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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
2章 教会編

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教会編 12話 口を割らせましょう。

 私とマジックは、捕らえた魔族を口を割らせるための拷問をする為に地下の拷問部屋へと足を運びます。

「口を割ると思いますか?」

「さぁな。恐らく、簡単に割るとは思えんのだが、あのハヤイの部下だからな。直ぐに口を割るかもしれん。もし、簡単に口を割った場合はどうするんだ?」

「はい?」

「話を聞いていたか? あの魔族がたやすく口を割ったらどうするかを聞いたんだ」

「殺すに決まっているじゃないですか。生かしておく理由がありますか?」

 マジックは何を言っているのでしょうか?

 他の神官を殺したというのに、あれを生かしておく意味も理由もありませんよね?

 やはり、マジックも魔族ですから、同族に対して甘さがあるんですかねぇ……。

「殺すのなら俺が殺すぞ」

 マジックは、クランヌさんを裏切った魔族を許せないらしく、自らの手で殺したいそうです。

「良いですよ。分かりました」


 私達は、拷問部屋の扉を開けます。

 拷問室の重厚な扉は特別な魔法をかけていて、私か紫頭の二人しか開ける事が出来ません。

 紫頭に開ける権限を与えているのは、私のいない時、予約した人が困らないようにする為です。

 逃がそうとしても逃がす事は出来ないという事です。


 部屋の中には、両手両足を魔力で強化された鎖で繋がれたウジ虫がいます。

 私が部屋に入ると、ウジ虫が泣き叫びます。

「うるさいですね。マジック。コレを痛めつけるので、先に魔族の拷問を始めてください」

 私は、そこらに落ちていた、こん棒でウジ虫を殴ります。

「ぎゃあ!!」

「叫ぶほどですか? 昨日は、武器屋の親父さんの番でしたから、いろいろな武器で痛めつけられたでしょ?」

 私は、泣き叫ぶウジ虫を棍棒で殴り続けます。

「どうですか? 少しは反省しましたか?」

「た、助けてくれよ……」

「え? 嫌ですよ。貴方を助けて、私に何の得があるんですか?」

 私は笑顔でそう答えてあげます。ウジ虫の顔は絶望に変わります。

 ウジ虫もこの生活を始めてもう数ヵ月ですのに、どうして、今頃、私に命乞いをして許されると思っているのですかね?

「レティシア。そっちは済んだか?」

「はい。今日は飽きました。で? 口を割りましたか?」

 私は、ウジ虫の頭を強打し黙らせた後、魔族が拘束されている部屋に移動します。


「こっちなんだがな。俺のミスだ……すまん」

 マジックは、何故謝っているのでしょう?

 その理由は、魔族を見てすぐにわかりました。

 魔族はウジ虫と同じ方法で拘束されているのですが、すでに死んでいる状態でした。

「マジック。説明してください」

「あぁ。どうやら、情報を漏らそうとすると、死ぬように魔法をかけられていたようだ。こいつ自身はすぐに口を割ろうとしたんだがな、その瞬間、泡を吹いてそのまま死にやがった」

「そんな魔法があるんですか?」

「いや、俺も聞いた事が無い。情報を制限する事は出来るが、完全な口封じの魔法はクランヌ様でも使えない筈だ」

 ふむ。と、いう事はこの魔族の後ろにいるのは、それなりに強者という事ですね。

「お前は使えるのか?」

「今は使えません」

「今は?」

 少し研究すれば作れそうですが、そんな魔法を使ってまで、情報を制限する必要もありませんからね。

「そんな事よりも、この事を姫様に報告しに行きましょう」

「あぁ」


 姫様は、自身の執務室で書類のお仕事をしている最中でした。

「レティ。マジックさん。どうしたの? 魔族から情報は手に入った?」

「その事なんですが……」

 私は、魔族にかけられていたと思われる魔法の事を報告します。

「そう……。クランヌ殿でも扱えない魔法を使用している時点で、強者という事は間違いなさそうね。魔法に関しては魔族の方が先を行っているからね。もしかして、魔族でも大物なのかしら?」

 姫様の疑問にマジックが首を傾げます。

「大物か……。いや、元々魔族という種族は、自身の力を隠すなどという事をしない種族だ。もし、新魔法の研究が出来たという事なのだったら、クランヌ様や、俺達に報告が上がるはず。それが無かったという事は、魔族という線は薄い」

「という事は……人間?」

 人間にそれ程の魔法を唱える事が出来るでしょうか?

