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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第9章 聖書を利用するのは神だけではなく悪魔も同じ

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「あっ、これ可愛い」

「フィリミナに似合うな」

「これも可愛い」

「両方買ってあげる」

「いいのっ!?うわぁ、ありがとう。嬉しい」

私たちは視察に来たはずなのに何を見せられているのだろう。

一緒に無理やりついて来たマナートとフィリミナのお買い物タイムになっていた。

「‥‥‥ノワール」

「ああ」

こちらを注視する複数の影があった。

マルクア神聖国側は気づいていないようだ。

「エレミヤ」

ぐいっとノワールが私を抱き寄せた。

「様子を見る。俺から離れるな」

「‥…はい」

近い。

心臓の音が聞こえてしまいそうだ。

「それにしても噂以上に差が激しいな」

ノワールは周囲を警戒しながらスラム街に続くであろう裏道に視線を向ける。

裸同然の恰好で蹲る人たちがいる。

彼だけではない。

大通りにいる人たちでも扱いに差が出ている。

女の子が持つには無理な量の荷物を持たされている子がいたり、酷い罵声を浴びせられている子もいる。たぶん、みんな混血なのだろう。

みんなを幸せにしたいと言った聖女様はこの状況を見ても何も思わないようね。

自分の買い物に夢中のあまり、視界に入っていないだけかもしれないけど今日初めてこの国に訪れた私と違い、彼女はこの国出身だ。

この光景は常に彼女の視界に入っていたはずなのに。

それとも彼女の言うみんなに混血は入っていないのかしら。

「マルクア神聖国の特産品はブルーダイヤでしたわね」

「はい。ご覧になりますか?」

「是非」

アルセンの案内で宝石店に入る。

「うわぁ、綺麗」

フィリミナがガラスケースに駆け寄り、中に入っている宝石を食い入るように見つめる。

格式高いこのお店は紹介がないと入れないお店になっている。王族といえどそれは例外ではなく素行に問題のあるマナート、平民のフィリミナはこのお店に本来なら入れないのだが今日はアルセンがいるので特別に入れたようだ。

「本当に美しいですわね」

宝石を見るふりをして窓の外に視線を向ける。

誰かを待っているかのように装って宝石店の近くをうろついたりしばしこちらに視線を向けたりしている男たちがいる。

護衛としてついて来たシュヴァリエとディーノも彼らのことが気になっているのか時折窓の外に視線を向けていた。

「何かを仕掛けて来る様子はないな」

「ええ。目的が分からないわ」

宝石を見る私の隣に立ったノワールは私にだけ聞こえるように言った。

「人通りの少ないところに行って、出方を見てみるか」

「人数が不明なのに危険では?」

「俺たちを監視しているのは五人。店の外で待ち合わせを装っている小太りの男、宝石店の近くの店を物色している無精ひげの男、向いのカフェでティータイムを装っているひょろ長の男、後はスラム街に続く裏道に一人」

私はこちらを見つめる不審な視線があることには気づいていたけど人数と場所まで特定することはできなかった。

でもノワールはよほど視線に敏感なのか或いは特定できる何らかの魔法があり、施行しただけのかは分からないけど大したものね。

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