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20 レジーナ旋風

 意見や価値観の擦り合わせというか、常識破壊というか微妙な情報交換をしていると、レジーナが飛び込んできた。


「キリト!やっと戻ってきたのね!コレ!これ見て!これ!どう?!可愛いでしょ?!他になんか弄れそうなとことかない?」


 子供が描いた絵を見せるみたいに両手でデザイン画を広げて捲し立てる。

 実際には生えてない耳と尻尾が見える様だ。

 うーん可愛い。


「すげぇ可愛いです」

「でしょでしょ?!」


 何が、とは言わない。

 うん。

 自慢げなドヤ顔がイイね。

 向こうでヤンスさんがうわぁって顔してるのは見えない見えない。

 改めてデザイン画を見て、ふと気付いた。


「お嬢様って小物とかはどうするんでしょうか?」

「小物?」


 レジーナは疑問符を浮かべつつもパパッと紙とペンを用意するあたり流石だ。

 受け取ってイメージをカリカリ描いていく。

 イヤリングとかモフモフの奴あったよな……。

 それとリボンを合わせたり、金属でリボンモチーフにして吊り下げぽんぽんにしたり。

 それを流用できるネックレスとかもありだよな。

 チャームを下げられるデザインのネックレスもササっと描き加える。

 カンって言うんだっけ?

 あのちょこっと飛び出たところを引っ張って引っ掛けるやつ。

 アレも大きくして説明を書く。

 あんまりセンスないから横の注釈で補強、補強。


 あとファーバッグなんかも可愛いよなぁ。

 小さな手でモフモフした小さなバッグ持ってるとなんかこう、守ってあげなきゃ!ってなるよな。

 ミニトート、サイズ感大事、と。

 それ持ってたらハンカチとかお化粧直しとか出来るしな。

 女の子の身嗜みなんだよな。

 お姫様はそういうの持たないのかな?

 でも物語ではハンカチとか取り出すしあった方が良いよな。

 うん。

 ……うん?

 あれは隠し(ポケット)だったかな?

 まぁ、いいや。


 所謂トートバッグタイプにコロンとした丸っこいデザインのもの、円柱タイプのもの、肩から提げられるポシェットタイプのものなどをいくつか描き散らす。

 バッグ単体だけではなく使用しているイメージも添えて。


 ちょっと変わり種で毛皮使ったカチューシャとか。

 ウサミミリボンカチューシャとかこっちでも流行らんものか?

 毛皮でリボンにしても頭が重くなり過ぎないバランス。

 立体感を出すために中に針金を通してウサミミのように立たせる、と一言添える。

 風魔法で耳がぴょこぴょこ動くとなお良し。

 ロシア帽みたいなふあふあの帽子に、手袋、マフラー。

 手袋もふわふわのミトンタイプに立体的な五本指のお上品なやつを描く。

 手首のところにファーをつけてみた。

 どちらも可愛い。


「全部を一気に付けはしないと思うけど、余った毛皮とか切れ端とかで加工したら、一冬でも充分に堪能できると思うんですよねー。このイヤリングとかはちょいちょいっとチェーン付け替えたり付け足したりするだけでイメージ変わるし、ミニトートにチャームとして付けても可愛いですよね。城内でも毛皮身に付けられて良いんじゃないかなぁって思います」

「…………」


 脳内の妄想お嬢様に色々着せてガシガシ描いていきながら、説明する。

 チェーンの付け替えパーツも幾つか描き足す。

 リボンだったり、キツネのシルエットだったり。

 ファーもぽんぽんだったりリボン型に絞ったものだったり。

 星のモチーフだったり、小粒の宝石をあしらったり。


「お貴族様だから毎回お出掛けで同じコートは着られないと思うんですけど、それでもマフラーとか手袋とか、こういう小物で気持ちを上げられるといいと思うんです」


 別のコートデザインに手袋やマフラー、帽子などを合わせていく。

 ドレス姿にカチューシャやイヤリングを付けてみたり。

 手袋に指輪風の刺繍したものとか、実際にチェーン吊り下げてみたり、手袋用の指輪付けてみたり、レースのカバーを掛けてみたりする。


「……ねぇ、キリト。あなたハンターやめてウチの専属デザイナーにならない?」


 鼻歌でも歌い出しそうなタイミングで、ガシッと肩を掴まれた。

 めっちゃマジな目で俺を見てる。

 いや、マジすぎて恐怖を覚えるレベル。


「え?俺は「だ、ダメよ!キリトはハンターになって私達のパーティに入ったんだから!」」

「キリト、仲間」


 ハンターになるから、と言う前に、ベリっと引き剥がされエレオノーレさんに抱きしめられる。

 きゃー!お胸が!

 けしからんお胸がぎゅうぎゅうにうひー!と胸中嬉し恥ずかし大暴れしている俺をそっと離して背中に隠すジャック。


「そーそー。キリトちゃんはもう『飛竜の庇護』の仲間だし?」


 離れてしまった罪深い膨らみに残念だけどホッとしている俺を全て見抜いた目でニヤニヤ見ながらヤンスさんも参戦する。

 くっ!勿体無いなんて思ってないからな!

 ……ちょびっとしか。

 でもまだ仲間になったばっかりで、まともにクエストにも行ってない俺に対してみんなの仲間意識が嬉しい。

 新入りに優しい。

 じわっと来る。

 明日から頑張ろう。


 そんなこんなでレジーナには丁重にお断りをして、お風呂に入り、寝た。

 なんでかヤンスさんに言われて部屋を交換して寝ることになったけど。

 特に問題もなく朝が来ていざクエストへ!


「ちゃんとお礼振り込んどくから帰ったら確認してよね!」


 何故か膨れっ面のレジーナに見送られて出発した。

 ヤンスさんが最高にイイ顔してるから何かしたのかもしれない。

 大きな荷物は殆ど【アイテムボックス】に仕舞い、フード付きのマントとポーチと杖だけ装備している。

 みんなの分を持とうか?と言ったけれど自分の荷物は自分で持っていないと万が一分断された時困るから、と言われ、納得した。

 その代わり、今までパーティの荷物としてジャックが持っていた調理道具やちょっとした治療具、ナタや火種、専門的な解体グッズ(俺の荷物を買っている時に合わせて購入していたらしい)など緊急で必ず必要ではない物は預けてもらえた。

 ピッケルは各自背負っているけど。

 なんか自分だけ身軽で申し訳ない。

 読んで下さった方、ブックマークしてくれた方、評価してくれた方、ありがとうございます!

 とても励みになります!

 これからもよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ここら辺の話、皇妃様にしても、食いついてこられるかも知れませんね。 レジーナとクラーラお嬢様も呼び出されて親しく歓談と言うことになり、レジーナは元よりクラーラお嬢様もガチガチに。
[良い点] 夜這いかけてきたのか…w
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