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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
3章 邪教編

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12話 本物の邪神の様ですよ。

今回、最初だけ三人称視点です。

その後はいつものレティシアによる一人称視点です。


 邪教徒達は、始まりこそレティシアを崇拝していた。

 レティシアの自分達を虐げてきたアブゾル教を一方的に破壊する姿に魅せられたからだ。たとえ、レティシア本人が望んでいなくとも、邪教徒達は崇め続けた。


 しかし、邪教徒は気付いてしまった。

 レティシアを崇拝しても自分達は救われないんじゃないかと、それどころかレティシアは自分達を滅ぼしたがっていると。

 確かに滅びは邪教徒の最終目標だ。だが、それは邪神という名の暴力により滅ぼされることで、軍や冒険者達に拘束されて滅ぶことではない。

 そもそも、レティシアが邪教徒の意を酌む必要はない。事の始まりは、アブゾル教の信者がアブゾル像をどつきまわしていたのを見て恐怖心からそう呼んだだけに過ぎないのだ。

 当然、レティシアに殺されたからと言って、救われることはない。ただ、苦しんで死ぬだけだ。

 邪教徒の()()がそれに気付いた。そして絶望した。そんな時に異世界からの勇者の話を聞くことになる。


 異世界から勇者を呼び出せた? 勇者を呼び出せるのだ、邪教徒の命を捧げれば、()()()()()を呼び出せるんじゃないか……と。


 そしてあの日、それは実行された。

 邪教に深くかかわる者、全ての命を依り代に邪教徒の望みである『邪神』を呼び出した。

 それは邪教徒全てが望んだわけじゃないかもしれない。たった一人の願いだったのかもしれないが、その願いに邪神が応えてしまった。


 邪神を語るものを滅ぼし、世界に滅びという名の救いを与えんこと。


 

『ぐはははははははは!! 貴様の願い叶えたぞ!! 今こそ我が名を騙る愚か者に滅びを与えようぞ!!』


 唐突に現れたソレは、圧倒的な存在感を持っていました。まさに神……いえ、邪神ですか。

 まぁ、サクラさんのような規格外を見ている私からすれば、そこまでの脅威とは思えません。

 しかし、異世界から来た勇者様はそうでもないみたいです。


「あ、あれは何なんなのだ!!」


 駄目じゃないですか。目が恐怖で染まっていますよ。

 戦う前から負けを認めているようなものです。


「貴方がたと同じようなモノですよ」

「同じようなモノ?」


 分かりませんかねぇ。


「貴方達も異世界から召喚されたでしょう? アレも異世界から召喚されたのですよ。だから、貴方がたと同じなのです。しかし、……嫌な予感が的中してしまいましたか」


 異世界から勇者を召喚したという話を聞いて、近いうちに邪教徒が私に不満を持ち、自分達の思い通りにいかないと思った時、異世界から()()を呼び出すのじゃないか? と考えていました。

 だからこそ、早々に邪教徒を滅ぼしておきたかったというのもあります。

 良くも悪くもエレンはこの世界の管理者であり、そこまでこの世界に干渉は出来ないはずです。

 レッグさんにクランヌさんやグローリアさんでも、一国の主である以上、邪教徒に対して過激なことは出来ません。だから相談は出来なかったのですけどね。

 まぁ、間に合わなければ、私が戦えばいいと思っていたのも事実ですけどね。


「と、言うことはあれは異世界の邪神!?」

「そうなりますね」


 あぁ、やっと状況を把握しましたか……。


『なにをコソコソと話しておる? 貴様が邪神を騙る愚か者か?』

「愚か者かどうかは知りませんけど、邪神という下らないレッテルを貼られたのは事実ですね」


 私がそう言い返すと、邪神は手を薙ぎ払います。

 その行動一つをとっても苛烈で、衝撃波が私達を襲います。

 私は、ちょっと跳べば避けられますが、勇者さん達はどうでしょうかね?


「くっ!!」


 戦士の人が今の衝撃波から、仲間を守り切りました。

 今の防御力は素直に凄いですね。

 ソレーヌならば、いえ、紫頭や筋肉でも今の攻撃を生身で耐えることは出来ませんよ。

 そう考えたならば、耐えただけでも称賛に値します。


 まぁ、一般的に考えて、ですけど。


 私は着地と同時に、邪神に向かって魔力を使っていない全力のパンチを繰り出します。


「えい!!」


 こちらも衝撃波というモノを繰り出したのですが、邪神にはまるで効いていません。

 何か黒い靄のようなモノに防がれてしまいました。

 まぁ、牽制ですけどね。

 魔力を使いだすと……あの人達が邪魔ですからねぇ。


『効かぬなぁ!! 今の哀れな攻撃は何だ?』


 だから牽制ですよ。それくらい気付いて下さい、ムカつきますねぇ。

 私の攻撃の後、勇者さんが私に話しかけてきます。


「おい、アレをどうするんだ?」

「アレ? あぁ、邪神のことですか? 倒すに決まっているでしょう?」


 何を当たり前のことを言っているんでしょうか? 倒さなきゃ、ネリー様やネレス様がいるこの世界が滅びてしまうでしょうが……。


「お前も世界の滅びを望んでいるんじゃないのか?」


 あぁ、そういうことですか。

 この人は本当に人の話を聞いていないのですね。


「馬鹿ですか? 私が邪神と呼ばれていたのは、ただの言いがかりでしかありません。なんで、大事な人がいるこの世界を滅ぼす必要があるんですか?」

「お、お前!! 最初っからそう言っていれ「言っていたでしょう? 貴方が人の話を聞かなかっただけです。今は気が散るので話しかけないでください」

「ぐっ……」


 本当に暑っ苦しい、鬱陶しい人ですねぇ。とっとと、どこかへと行って欲しいのですが……。

 私が邪神に対し、どう攻撃するかを考えていると、再び勇者が話しかけてきます。

 今度は何ですか?


