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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
3章 邪教編

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2話 エスペランサから使者が来ました。

タイトルがややこしいのでシリーズものにしてはどうか? という感想を貰いましたが、このままいくことにします。

誤字報告、いつもありがとうございます。

 

 私が邪教徒をどう滅ぼそうかを考えていると、外交担当の人が謁見室へと入ってきます。

 外交担当の人が執務室にまで入ってくるのは珍しいことで、いつもは宰相さん経由で何かを伝えてくるのですが、直接とは何があったのですかね?

 最近の外交関係のモノは、大体が邪神への苦情なんですけどね……はぁ……暴れたいです。


「魔国エスペランサの宰相であるブレイン様が、レティシア様に面会したいとのことです」


 ブレインがですか? そういえば、この二年で宰相になったんでしたっけね。ブレインが私に直接話とは面倒くさいことは確定ですね。嫌な予感しかしないんですけど……。


「レッグさん。断ることは可能でしょうか?」

「いや、同盟国の宰相が直接レティシアちゃんに用事があると言っているんだ。流石に無視はできないだろう?」


 私が頼んでもどうにもならない正論で返されてしまいました。

 レッグさんも、今回のブレインの訪問が邪神絡みと分かっているのでしょう。

 宰相さんがブレインをここに案内するために、部屋を出ていきます。

 何を言われるかは、想像がつきます。どうせ邪教徒のことでしょう。邪教徒がエスペランサで下らない暴動でも起こしましたかね。

 そもそもブレインもおかしいのです。

 邪教徒と私が関係ないことくらい知っていると思うのですが、何故いちいち私に苦情が来るんでしょうか?

 これはアレですか? 二年前の復讐ですか? わ、私は復讐をした側ですから、そのことを非難することが出来ません。


「レティシアちゃんもだいぶ疲れているみたいだな」


 えぇ、疲れてますよ。

 許されるなら、今すぐにでも邪教徒を殺しに行きたいくらいですからね。

 あ!! ちょっと待ってくださいよ。

 ブレインがここにきて、私に苦情を言う、そして私激怒、そのまま邪教を滅ぼしに行く。

 か、完璧じゃないですか!!

 これならば、私のストレスも解消できますし、邪魔な邪教と共も滅ぼすことが出来ます。

 ……それでいきましょう。


 暫くすると、謁見室に神妙な顔つきの宰相さんと少し怒ったブレインが入ってきます。

 そもそも、その顔も気に入らないのですよ。

 どうして私が怒られる必要があるんですか? 私は何もやっていませんよ。


「久しぶりだな、レティシア」

「あぁ、そうですね。私は基本、ネリー様の護衛をやっていますからね。こうやって面と向かって会うのは一年ぶりくらいですか?」


 ブレインはエスペランサの宰相として、レッグさん達と会議などで会う機会がありますが、一線を退いたネリー様は会議などに滅多に出なくなった為、私もエスペランサやエラールセの王族の人々に会う機会が極端に減りました。

 とはいえ、パワーとハヤイを鍛えているのでこの二人にはよく会うのですがね。


「で? 私に用があると言っていましたが、何の用ですか?」

「あぁ、察しの良いお前なら気付くかもしれないが、あのはた迷惑な連中についてだ」


 ほら、来ました。

 おそらく私がどう言い訳しても、私は邪神です。信用もされないんですよ……。忌々しい……。


「あの人達のことは私には関係がありません。勝手に処罰でもなんでもしてください。殺してくれると手間が省けます」

「どうせお前のことだ。この状況を利用して邪教徒を滅ぼすつもりなんだろ?」

「な、何のことでしょう?」


 う……いけません。

 平常心を保たなければ……。


 ブレインは私をジッと見ます。ブレインの目は神の眼というらしくて、真実を見抜く力があるそうです。

 そもそも、どうして神でもないブレインが神の眼とやらを持っているのですか!?


