表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
サクラ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

121/134

3話 魔族の事情


 私はアブゾルが作り上げた魔王の城へと転移する。

 確か、ここの魔王はクランヌという名の青年だったはずだ。アブゾルが仕掛けた呪いのせいで先代魔王が死んだ時点で新しい魔王になったみたいだね。

 呪いを解くのは簡単だけど、それだとレティシアちゃんが滅びの道を歩いてしまうし、放っておいてもレティシアちゃんは狂ってしまう。

 しかし、どうしてあの子はこんなに波乱万丈な人生なんだろうね……。


 さて、アブゾルが作った魔族は話が通じる人はいるのかな? 魔王クランヌは呪いのせいで自我を制御できないだろうし……。

 アレなら話ができるかな?

 私は話が通じそうな男の下に転移する。男は私が現れたのに気付いたらしく、振り向かずに私を威嚇する様に魔力を放出させる。


「……何者だ?」

「へぇ……。アブゾル如きが作った魔族だからと思ったけど、私の気配に気付くなんてなかなかやるじゃないか。それで話を聞く気があるかな?」

「なに?」


 私の声を聞いて男は振り返る。


「人間の女……。しかも、子供だと?」

「あはは。子供扱いされたのは……、いや、冒険者ギルドでも子供扱いされたっけね。さて、話をしようか……。魔王四天王ブレイン」


 この男の名はブレイン。アブゾルが作り上げた魔王四天王の一人だ。いや、魔王四天王はアブゾルが干渉してくる前から存在していたんだったね。ブレインの魔王への忠誠は本物だろう。


 私はここに来た経緯をブレインに説明する。しかし、ブレインは私を信じてはいないみたいだ。


「いきなり現れた人間の小娘が何を言うかと思えば、お前のような人間の小娘に魔王様が殺されるだと? そんな下らない妄言を信じろと言うのか?」


 ふぅむ。私は十四歳の時に不老になったからこの姿は仕方ないけど……、もう少し大人っぽくなってから不老になりたかったね。


「しかし、ブレイン君。一つ間違えているよ」

「なに?」


 私は力を少しだけ解放させる。ブレインならば私が発しているのが魔力ではなく神気だという事に気付くだろう。


「お、お前のような子供がなぜ神アブゾルと同じ魔力を……!?」

「あはは。君には子供の様に見えるかもしれないが、私はこう見えても神の類だよ」

「まさか……私達を消しに来たのか?」

「消す? さっきも言ったけど、君達はレティシアという名の女の子に滅ぼされなければいけないんだ。でも、君達は死んでも同じ姿で生き返るように改造されているだろう? 私はアブゾルと直接顔を合わせた事はないけど、どうやらこの魔王城限定でそういう呪いをかけているみたいだね」

「ちょっと待て……。私達は滅ぼされるというのか? 悪いが、必死に抵抗させてもらうぞ」

「それは自由にしていいよ。君にはいくつか頼み事があるというだけで、その頼み事を聞いてもらったら、私と会った記憶を消させてもらうからね」

「なんだと? それを聞いて、私に協力しろと? ふざけるなよ」

「でも、これを聞かないと君達は永遠にアブゾルの呪縛から逃れられないし、君が忠誠を誓う魔王クランヌも少女に殺される事になるよ」


 これは間違いない。

 私が干渉しない場合、レティシアちゃんは魔王城に来た後、魔王に会おうとする。でも、その間にケンという魔族が率いる魔族の軍勢がファビエに攻め込むだろう。その結果、ネリー王女もレッグも魔族の軍勢に殺されてしまう。

 勿論、勇者タロウもアブゾルの干渉により都合よく現れ、アブゾルにさらなる力を与えられる。結果、タロウはケンを殺し、ファビエを救うだろう。しかし、生き残った人間達はタロウの暴虐により、さらなる不幸に見舞われるだろう。

 ちなみに、ブレインからネリー王女が殺された事を聞き、レティシアちゃんはここで(・・・)狂う。

 狂ったレティシアちゃんは魔族を殺し尽くし、魔王クランヌを殺し尽くす。そして、タロウ達をも皆殺しにしてアブゾルを崇拝する教会を殺し、人類すべてを殺そうとする……。

 はぁ……。結局、あの子を狂わせないためにはブレインの協力は不可欠だ。


「仕方ない。本当は過干渉になるから君に見せるつもりはなかったけど、私が作り出したシミュレーションの結果を見せてあげよう」


 私はブレインの額に手を置く。そして……。


「な!!?」


 ブレインの脳内には、レティシアちゃんが暴れるだけ暴れて滅ぼされた魔王城の姿を流した。


「い、今のは未来の魔王城なのか?」

「ん? 随分と簡単に信じるんだね。どうしてかな?」

「い、いや……」


 ん?

 今のに信じるに至るモノが何かあったのかな? まぁ、別にいいんだけど。


「それで、協力してくれるかい?」

「……何をすればいい?」


 ブレインが何を見たのかは知らないが、協力してくれる事になった。私が出した要望は、ケンという指揮官にわざとらしくファビエを襲撃するよう命令を出してもらった。そして、四天王は一人ずつレティシアちゃんと戦わせる事。そして、さりげなく転生の話をする事を約束させた。

 記憶を消した後、転生の話をする様に魂に刻み、準備を終わる。


「これで、エスペランサも問題なく正常に戻るかもしれないね……。後は、私が出来る事はあるかな?」


 私は一度神界に帰る事にした。


ん~。辻褄はこれであってると思うけど……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