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短編の歴史

桃太郎のつぶやき

作者: 日比谷進
掲載日:2018/01/19

「はぁー」


桃太郎は思わずため息をあげる


「どうしたんですか桃太郎様?」


犬は桃太郎の膝の上にちょこんと座ると、顔をあげてそう言った。


「おーい待て〜猿、おいらの柿を奪うじゃねー」


「へへん、欲しけりゃ奪ってみろってなあはははは!」


キジと猿はそんなこともつゆ知らずに遠い川岸の向こうでつまらない争いをしていた


「はぁー」


桃太郎はそれを見て再びのため息をついて悩みのうちを話した


「聞いてくれるか?犬」


「はい!桃太郎様には忠を尽くす物ですから当然です!」


犬は自慢げに膝の上で胸を反らせて誇り高く居座る


「あの〜犬、ちょっと痛い」


「あっすいません!桃太郎様!」


犬は慌ててその場から降りる


「いや、いいんだ気にしないでくれ」


「すいません、桃太郎様以後気をつけます……」


「早速なんだがな犬、悩みというのはだがな……」


桃太郎は遠いどこかの遠くを向いて、悟ったような顔で悩みをうちあけようとしていた


「ゴクリ……」


犬は思わず喉を鳴らす、もしや重大なことでもあるのだろうかと心配で胸が張り裂けそうだった。

ちなみにキジは猿が奪いとった柿を取れずにいた


「なんでさぁ俺って犬、猿、キジにしたんだろうなぁって思うんだよね」


「は?……」


犬は的外れなことに思わず目が白くなる、そして、猿、キジまで何かを感じたのか桃太郎の方を見て目が白くなる。


「な・ん・でですか?」


犬は桃太郎に目が白くなりながらもかろうじて聞いてみる


「いやぁ、だってさ、まぁ勝ったから良かったけどさ実際あれってまぐれなわけじゃん?」


「まぁそうですけど……」


「実際、鬼ヶ島ってさあれだぜ?本当だったら行ったら帰れないところだったわけじゃん?」


「そうですね……」


それもそうだと犬は思った。

鬼ヶ島とは本来鬼の集う総本山的なところで幕府からも恐れられているわけで一度行ったらどんな猛者でも帰れない危険な場所であったからだ。

犬もそれを考えたが、桃太郎の誠実の熱心なところに惹かれて参上したわけである。

だが、今は桃太郎のその一言にショックを隠せないでいた


「今回は鬼ヶ島の鬼たちは祝賀パーティのときだったから寝込みを襲って討伐できたわけだけど、もしあの時、そうじゃなかったら死んでたわけだからねまじで……ね?」


「はい……」


犬は納得したのか顔を縦にふる、最もそれは100パーセントではなく30パーセントぐらいのものであった。

別に勝ったんだからいいじゃないかと思う。

そんな思いなどつゆ知らずに話を続ける桃太郎、いい加減過去を振り返るのはやめてほしいと思う犬達一行