「はぁ……これは邪神(お前)の問題だからな、お前がどう動こうと私達にはどうすることも出来ない、好きにすればいいが、邪教は上手く地下に潜っているが、どう地上に引きずり出すつもりだ?」

「え? 片っ端から怪しい集団を殺しつくすつもりですが?」


 それが一番簡単でしょう? そもそも邪教というのは、私を崇めているということでしょう? 私に壊す権利があると思うんです。

 その結果、他の異教徒も巻き添えになるかもしれませんが、知ったこっちゃありませんし。

 異教徒と言っても、アブゾルが台頭している時は、怯えて縮こまっていただけでしょうに……。

 私がそう宣言すると、ブレインがこめかみを押さえています。その仕草、ムカつきますねぇ……。

 

 ここで、今まで黙っていた紫頭が口を出してきました。


「片っ端は止めろ。アブゾル教が無くなった今、異教も数多くある。怪しい奴を片っ端から殺せば、エレン教の弾圧と取られてもおかしくあるまい。そもそもお前がエレンを大事にしているのは、今のこの世界では皆が知っている事だからな」

「そうなのですか?」


 これには私もビックリです。今の紫頭の言葉を信じるのであれば、確かに私が()()()に異教徒を殺してしまえば、エレンの顔に泥を塗ってしまいます。それは嫌ですねぇ。

 仕方ありません、怪しい奴の無差別殺人は止めておきましょう。良い手だとは思ったのですがね……。

 となると、どうやって邪教徒を引きずり出しましょうか……、マイザーで冒険者でも雇って、邪教を調べさせましょうか……。

 それがよさそうですね。そうしましょう。

 マイザーに行く前に、まずはこの国にある邪教を潰しましょう。

 

 私は無言で謁見室から出た後、カチュアさんに邪教徒が集まっている場所を調べて貰います。

 カチュアさんの部隊はこの二年で、戦闘諜報員として十分鍛えました。

 私が望む情報を一日もかからず調べてくれるでしょう。

 後は待つだけですが、暇つぶしにあそこに行きましょう。景気づけにもなりますしね。


 ファビエ王国の地下深くに、願いが叶うという神像があります。

 この神像は、悪神アブゾルが残した最後の力で願いをかなえるという神像だそうです。

 おかしいですね。この像にはアブゾルの残りカスが入っているだけですが、どこでそんな噂が流れたのでしょうか……。

 そういえば、二年ほど前に適当なことを書いた本を魔法で増殖してばらまいた記憶があります、その本のタイトルは『ファビエ地下に在った奇跡の像』というジョーク本を書いたのですが、それは関係ないですね。

 まさか、その本を信じてこの地の地下に来た人が、たまたま像をどつきまわす私を見て、像を殴ると幸せになると勘違いしたからじゃないですね。

 全て()()ですね。


 地下の神像の間には、綺麗な色のヒヒイロカネのこん棒と、ボコボコになりながらも再生を始めている、在りし日のアブゾル像が立っています。

 私がこの部屋に入ってくると、どこからともかく呻き声が聞こえてきます。不気味ですねぇ。

 棍棒を拾い上げ、像を殴ると、「ぎゃあ!!」という叫び声が聞こえます。不思議ですねぇ……。

 まぁ、この像にアブゾルが入っているんですけどね。

 ちなみに、悲鳴などは普通の人には聞こえませんよ。私だけに聞こえるようになっています。


「久しぶりですねぇ……アブゾル」

『こ、ここから出してくれ……もう痛いのは嫌だぁあああああああ。あ、殴らないでくれぇえええええ』


 うるさいですね。

 最近は同じことしか言わないので、面白くなくなってきたんですよね。

 もう、殺しますか? しかし、一緒に地下についてきたカチュアさんに止められます。


「レティ様、まだ、数年先まで予約が一杯です。今でも毎日予約を取りたいという人が殺到しています。アブゾルはどうでも良いのですが、その人達を裏切るのは少しだけ可哀想です」


 確かにカチュアさんの言う通りです。仕方ありませんね、どうせここで殺したとしても永遠の罰が下るのは間違いないでしょう。サクラさんもそう言っていましたしね。

 ただ、私達の会話にアブゾルは泣き叫んでいましたが気にしません。

 私はアブゾルを数発殴ってから、地下を後にします。


 地下から出てくると、カチュアさんの部下の一人が私達を待っていました。


「レティシア様、この国の邪教徒のたまり場を発見しました。地図で言うとここになります」


 部下の人が指さしたのは、かつてアブゾル教の教会があった場所でした。

 今では、石碑が立っているのですが、地下に空間がありそこで下らない儀式をしているそうです。


「儀式の内容は?」

「は、はい。ものすごく伝えにくい事なのですが……エレン様を排除するための儀式だそうです……」


 あ? 何をしているって?


 この瞬間、邪教徒を確実に皆殺しにすることを心に決めました。

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