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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第2章 媚びを売るべき相手が誰かを分からせて差し上げましょう

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26.フォンティーヌ視点

自分の仕事に入る前にもう一つ仕事を片付けておかなければいけない。

「どうしてですか!」

私の服を掴み泣きすがる女官長グロリア。

彼女には退職か下っ端への降格のどちらかを選択させた。

提示したら今のような状況になっていた。まぁ、ある程度は予想していたがそれにしてもこの往生際の悪さは酷い。

「仕事をしない人間を養えるほど国庫に余裕があるわけでもなく、民の血税で無駄金は支払えない」

「私はちゃんと働いてます!王妃様ですね。そんなことを言うのは。嘘です!あの方は私のことが気に入らなくてひどい嘘を言うんです!私を貶める為に」

自国の王妃を貶めることに何の躊躇いも示さないその姿に、ただただ呆れるばかり。

「あなたの仕事とは番様とお喋りをすることか?」

少し竜族特有の威圧を醸し出して聞くとグロリアはたじろぐ。

だが同じ竜族。失神するなどの失態を犯すことはせず、気丈にも私を睨みつけてきた。

「男性には分からないかもしれませんが、仕えている主人の相手をするのも侍女や女官の仕事です」

「はっ。人に仕事を押し付けてまですることではないな。長として部下に指示を出すことはあるだろう。だが、仕事を押し付けるのと指示を出すのはまた別物だ」

ぎりっとグロリアは奥歯を噛み締め、私を睨みつけてきた。私の方が彼女よりも身分が上なのにも関わらず。これでよく女官長まで上り詰められたものだ。

人は変わるものだ。彼女も女官長になるまでは人を思いやれる立派な女官だったのかもしれない。

「私は、陛下の乳母です。私を辞めさせることを陛下が許すはずありませんわ。番様だって、私のことを気に入ってくださっています。私がいなくなればきっと悲しまれます」

哀れな女だ。そんなやり方でしか己を守れないなんて。

「あなたを辞めさせるよう嘆願書が届いております。幾ら陛下でも乳母とはいえいち使用人の為に数多の貴族の娘の言葉を無下にはできないでしょう。何よりも部下に慕われない上司は無用の長物として私が切り捨てます」

「・・・・・後宮の使用人の権限は王妃にあります」

彼女の言葉には呆れを通り越して怒りが湧いてくる。彼女は、この国はどれだけ妃殿下を侮辱したら気が済むのだろう。

「笑止。その妃殿下があなたの解雇を望んでおられる。あなたの態度を見れば当然のこと。妃殿下があなたを庇う理由はどこにもない。どうやらあなたは留まったところで害悪にしかならないようだな。直ぐに荷物を纏めろ」

私の言葉にグロリアは漸く自分の立場を理解したのか顔を真っ青にし、がたがたと震え始めた。震える体を隠すように両手で自分の体を抱きしめていた。

「ま、待ってください」

「いいえ。もう十分待ちました。私が提示している間に態度を改めて一からやり直せば良かったのに。あなたにはその道も残されていました。それを棒に振ったのはあなたです。グロリア、チャンスは二度も訪れはしませんよ」

糸が切られたマリオネットのようにグロリアはその場に崩れ落ちた。

「・・・・・私がいなくなれば、きっと番様が悲しまれますわ。あの方は私のことを気に入ってくださって」

「そうでしょう」と縋るようにグロリアは私を見てくる。

グロリア、あなただって気づいているでしょう。番様は顔ぶれが変わったところで心を痛める方ではないことを。別の使用人があなたにとって代わるだけ。

「後宮で働く使用人の権限は妃殿下にあります。グロリア、あなたは媚を売る相手を間違えたのですよ」

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