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ソフィの誕生日パーティー イカ焼きはイカ焼きでも

「さて、お腹もそろそろ満たされてきたことですし、プレゼントタイムと行くっすよ」


 虎吉がパンパンと手を打って、そう全員に声を掛けた。


「待ちくたびれたよ。最初にやってくれればいいのに」

「まぁまぁ。それじゃ、誕生日パーティーのピークがそこで終わっちゃうっすから。トップバッターは誰から行くっすかぁ?」

「はいはい、私から!」


 初めにソフィへのプレゼントを持ってきたのは小豆だ。

 大き目のプレゼント袋を抱えている。


「小豆、ありがとう! 開けて良い?」

「どうぞどうぞ」


 ソフィは子供のように屈託のない笑顔で、袋の紐を解いた。


 その中からは、世界で一番有名であろう棒付きキャンディが大量に刺さって木のようになっているものが出て来る。

 店などで見かけるあの状態の商品だ。


「ありがとう‼ 助かる。ちょうど切らしてたの」


 ソフィは喜びを爆発させ、そのキャンディを抱えながら小躍りする。


 二十歳になっても大量の飴を貰って喜べるのは彼女の良い所だ。ソフィの家は一般市民の総司たちから見て、おそらくお金持ちの部類に入る。このパーティーが行われている家もソフィの自宅で、高層マンションの上層階だったりする。


 去年の誕生日も、自分たちのプレゼントで喜んでもらえるのだろうかと不安だったが、何を貰っても本当に大喜びするからプレゼントのし甲斐があった。


 小豆のプレゼントから始まり、晴音、真白と女性陣が続いた。晴音は前からソフィが欲しがっていたアニメのフィギュアを、真白はお洒落なウエストポーチを贈っていた。


「二人とも本当にありがとう! 嬉しいわ」

「あとね、私達三人からもう一つあるの」

「ええ、なになに⁉」

「はい、どうぞ」


 三人を代表して晴音がソフィに渡したものそれは、


「うわぁ! めちゃくちゃ嬉しいな! これでローション相撲が出来るわ。三人とも本当にありがとう!」


 まさかのローション十点セットだった。

 総司、飛角、淳之介が虎吉を説得してやめさせたものである。


「「「おい!」」」


 男子組は一名を除いて真面目に選んだというのに、女子組は真面目とおふざけの合わせ技だった。

 ただ、やはりソフィがとても喜んでいるあたり大成功である。


「なんだ、じゃあ俺からもローションセットをプレゼントするっす。持ってきておいてよかったすよ! 二日前に彼女と使ったんで、五本しかないっすけど、加湿器と一緒にどうぞっす」

「トラ! お前、持ってくるなって言ったやろ!」


 三人から止められていたのにも関わらず、虎吉は持参していたらしい。


 ローションがプレゼントOKと言うことで、彼は飛角のツッコミも無視して、鞄の中から取り出してきて加湿器と一緒にプレゼントした。


「トラもありがとうね!」


 ローションを男から貰おうが、彼女はやはり大喜びする。三人はツッコむ気が失せた。


「彼女はもう、絶対にいらないようなものでも喜ぶんじゃないか?」

「だろうな。俺もそう思うわ」

「多分、アリの観察キットでも大はしゃぎやで」

「あ、うん。アリの観察キットでもGの観察キットでも嬉しいわ!」


 三人は来年、本当に虫の観察セットでもプレゼントしてやろうかと考えながら、自分たちのプレゼントを贈った。


                # # #


 なんだかんだ大盛り上がりし、ソフィの誕生日パーティーはタコパの続きが行われていた。

 そうして、ようやく総司と真白お待ちかねのイカ焼きが届く。


「二人とも、ウーバーシーツ来たで?」


 飛角が取りに行ってくれて、袋を二つテーブルまで運んで来る。


「はい、これな」

「お前! これって大阪のイカ焼きじゃねぇか!」


 彼がビニール袋の中から出してきたパック。そこにはイカ焼き(大阪Ver)の姿があった。

 大阪のイカ焼きと言えば、イカの姿焼きではなく粉ものである。


 たこ焼きやお好み焼きに近い小麦粉の生地に卵、そして細かく切ったイカを散りばめて半月状に包んで焼き上げたものが、大阪のイカ焼きだ。


 二人は完全に騙された。


「だから、言うたやん。イカ焼きって」


 飄々と自分が悪いことをしたつもりがない、とでも言わんばかりにふてぶてしく告げる。


「馬竜、デスペナルティ!」


 温厚で怒ったりしない真白が半泣きで、バッドサインをしながら首を切るジェスチャーをしている。


 総司も呆然としていたが、これにはちょっとイラついて彼に詰め寄った。


「うははは! ジョークやジョーク! ほれ、ちゃんともう二品買ってあるって」


 飛角は馬鹿笑いしながらもう一つの袋から、カツサンドとホットドッグを取り出した。


 おそらく酒を飲んでいるのだろう。友人のすることだから許せるのだが、質の悪い冗談である。


「ちょっと、そこ! 主役の私を差し置いて、目立つの駄目でしょ⁉」


 と、ソフィから抗議が入るが、この事態を招いたのは彼女が元凶ではある。そもそも十人にも満たないパーティーで目立つも何もないが。


 ただ、総司と真白はそんなことはどうでもいいと、ようやく粉もの以外の食事ににありつく。


「めちゃくちゃ美味い!」

「うん。最高」


 それはもう涙が出るほどで、カツサンドとホットドッグがこんなに美味しいのかと総司と真白は感動していた。


 こうして、大学生たちの誕生日パーティーは閉幕に向かっていった。

本日二度目の投稿です。

はい、一本目に続き茶番回みたいなものです。

次回からは学祭編に突入しますが、今、肩と背中が痛いので明日、投稿できなかったらすみません。


ここまでで、面白いと思って頂けましたら☆☆☆☆☆に色を塗ったりブックマークをしていただけると励みになります。今後ともよろしくお願いします。

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