「で、考えてみたんだよ実際、勝てたであろう仲間達を!」

「はぁ……」


さっきの悩みはどこへやら桃太郎は楽しそうに犬達一行に語りかけるのであった全く口を開けばそんなことかとため息混じりに返す犬


「マジっすか!?パイセン!」


「なんだろう気になるなぁ」


「うわ!お前達も来てたのか!聞いて驚くなよー」


「はぁ……」


桃太郎は驚いたが自慢げに語ろうとすることに拍車がかかろうとしていた。

猿とキジのさっきの沈黙は何処へやらと猿とキジは桃太郎の話に興味津々だった。

犬は思わずため息をつく。

今度は犬の方が悩みを抱えそうだった。


「でさぁ描いてみたわけよ、本当に100パーセント勝てる仲間達をな!」


「おぉぉ」


「おぉぉ」


「はぁー……」


いつの間にそんな看板を作ってたのかと犬は心の中で突っ込む。

見れば、最高で最強の仲間達とは何か!と墨で荒々しく書かれていた。

犬は最初に思っていた誠実なイメージなどもはや一かけらもなかったのだった。



そして、しばらくの暗転が周りを静寂で包み込んだ



「えぇただいまより今回は運で勝てたわけだけどどうしたら勝てたのだろうかいうのを議論していくのを朝まで討論していきましょうの会!」

「おぉぉ」


周りはいつの間にか人々で埋め尽くされていた。

犬は早く帰りたい気持ちになるがたくさんいるために動けないでいた。

キジと猿は犬とは違ってワクワク感で胸がいっぱいだった。

いったいさっきの犬と同じ気持ちかと思ってしまっていた自分を恥じる犬


「それではこれより討論会スタート!意見のある人はいますか」


気付けば円卓状の席に座っていた、猿とキジも同じく

そして、スーツ姿に身を包んだ司会進行役の男の人がマイクを片手に周りに意見をするよう促す。


「はい!」


「はい!桃太郎さんどうぞ!」


真っ先に手を上げた人は桃太郎である。

当然といえば当然であり、桃太郎であったのはむしろおかしくはないだろうと犬は思った。


「えぇ〜はい、私がまず仲間にすべきだったのは熊にすればよかったかなぁと思います」


「と言いますと?」


ピキッ


犬の心に表には出ない心の傷が増えたことを犬は感じたのであった。

しかも、まずという言葉が付いているからして犬はいらないものということが含まれていると考えられるゆえにまさしく心の傷が入ったことを感じるのであった。


「はい、それはですね、まず鬼に対して有効なのはパワーでまさり、頑丈であることが必要だと考えるわけです」

「その根拠は?」


司会が理由を促す、なぜ熊なのかと


「はい、それは私が今回戦ってきた上で感じたのは壁役兼パワー型の仲間がいなかったことで、今回は勝てたのですが、私はどうしてもアタッカー型の部類に入るわけでして、今回は犬とともに前衛を担当したわけですが」

