意味でかなり先の話になりそうであった。


「さて、じゃあボスに移るためにも訓練頑張りますか!!」


ダンジョンの強さを確認した後一度勉強をはさみ、伊奈野は立ち上がる。

そこから行なうのは、弱いモンスター(当ダンジョン比)を相手にした『龍落とし』の練習である。これを使えるようになれば大抵の相手から逃げることが可能になるのではないかということで最近熱心に練習をしており、


「じゃあ、行ってきますね」


『うむ。余も行くぞ』


練習できる闘技場の階層へとむけて伊奈野達は転移を行なう。

先に転移するのは伊奈野であり、伊奈野がその場から消えたところで、


「あれ?そういえばダンマスって闘技場の階層を知ってるんでしたっけ?」


『む?闘技場の階層には何度も行っているし分かるはずでは……………ん?待て。もしや闘技場の階層を変えたか?』


「ま、まあ、残念ながらそうなってますね………」


『「……………マズいのでは?」』


その後炎さんと骸さんが救出に向けて急いで捜索のため様々な階層へ転移していくのだが、


「目が!目ガアアアァァァァァ!!!!!??????」


手遅れであった。

全身に様々な状態異常やトラップによる攻撃を受け、だというのにそれを気にせず両目を押さえて転げまわる伊奈野のログには、


《スキル『盲目耐性1』を獲得しました》

《スキル『閃光耐性1』を獲得しました》

《スキル『爆音耐性1』を獲得しました》

《スキル『振動耐性1』を獲得しました》

《スキル……………


身に降りかかった不幸の数だけのスキル獲得ログが流れていた。


「こ、これならしばらくは攻略されることはないかもしれないですねぇ……………」


「そ、そうですか」

『そ、それならよかった……………』

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[一言] はーい! *\(^o^)/* 祝いをかけました♪ …ん、何か違う?
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