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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
番外編 私とレティ様

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5話 目覚め

今回はレティ視点です


 邪神と戦ったあの日、私は自分の命を捨てて邪神を道連れにしようとした。

 結果、エレンを悲しませる事になるとは思ったけど、後悔はしていなかった。


 意識が薄らいでいく中、塵になったはずの邪神が私に近付いてくる。

 あぁ、魂だけは残ったのか……。


 まぁ、私が死ねばこの空間は無くなる……だから、それまでは好きにすればいいんじゃないかな……そう思っていた。


 そして、私の意識は無くなった……。



 そこからは凄く不思議な気分になった。

 ただ、皆を空から見ているような感覚だった。


 私がいなくなって、エレンやネリー様は前を向いてくれた……。

 これで一安心かな?

 ……そう思っていた。


 だけど、カチュアさんだけは私の()を受け入れられなかったみたいだ……。


 辛かった。

 カチュアさんは、現実を受け入れられないみたいで、いつか私が帰ってくると信じてくれていた。

 だからこそ、私は何度も「私の事を忘れてください」と叫んだ。

 そうでなければカチュアさんが壊れてしまう、と思ったからだ。


 私は、エレン以外はどうでも良いと思っていた。

 姫様にも良くしてもらっていたけど、それでも一番はエレンだった。

 アブゾルを倒した後、カチュアさんが私の侍女をしたいと言い出した。

 私は正直、面倒だな……と思っていた。

 だけど、いつの間にか普通に話し、ずっと傍にいてくれるのが心地よくなっていた。


 当時の私はカチュアさんが何故そこまでしてくれているのかはよく分からなかった。いや、今でも正直分からない。けど、嬉しかった。

 エレン以外にここまで心地よいと感じれた人は初めてだった。


 だからこそ、カチュアさんには幸せになって欲しかった。

 エレン達と共に……。


 けれど、カチュアさんは自ら死を選ぼうとした。

 私の声は届かなかった……。

 何度も、何度も、声をかけたけど届かなかった。


 私はすでに死んでいたから、声は届かなかった。


 私が叫ぶ目の前でカチュアさんは崖から飛び降りた。

 もう、見ていられなかった。


 そこで、一度意識が途切れた。


 次の夢は、泣いているカチュアさんの姿を見て、サクラさんが何か言っていた。

 サクラさんは泣きじゃくるカチュアさんにあるモノ(・・・・)を見せた……。


 何かの球体。

 その中に人間が入っている?

 中に入っているのは……。


 わ、私だ……。

 そこには私が眠っていた。


 どうして、私がそこで眠っているのだろう?

 じゃあ、ここにいる私は?


 あ、これは夢なんだ。


 そこで私の意識は無くなった……。



 また、目覚めた。

 今度は暗闇の中にいた。

 何も見えず、ただ、誰かが話しかけている声は聞こえてきた。

 そして……。

 誰かに体が拭かれているのが、良く分かった。

 気持ちがいい……そう思っていた。


「レティ様。今日は、サクラ様が診察に来て下さる日ですよ。いつも綺麗にしていますけど、今日も綺麗にしましょうね」


 ずっと、聞こえてきていた声はカチュアさん!?

 私はカチュアさんに答えようとしたが、声が出ない。


 カチュアさんは、優しく私の体を拭いてくれていた。

 それはとても心地よく、再び私は眠りについてしまう。

 で、でも、意識が無くなる前にお礼だけでも……。


 結局私は何も話す事が出来なかった……。



 それから、更に夢を見た。

 子供の頃の夢だ……。


 お母さんが呪い子と呼ばれ、私はその子供だから忌み子と呼ばれ……、エレンと出会うまでは、あまりいい思い出は無かった。

 エレンを失い、気が狂いそうになったけど、それでも姫様と出会い、カチュアさんと出会い、楽しかった……。


 そう言えば、お母さんが酷い目に遭ったあの原因であるあの組織を潰してやる、そう思っていたのに、まだそれは出来ていないな……。

 町は滅びたと聞いていたけど、それも確認していない……。

 今でも、あの組織が関係しているのか、人身売買は普通にあった……。

 

 そうだ……私にはやり残した事がある……。


 そう思ったら意識がハッキリした。

 しかし体が動かない。

 だから、必死に体を動かした。すると、横に転がる事が出来た。


 よし、動いた。


 私は必死に左右に何度も転がる。

 そのうち体が軽くなった。しかし、手足は動かない。

 いや、少しは動いているけど、動かし辛い。


「……うぅ……」


 少し声が出た。

 私の声に反応したのか、誰かが駆け寄ってくるのがわかる。

 そして、声が聞こえる。


「レティ様!!」


 カチュアさんだ……。

 早く目覚めないと……。


 私は思い切って目を開けた。するとゆっくりと目が開き、光が入る。


 眩しい!?