「ほほう、というとなんだね君はこう言いたいのだな、前衛職でタンクがいないと今回はあれだったから攻撃の隙をみせずにダメージを追うことなく倒すことができたわけだと」


同じくスーツ姿に身を包んだメガネで博識がありそうな感じの人が桃太郎の言いたいことを言ったように感じる犬。

いったい、何を言ってるのか犬はよくわからなかった。

でも、討論会だから何を言ってるのかわからない犬はどうしても聞きたくて手を上げてみた


「はい」

「犬さんどうぞ」


緊張する……周りの視線が犬の方に集まる。

一部、ゲーム機をしている人も目に映るが犬にとってはそんなことを気にするほど余裕でもなく足がガクガク震えているのであった。


「緊張しているのでしたらお水を……」

「いえ、けっ結講です!」


緊張しているのが目に見えた司会者は気遣ってくれた。

大丈夫ですと言ってみたものの緊張で犬の声は上ずっていたのだった。


「あっあっ……」


口を動かそうともなかなか動かない犬、どうすればいい簡単だろうと動かしたい口に対して鞭を入れるが動かない。

あぁもう駄目だと思った、もういうのをやめようかとしたその時


「大丈夫、犬、自分の思ったことを言えばいいんだよ」


そう言って桃太郎は犬の背中に手をおく


「桃太郎様……」


周りは依然として変わらない沈黙に包まれていたわけだが、足が震えて緊張することがなくなった。

それよりも桃太郎に勇気づけられて思っていたことを言う決心がついたのだった。


「はい!わかりました!」


そうだ、恐れることなんてないんだ、恐れてたって何もいいことなんてないんだ。

思い出せ、鬼を退治した時だって恐れることなく戦ったんだ、これで恐れていたら自分はんだっていうんだと犬は自分を鼓舞していうことにした


「大丈夫ですか?犬さん?」


「はい!大丈夫です!桃太郎様に勇気をもらいました!」


「いやぁ照れるなぁ」


「ヒューヒューセンパイデレデレ」


「かぁ〜、桃太郎さんもしかして犬に恋してますか?えっえー」


犬以外の仲間は桃太郎に対してからかったり、何か違う勘違いをしているのであった。


「あのすいませんちょっと席を外しても……」


「どうぞ」


「ヒューヒューあれ?」


「えっえーって?」


「ちょっとお前ら一旦外出ようか〜」


ゴオオオオ


桃太郎は犬以外の仲間の肩、羽を掴むとどっかへ行ってしまったようだ。

桃太郎はちなみに怒りモード全開でまさしく鬼のようだった被害者、関係者が後日談で語られるであろうことはいうまでもなかった。


「やっやめてくださいよ〜センパイー!」


「えっえ〜えええええ!」


「あははは……」


猿は悲鳴を上げて、キジはまだ直らないでいたことにさすがに司会者も苦笑を浮かべざるおえなかった。


「えぇ〜気をとりなおして犬さんどうぞ!」


「さぁーて聞かせてもらおうかね、犬くん」


「はい!」


メガネをかけたいかにも学者然とした人が犬の方に挑戦的な目をする。

だが、犬は恐れずに思っていたことを口にするのであった


「えぇーとアタッカーとかタンクってなんなんですか?」


「は?」


犬は思っていたことを口にした途端辺りが真っ白になるのであった



紆余曲折を経て朝まで討論会は終了し、桃太郎一行は無事、桃太郎の家に帰り食事を食べていたのだった。



「あはははははは!」

「ウキキキキキキキ!」

「フウホオオオオオオオオオオ」

「あはははは!ゴホッゴホッ」

「おじいさんや大丈夫ですか?ぷっ!」

「おばあさんだって笑ってるじゃないかのー……ぷっ!」


思い思いに笑い声をあげていた。

キジに至っては笑い声ではなく鳥の鳴き声と呼べるレベルなのか……とにかく叫んでいた


「そんなに笑わないでくださいよ……」


犬だけは顔を赤らめて恥ずかしがっていたのだった。

犬は今すぐにでもここから逃げ出したい気持ちでおり、気分は最悪だった


「あはははごめんごめん、やっぱ、俺、こんなこと言ったけどさ……やっぱお前達が一番だわ!」


「桃太郎様」


「センパーイ」


「桃太郎さーん」


なんだかんだ言っても、桃太郎にとって一番の仲間達は今、目の前にいる仲間である結論に至るのであった。


……のであったが


「ていうか何を見てるんですかって!なんですかそれはー」


「おっおい勝手に見るなー!」


桃太郎が目の前にいる仲間といったのは、犬と猿とキジのコスチュームにふんした可愛いフィギュアのことであったのだった


「ちょっと、桃太郎様ぁぁ」

「センパぁぁぁイ、ちょっとおいら尊敬しようとしてたのになぁ」

「よりにもよってこういうですか……」


「ちょっちょっと誤解だよ、確かにお前達も大切だよ一生大切な仲間たちだぜキラッ」


悲しいかな、桃太郎よこれが火に油を注ぐことになるということを


メラメラメラメラメラ


そういう効果音が聞こえてきそうなぐらいに犬、猿、キジはそれぞれのオーラを放っていた


「桃太郎様ー一回天国に行きやがれー」


「うわああああ」


ピカーン


「おお桃太郎が星になった」

「そうですね、まぁなんとかなるでしょう」


そして、桃太郎は兎たちとともに暮らすことになりましたとさおしまい。


「返してくれよぉ〜」


「まぁまぁ桃太郎さん、働けば帰してやりますってニヤリ」


「おい!かぐや嘘だろおい今ニヤリってしたぞ!」


「はてさてなんのことやら」


「はぁー」


桃太郎はつぶやきたくなる気持ちになった。







まぁ自業自得ですね

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