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91 オオイワトカゲキング戦

 オオイワトカゲキング。

 硬いし、素早いし、攻撃強いし、バクテリア毒はエゲツない。

 見た目は、オオイワトカゲとほぼ同じで、イワトカゲより二回り程大きく、表皮も真っ黒で、ゴツゴツとしていて、岩の様な見た目だ。

 イワトカゲが、コモドドラゴンくらいあるので、そのサイズは推して知るべし。

 頭の上に三本の角があり、子供が落書きした王冠の様にも見える。

 そこだけ妙に白っぽい。

 暗視の魔法のおかげで俺達は良く見えるけど、他のパーティだと照明係が必要な暗さだ。

 今回は、部屋の灯りは灯らないと思うので、トーチを俺とデイジーとエレオノーレさんでそれぞれ浮かべ、全員に暗視を掛けている。


 オーランドが睡眠防止薬を飲んだのを確認して、皆で部屋に飛び込む。

 案の定、部屋は真っ暗なままだ。

 トーチの魔法を、前方、後方、ヤンスさんの手元にそれぞれ飛ばして、オオイワトカゲキングからの攻撃に備える。

 部屋の広さ自体は三階層とほぼ同じで、奥に舞台の様になっているのも同じだ。


 違うのはオオイワトカゲキングが既に戦闘モードに入っており、シュルシュル舌を出し入れしてこちらを見ているところだ。


「来るぞ!」


 オーランドの声に応える様にジャックがバトルアックスを構える。

 初手に放つ予定になっていた洗浄の魔法を俺が放つと、続いてデイジー、追ってエレオノーレさんの魔法が予定通り放たれる。


 どぼんと水の塊が顔にぶつかって、嫌そうに足を止めたオオイワトカゲキング。

 洗浄の水を飲んでしまったのか、咽せる様な仕草をしているところに、白く光る浄化の魔力がぶち当たる。

 コレでダメージが入る訳ではないが、“何かをされた”のは分かったのだろう。

 威嚇する様に口を開けた。


ーーー所に、氷結魔法が。


 ちょっと想定外だったんだけど、洗浄の魔法で濡れていたからか、中々良いダメージが入ったらしい。

 顔全体に薄い氷が張って、見るからに動きが鈍くなった。


「楔入ったぞ!」


 ヤンスさんの言葉に、ジャックとオーランドが地を蹴り、肉薄する。

 岩の様に硬い鱗が二人の刃を拒絶する。

 繰り出される尻尾がオーランドを捉え、弾き飛ばすが、空中でぐるりと体制を変えると、地面に足が着いた途端、またオオイワトカゲキングに向かって跳んだ。

 どうやら弾き飛ばされたというよりも、衝撃を逃す様に自分から後方に飛んだらしい。


「ジャックーーッ!!」


 エレオノーレさんの悲鳴に振り返ると、ジャックの左腕にヤツがぶら下がっていた。


ーーー奴には毒があって、噛まれたらそこから肉が腐る。

ーーー先輩ハンターがそれで腕を失って引退したんだ。


 脳内にオーランドの声がエコーの様に響いて、頭が真っ白になる。


「洗浄ぉぉっ!!」


 咄嗟にありったけの魔力を、バクテリアを消す事だけ考えてジャック達にぶつける。

 滝の様な洗浄の水が降ってきて、オオイワトカゲキングが離れた。


「よくも私のダーリンに噛み付いてくれやがったわね?!このクソトカゲ野郎ッ!」


 押し流され、バランスを崩したオオイワトカゲの口内にぶっとい氷柱が突き刺さり、地面に縫い留められる。

 オオイワトカゲキングに一発魔法をぶち込んだエレオノーレさんはジャックに向かって走っていった。

 既にジャックの元に駆け寄っていたデイジーは、解毒ポーションを傷口に掛けて治療を開始していた。


「キリトッお前はこっちだっ!」


 ヤンスさんの怒声に、ジャックの元に向かおうとしていた足の向きを変えた。

 せめて三人が安全に治療出来る様に氷の壁で囲んでおく。

 三人の驚く様な声が聞こえてきたけれど、無視してオーランド達の所に駆ける。


 オオイワトカゲキングは地面に縫い留められていても未だ元気な様で、硬い鱗で身を守りつつ、爪や尻尾でオーランド達を攻撃していた。

 時折睡眠魔法も飛ばしたりして、ヤンスさんが膝をついたりしている。

 噛み付くことは出来ないからか、尻尾で地面を抉る様にして礫を飛ばしていて、二人は傷だらけだ。


「二人とも離れて!」


 指を立てて見せると、顔を引き攣らせながら二人が距離を取る。

 身動き出来ないオオイワトカゲキングの首をウォーターカッターで落とすと、地面に吸い込まれる様にして消えていった。

 最後まで見る事もなくオーランドが駆け出す。


「ジャック無事か!?」


 そうだった!

 ヤンスさんもフラつきながらジャックの元に向かう。

 俺も、ヤンスさんを支えながら皆の元に向かう。

 氷の壁を消したら、そこにはジャックに縋り付いて泣くエレオノーレさんの姿が。


「まさか……」


 ヤンスさんが枯れた声で小さく零す。


ーーー先輩ハンターがそれで腕を失って引退したんだ。


 また、オーランドの言葉が頭に響く。

 キーンと耳鳴りがする。

 動悸が酷く、指先が冷えて震え出す。


「ジ、ジャック……」


 自分の声が遠く聞こえる。

 足がもつれて、上手く進めない。

 ヤンスさんを支えているのか、ヤンスさんに支えられているのか、わからないくらいだ。

 座り込んでいたデイジーが立ち上がって俺達を見て慌てる。


「あ、あのっ!皆さん大丈夫ですっ!念の為キリトさんに【鑑定】してもらいたいですけど、綺麗に治ってますからっ!」


 その言葉にガクッと力が抜ける。

 エレオノーレさんは安心して泣いていただけらしい。

 紛らわしいからやめてくれ!

 頼むから!

 【鑑定】の結果、バクテリア毒の影響も無く、無事に回復している事がわかった。

 デイジーの回復魔法のお陰で、つるりと綺麗な腕になったジャックが、申し訳なさそうな顔でこちらを見ながらエレオノーレさんを抱き締めていた。

 オーランドやヤンスさんの傷も、魔法で回復して、結構なダメージを受けたものの、致命的な怪我は無く、辛勝した。

 ちょっと今回の戦いはギリギリだった気がする。


 いつも俺不運読んでいただきありがとうございます。

 ブックマーク、評価とっても嬉しいです!ありがとうございます!


 あと少しでダンジョンが終わります。

 結局バトルは上手く書けずじまいでした……。

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