18 魔法の実験は楽しい
魔法は所謂4大属性、火、水、土、風、がベースとして、水と土の合わせ技で植物魔法だったり、風と火で嵐魔法だったりとマナーブックに書いてあった。
基本的に初めて使用出来るのは一属性のみで、残りは訓練次第との事。
でもそれ考えると俺は水も火も風も使ったことあるんじゃね?ってなった。
だってお湯が空中固定して冷めないように真空作ったりしたじゃん?
おや〜?その辺は後でエレオノーレさんに聞いてみよう。
うん。
平原に着くとみんなが俺の背後に回って確認スタートだ。
まずはみんなが知ってる水の魔法。
『水球』
コレはもう簡単にイメージできる。
サイズ感から中の水の状態まで結構自由自在。
ピンポン玉サイズから直径百五十センチくらいまでスムーズに大きさを変えられる。
飲水、熱湯、六十三度(毛抜き用)のお湯に四十度(お風呂)のお湯。
炭酸水なんかもイメージしたら一発で作れた。
しかし、この時点でみんながドン引き。
意味がわからない。
「飲水が作れるのも凄いけど、温度設定できるのが気持ち悪い」
とエレオノーレさんに言い放たれた。
ひどい。
話を聞くとやはり一度に三属性まとめて無詠唱で使用するのが異常との事。
火と水とは打ち消し合うのが常だし、それを空気で包むっていうのは発想からおかしいそうだ。
とりあえず浮かせた水球を動かせるか試したら思い通りに動いてくれる。
これ、アレができるんじゃね?
残酷だけどハンター的には傷ひとつなく素材が確保出来るやつ。
水球を顔に被せて、モンスターの窒息死。
って話したらまたドン引かれた。
基本的に一対一で戦えることはないとの事。
仲間や配下がいっぱい居るから一匹を窒息死させるまでずっと魔法に集中できるか保証しないってさ。
あれはファンタジー、作り話の技なのか。
でもまあ一匹しかいない時にチャレンジしてみよう。
うまく行ったら良いし、うまくいかなかったならうまくいかなかった時だ。
次は攻撃できるかと聞かれたのでウォーターカッターをイメージする。
所謂高水圧カッターだ。
中々上手く行かなかったけど、指先から集中して撃ち出すイメージにしたら、俺が二人で手を繋いだくらいの太さの木が、面白いくらいスパスパ切れた。
ちょっとポーズがアイドルのバーン的で恥ずかしい事以外は問題なく使用できる。
もしくは霊界探偵さんが霊力を撃ち出すやつ的な……。
近くにある方が威力が高くて、離れる程に攻撃力は落ちていくものの、五メートルくらい離れててもスパーンだった。
ただし、コレも俺から一直線で高圧水流が噴出されるので、間に仲間がいたら使えない。
他にも水の温度を下げてアイススピアが出来たりしないか思いついてやってみたけどコレは正解。
起点を自在に設定できるし、中々高い攻撃力が発揮された。
自分から撃ち出すだけではなく、仮想敵の背後からこちらに向けて撃つ事もできた。
全方位に無差別で放ったり、高い上空から落下の勢いを使用する事もできた。
地面を凍らせて相手を拘束するやつも試してみたけど、威力の制御が難しくて凍らせすぎてパリィンって砕けてしまう。
コレは敵に囲まれた時とかには良いかもだけど、素材を収集するには向かない。
そうやって嬉々として実験していると、みんなから襟首掴まれて防具屋へ連れ戻された。
どうやらやりすぎたらしい。
平原は草が捲れ上がり、平らだった地面はあちこちにクレーターが出来て、ズタボロになっていた。
オーランドからは充分に確認できたからもう何もしてくれるなと懇願された。
解せぬ。
まだ水魔法しか使用していない。
とりあえず少なくとも幾つかの攻撃魔法は使用出来ると確認できたから良しとしよう。