 一番疑わしいのは、枢機卿ですが……。

 私達が、魔法について考えていると、レッグさんが部屋に入ってきます。

「ん? レティシアちゃん達も来ていたのか。丁度いい。昨日捕らえた神兵から、教会の事を詳しく聞く事が出来た。どうやら教会の頂点は枢機卿ではなく教皇だそうだ」

「え? 教皇なら殺しましたよ?」

「いや、教皇は生きているそうだ。生きているとは違うな。新しく任命されたそうだ。()()()()でな」

「神の意志ですか? 神を殺した筈ですが、おかしくないですか?」

「あぁ。俺達はそれを知っている。神兵……セーリオが言うには、その教皇が任命された時期が、お前が神を殺した時期と一致するそうだ」

 ん? という事は、それはアブゾルの意志ではないという事でしょうか?

 しかし、それならそれで疑問が生まれます。

 もしこの神の意志が枢機卿の妄言だった場合、何故自身より上の立場である教皇を任命したのでしょうか? 

「レッグさんはどう思います?」

「ん? あれじゃねぇか? 自身は黒幕に徹する事で優越感を得るとかいう……」

 確かにあり得ますね。

 元々、仮初とはいえ自身の上である教皇を作っていたのですから……。

「まぁ、その話は保留にしておきましょう。レッグさん。マイザー王国に使者として行ってきて欲しいの」

「ん? マイザー王国にか? 教会と揉めそうな時期に、あの国に何の用が?」

 姫様の言う事は基本聞きますが、確かになぜこの時期に? という疑問はありますね。

「この時期だからよ。マイザー王国国王にこの国で開催するイベントに参加するように言ってきて欲しいの」

「イベント?」

「えぇ。クランヌ殿が治める魔国エスペランサとの友好を示すためのイベントを開催するわ。クランヌ殿と話し合いをした結果、他国も招待して見せつける事で、敵を明確にする必要があるとクランヌ殿が発案してくれたのよ」

 敵を明確ですか。

 そう言えば、遠い国では魔族の冒険者なんかがいると聞いた事があります。

「魔族に敵対心のある国が、このイベントを見聞きした場合、この国は魔族と手を組んだ愚かな国、もしかしたら滅ぼさなければいけないと思う国も出てくるかもしれないわね」

 そうですね。私も自分に必要のない国は滅べばいいと思っていますし、実際滅ぼそうとも思います。

 そう言えば、サクラさんも言っていましたね。


 敵を一点に集中させれば、挟み撃ちに会う事もないと……。


「レティは、納得しているみたいね」

「はい。()を叩くのには、一点に集まられた方がやりやすいですから」

 私は口角を吊り上げ、笑顔で姫様に同意します。

「それでね。マイザー王国と言えば第三王子の事なんだけど、マイザー王国には、第三王子が死亡した事を伝えたうえで、()()に対して暴言を吐いたと伝えるわ」

「嘘を教えるのですか?」

「そうね。嘘よ。彼等も同じ事をしていたじゃない。彼らの書簡では第三王子は友好関係の強化の為にきたそうよ。でも実際はレティをただ手中に収めようとしてただけでしょ?」

 確かにその通りです。

 私を第三王子の妻にして、私という存在を王族に取り込もうとしていたのは明白です。

「外交というのは駆け引きなの。馬鹿正直に本当の事を言うと、こちらが痛い目を見るわ」

 姫様の言う事は正しいです。

「宰相であるシャフトには、今回の書簡を書いて貰うように頼んであるわ。レティ達、勇者一行にはレッグさんの護衛として一緒にマイザー王国まで行ってちょうだい」

 私達が、国を離れると、主戦力が紫頭だけになる事に不安がありましたが、そこは流石姫様です。

 すでに、エスペランサに一個中隊を派遣してもらう約束を取り付けていたようです。

 一個中隊の隊長にブレインを派遣してもらい、この国の軍も訓練してもらうとの事です。抜かりが無いですね。


 私達、偽勇者一行は、王配であるレッグさんを連れて、マイザー王国へと旅立つのでした。

ブックマークの登録、評価、ありがとうございます。

 少しでも面白いや続きが気になるという方がいれば幸いです。

よろしければ、ブックマークの登録、評価をよろしくお願いします。


 他にも連載していますのでよろしくお願いします。

 クジ引き  https://book1.adouzi.eu.org/n2043en/ 

 親友が…… https://book1.adouzi.eu.org/n1660ez/

 豚の王……https://book1.adouzi.eu.org/n8587er/

 ゴミ溜め……https://book1.adouzi.eu.org/n1682fa/


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