 ずっと暗闇の中にいたから、変な感じだ。

 私の目が開いた事により、カチュアさんが抱き上げてくれる。


 久しぶりのカチュアさんの温もりだ……。



 とても懐かしく思えた。

 あれからどれくらい経ったのだろう?

 でも、目の前のカチュアさんの顔はあの時のままだ。

 だから、それほど時間が経っていないのかな?


 私は、カチュアさんに助けられて起き上がる事が出来た。


「こ……こ……は?」


 声が上手く出せない。

 どうしてだろう?

 うまく喋れない私の声をしっかり聞き取ってくれ、答えてくれた。


「ここは神界のサクラ様の私室です」


 カチュアさんは私がここにいる経緯を話してくれる。

 なんでも、邪神を倒してから二十年も経っているらしい。


 二十年?


 それにしては……カチュアさんはどうして歳を取っていないの?

 もしかして、私の為に死んでしまったの!?


「か……ちゅ……あ……さ……」

「無理をしないでください。大丈夫です、落ち着いてゆっくり話しましょう。サクラ様もすぐに来てくれるそうですから」


 カチュアさんは、上手く話せない私に優しくしてくれる。

 謝りたいのに、そんな言葉すら出てこない。

 腕に力も入らないし、今は自分の足で立つ事すら難しそうだ……。


 しかし、二十年か……二十年もカチュアさんは私の世話をしてくれていたのか……。

 感謝の言葉すら言えないのが情けない……。



「目が覚めたのかい!?」


 この声も懐かしい……。

 私は視線をサクラさんに移す。

 サクラさんもあの頃から変わっていない。

 この人は女神だから姿が変わらないのは不思議ではない。

 もしかして、カチュアさんも女神に?


 そうだとしたら、私だけ置いていかれたかな?

 でも、私の体もあの頃から成長していない。もしかして、本当に死んでいたの?


「レティシアちゃん。私とカチュアちゃんの事はわかるかい?」


 私は頷く。

 声がまだうまく出せないから、これしか出来ない。


「で? 邪神との戦いを覚えているかい?」


 覚えている。

 私はもう一度頷く。


 私は邪神を倒せなかった時の事を考えて、自ら作った異空間に邪神を捕らえた。

 もし、私が先に力尽きたとしても、私の死と共に異空間が消滅するのを知っていたからだ。

 しかし、邪神の肉体は倒したけど、あの近付いてきた邪神の魂はどうなったんだろう?


 アレ? 私が生きているという事は、邪神は逃げたのか?


「じゃ……し……」

「無理して喋らなくていいよ。邪神の事を気にしているんだろうけど、大丈夫だよ。アレが復活する事は無い。これはカチュアちゃんにも黙っていた事なんだけど、邪神はレティシアちゃんの中にいるよ」


 私の中に!?


「サクラ様!! それはどういう事ですか!! まさか、邪神のせいでレティシア様は二十年も目覚めなかったのですか!?」


 私の中に邪神がいるのならば、私は生きていてはいけないんじゃ……。

 しかし、異物が中に入っているにしては変な感じは無い。


「カチュアちゃん、落ち着きなさい。順を追って話すね。まず、邪神はレティシアちゃんとの戦いで肉体を失った。本来は戦いに満足して消える予定だったらしいけど、その傍らで死にかけているレティシアちゃんを見て『惜しい』と思ったらしいよ。それで、自分の力をレティシアちゃんに注ぎ込んで、延命処置を行っていたみたいなの」


 あの邪神が?

 私を惜しむ?


「そのおかげか、レティシアちゃんは私が救出に向かった後も生き残っていたみたい。私があの場に行った時には、消えかけの邪神が満足そうな顔をして説明してくれたんだ」


 そうなのか……。


「今まで目覚めなかったのも邪神のせいと言えばそうかもしれないね。いくらレティシアちゃんが強いと言っても、邪神の力は強力だからね。レティシアちゃんの中で安定するまで時間がかかったんだろうね。でも、今まで命に別状がなかったのは、邪神のおかげともいえるね」


 それは何とも複雑な気持ちになる。


「ともかく、今はゆっくり休むんだ。今のレティシアちゃんは全体的に体力が戻っていないし、今、外の世界に戻れば、それこそ死んでしまうからね」


 そう言われればもう何も言えない……。

 早くエレンやネリー様にも会いたいが、カチュアさんに会えた事が一番嬉しいかもしれない。

 私は力の入らない手でカチュアさんの手を握り返し、声を振り絞って「あ、り、が、と、う……」とだけ言った。


 カチュアさんは、涙を浮かべていたけど「どういたしまして」といつもの笑顔で返してくれた。

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