「おい! 一つ提案があるのだが……」

「なんですか? 話があるのならさっさと話してください」

「私はこう見えても勇者だ。光属性がある。アイツは見たところ闇属性の様だ。私の最大の攻撃をぶつけてみようと思うのだが……」


 この人は何を言っているのでしょうか?

 確かに邪神というくらいですから、闇属性に見えないことも無いですが、神に属性など関係ないに決まっているでしょう。ただの魔物ならいざ知らず。

 しかし、この人は光属性というモノに絶対的な自信でもあるのでしょう。


「そうですか。ご自由にどうぞ」

「い、いや……そのだな……」

「なんですか? ハッキリ言ってください!!」


 本当にイライラする人ですねぇ。

 

「この技を使うのに数十秒溜める必要がある。その間……」

「はぁ……? いちいち私に許可を得る必要はないでしょう!?」


 勝手に溜めて使えばいいじゃないですか。


「い、いや、時間稼ぎをだな……」


 あぁ、そういうことですか。

 馬鹿だ馬鹿だとは思っていましたが、ここまで馬鹿だったんですか!?

 あぁ、この人は、本当に人を怒らせるのが好きな人ですねぇ。


()に何を求めているんですか? 本当にここで殺しますよ?」

「今は共闘しているだろう!?」


 共闘? 邪神は腕を薙ぎ払っただけ、私は牽制の一撃を当てただけ、戦闘すら始まっていませんが?


「あぁ、時間稼ぎですね。分かりました分かりました。好きに力を溜めてくださいね」


 私は邪神と向き合います。本当に大きいですねぇ。

 今、気付きましたが、お爺さんが魔法を邪神に当てている様ですが、全く効いていません。

 お爺さんの魔法は強力なものです。それが効いてもいないんですから、属性がうんたらという次元ではない気がするのですが……。


「済まない!!」


 勇者はお礼を言ってきますが、私は呆れているだけですよ?


『話は終わったか?』

「えぇ、あの人達が貴方を滅ぼすそうですよ?」

『なに? 邪神である我を人間がか?』


 邪神も呆れ顔で勇者を見下しています。


『ガハハハハハハハハ!! 面白い!! 待っていてやるから試してみろ!!』

「だ、そうですよ」


 私はそう言って見物することにします。

 邪神に至っては、防御膜とでもいうのでしょうか、私の攻撃を防いだ靄を消します。

 無防備な状態ですか……。

 あの状態ならば、()()()()()()()()殺せそうですねぇ……。


『おい、何を考えている? お前との戦いはこの後だ。待っていろ』


 おや? バレましたか?

 残念です。


 私と邪神が話をしているのを見て、勇者は肩を震わせます。


「くっ……そうやって余裕ぶっているのも今のうちだけだ!!」


 どうやら力が溜まったようですね。

 おや? 勇者の剣が光っています。これが必殺技ですね。


「シャイニングソード!! でやぁああああああ!!」


 勇者が邪神に斬りかかりますが、全く効いていません。傷一つついていないようですね。まぁ、効きませんよね。

 邪神は、痛がる素振りも見せずに、その場で呆れた目をしています。


『ふむ……、それだけか?』

「え? なぜ効かない!?」

『お前は我を馬鹿にしておるのか? 神たる我に属性など関係あるわけは無かろう。まぁ、人間の限界などそんなモノだろうな。もう満足しただろう? 滅べ!!』


 邪神が口を開き、黒い魔力弾を吐いてきます。

 これは勇者に直撃しそうですね。

 あぁ、これは死にますねぇ。彼等はこの世界で人気者になりつつありますから、助けておきますか。


「あ、あ、あ、あ……」

「はい。これ以上は邪魔なので、何処かに行っててくださいね。死なれても困るんですよ」


 私は勇者達の前に立ち、勇者達に転移魔法を使います。

 あとは好きに生きてください。


「…………!!!!!!」


 そして邪神の吐いた黒い玉を殴り返します。


「返しますよっッと!!」

『むっ!?』


 邪神は折角返した球を消し去ります。

 当たってくれれば笑えましたのに。


「これで邪魔ものは消えました。ここから本気です」


 私は魔力を放出させます。その瞬間、地面が揺れ始めます。

 まぁ、今日は本気を出さないと勝てそうにありませんからね。

 そして、私の後方にエレンが現れます。


「ようやく私の出番だね」

「はい、よろしくお願いしますね」


 エレンの登場に、邪神は驚いている様です。


『何!? 神の類だと!?』


 邪神も神、エレンが女神であることはわかるのでしょう……でも。


「エレンには私の肉体を保護してもらうだけです。ここから戦うのは私だけですよ」

感想やアドバイスなどがあればぜひよろしくお願いします。

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